事業において売上を増やしたり利益を獲得することはもちろん大切なことですが、一番大切なことは資金繰りを維持することです。
資金繰りが破綻すればその時点で倒産です。
資金繰りの安全性はどうなっているのか、簡単な確認方法をご案内します。
目次
資金繰りの重要性
黒字倒産という言葉を耳にされたことがあると思います。
黒字倒産とは儲かっているにもかかわらず倒産したということです。
なぜそのような事態が発生したのかと言えば、それは資金繰りの破綻です。
冒頭でも説明をしましたが、売上を増やすことはもちろん大切なことです。
また利益を獲得することは事業の目標です。
しかし事業においてもっとも大切なことは資金繰りを維持することです。
仕入代の支払いが出来なければもう仕入をすることはできなくなります。
社員の給料を支払わなければ社員は辞めていくことでしょう。
いずれにしても資金繰りが破綻すればその時点で事業はストップし倒産となります。
したがって資金繰りを安定させることは事業においてもっとも重要なことなのです。
資金繰りは破綻すればその時点で倒産してしまう
資金繰りの安全性
このような重要な資金繰りですが、では自身の資金繰りの状態は安全なのかどうか、一度確認をされてはいかがでしょうか。
資金繰りの安全性を確認する方法をいくつかご紹介します。
資金繰りの安全性は決算書を用いて資金繰りに関する指標から確認をすることができます。
資金繰りの安全性を示す指標 当座比率
まず資金繰りの安全性を示す指標として当座比率による確認方法をご紹介します。
当座比率
当座資産は現預金と売掛債権のことです。
現預金は資金そのものですし、売掛債権は売掛金や受取手形のことですが短期間のうちに現預金として回収されるものです。
つまり当座資産は資金繰り面において資金として利用できる可能性が極めて高いものです。
一方での流動負債というのは1年以内に支払をしなければならないものです。
流動負債の支払に備えて資金繰りを確保する必要があります。
当座比率とは1年以内の短期の支払が現預金として利用できる資産でどれだけカバーされているかを示す指標です。
当座資産が100%以上であれば資金繰りの安全性が高いと考えられます。
100%が難しいとしても80%程度の当座資産が確保されていれば、資金繰りの安全性は安心圏の範囲内と言えるでしょう。
当座資産は1年以内の支払予定のものが現預金と売掛債権でどのくらいカバーされているかを示す指標
資金繰りの安全性を示す指標 現預金月商比率
資金繰りの安全性を示す指標の2つ目は現預金月商比率です。
現預金月商比率
現預金月商比率とは月商の何倍の現預金を持っているかです。
ざっと1ヶ月あたりの支払が月商ぐらいあるとして、その何倍の現預金が手元にあるかを示しています。
現預金月商比率は当然高いほど資金繰りの安全性は高いと言えます。
現預金月商比率は最低でも1ヶ月は確保したいところです。
現預金月商比率が1ヶ月未満であると資金繰りの安全性は黄色信号の状態です。
現預金月商比率は1ヶ月以上は確保したい
資金繰りの安全性を示す指標 固定長期適合比率
資金繰りの安全性を示す指標の3つ目は固定長期適合比率です。
固定長期適合比率
固定資産というのは資金化するのに長期間を要する資産です。
不動産や機械、車両、投融資などが固定資産ですが、不動産などは売却しなければ資金化はしません。
このような資金として回収するのに長期間を要する固定資産は安定的な資金で賄いたいと言えます。
例えば1ヶ月後には返済をしなければならない短期借入金で固定資産を取得したら、固定資産は回収に長期間を要しますから短期借入金の返済に窮することになります。
自己資本は資本金や利益の蓄積ですから、そもそも返済、つまり支払をする必要がない特徴があります。
また固定負債は支払までに1年以上の長期の猶予がある負債です。
したがって固定資産は自己資本や固定負債で賄われているのがあるべき姿なのです。
このことから固定長期適合比率は100%以上が望ましいということになります。
固定長期適合比率が100%未満ということは固定資産を支払が1年以内の短期にする必要があるもので一部が賄われていることとなりますので資金繰りの安全性は黄色信号ということになります。
固定長期適合比率は100%以上が資金繰りの安全性には必要
資金繰りの安全性を示す指標 デットキャパシティレシオ
資金繰りの安全性を示す指標の次はデットキャパシティレシオ、略称DCRと呼ばれる指標です。
デットキャパシティレシオ(DCR)
金融資産とは現預金と有価証券(すぐに換金できる上場株式等)のことです。
有形固定資産とは不動産や機械、車両などです。
金融資産や有形固定資産はいずれも担保として活用が期待できるものであり、担保があればまずは資金調達ができるだろうと考えることができます。
有利子負債、つまり借入金は金融資産と有形固定資産以下であれば、まだ担保により資金調達ができる余力があると考えることができます。
そのためデットキャパシティレシオは100%未満が望ましいと言えます。
デットキャパシティレシオが100%以上であれば、資金調達の余力が乏しく資金繰りの安全性に懸念が持たれる状況です。
資金繰りの安全性を示す指標 有利子負債月商比率
有利負債月商比率とは有利子負債が月商の何倍あるかを示す指標です。
有利子負債月商比率
ずばり有利子負債月商比率は6ヶ月が限度です。
有利子負債月商比率で望ましいのは3ヶ月未満です。
有利子負債月商比率が6ヶ月以上ということは借入過多ということであり、もう簡単には銀行から融資を受けることができません。
資金繰りに窮してもスムーズに銀行から融資を受けることが難しい状態です。
有利子負債月商比率は低いほどよく最高でも6ヶ月が限界
以上が資金繰りの安全性を確認する際に最高となる指標となります。
資金繰りの安全性のまとめ
以上、資金繰りの安全性の確認方法についてまとめますと次のようになります
まとめ
・資金繰りに関する指標を見ることで資金繰りの安全性を確認することができる
・当座比率は100%以上が望ましい
・現預金月商比率は最低でも1ヶ月は確保したい
・固定長期適合比率は100%以上が望ましい
・デットキャパシティレシオは100%未満が望ましい
・有利子負債月商比率は最高でも6ヶ月が限度