資金繰りに今は不安はないが銀行から運転資金融資の借り入れ提案がある時に借り入れすべきかどうかが今回のテーマです。
今後の銀行とのつきあいを考えて借り入れすべきか、それとも要らないと断るべきか。
ここは中長期的な観点から判断すべきです。
目次
銀行からの借り入れ提案に関する質問
本当に小さい工場を経営しているものです。
ずっと無借金で経営をしてきました。
1年前に工場を移転しました。
工場の近くにある銀行に口座を開設しました。
しばらくしてその銀行の担当者が来られるようになって運転資金の借り入れをされてはどうかと提案を受けています。
正直なところ今は資金繰りに不安はなく運転資金の借り入れをする必要はありません。
ただし毎年秋から冬にかけては資金繰りに不安を抱くことがあり、今までは個人の資金を充てて資金繰りを乗り切ってきました。
銀行から運転資金の借り入れをすれば資金繰りに不安を抱くこともなくなりますのでとても楽になります。
ただ銀行から借り入れをすると利息を支払う必要があると思いますので、そうであれば今までどおりに個人の資金を使えば良いとも考えてしまいます。
銀行から借り入れの提案を受けた際には借り入れをした方が良いのでしょうか?
借り入れが必要ないのに借り入れをしている事業者は実に多い
世の中には無借金経営の会社などはたくさん存在します。
その一方で資金繰りが順調で借り入れなどする必要がないにもかかわらず、銀行から借り入れをしている会社もたくさん存在します。
この借り入れをする必要がないにもかかわらず銀行から借り入れをしている会社の目的はただ1つです。
それはいざという時のためです。
将来のいざという時のために銀行から借り入れをしている会社は多い
はじめての銀行融資は審査に時間がかかる
いざという時には銀行から借り入れをすれば良いと考えても、銀行でははじめての顧客の場合には念入りに審査を行います。
1ヶ月以上審査に時間を要することはざらです。
いざという時が1ヶ月以上先のことであれば、これでも良いのですが1ヶ月以内に借り入れをしないと資金繰りが持たないというようなケースでは大変です。
一方ですでに借り入れ取引がある場合には銀行の審査に1ヶ月を要するようなことは基本的にはありません。
事業の経営においてはどのような会社でもこのいざという時があります。
そのような状況において銀行からスムーズに借り入れすることができるように、今は必要はないものの銀行から借り入れをしている会社が少なくないのです。
借り入れをすれば銀行に利息を支払う必要がありますが、それはいざという時のための保険料と考えています。
いざという時のために必要はないが銀行から借り入れをしておく
業績が悪い時のために借り入れができるように
もう1つ、今は借り入れする必要はないものの銀行から借り入れをするケースがあります。
それは業績が悪い時でも銀行から借り入れが受けられるようにするためです。
赤字決算の場合には基本的に銀行の審査ハードルは高くなります。
借り入れ取引がない赤字決算の初めてのお客さんから借り入れ相談を銀行は受けた場合には、多くのケースでは赤字を理由に銀行は融資を断ります。
一方ですでに借り入れ取引があるお客さんかが赤字に転落した場合は赤字であっても融資の可能性を銀行は検討します。
もちろん融資を銀行が断ることもありますが、何とか融資による資金繰りの支援ができないかと銀行は考えるものです。
業績の悪化時の支援を期待して銀行から借り入れをしておく
個人の資金は本当にいざという時のために
中小企業に多いケースですが今回の質問の例のように会社の資金繰りのために経営者個人の資金を投入することが少なくありません。
経営者個人からの借り入れがあればいちいち審査もありませんし、非常に利便性が高いものです。
ただし本来で言えば会社と個人とは別ですから資金面を含めてきっちりと分けるべき性質のものです。
個人の資金は銀行から借り入れができない時など本当にいざという時のために温存しておくべきです。
個人の資金がもうないから銀行から借り入れを受けるのではなく、銀行から借り入れを受けることが難しいから個人の資金を投入する方が安全です。
個人の資金は本当にいざという時のために取っておくことが安全
銀行から運転資金の借り入れ提案がある時のまとめ
以上、銀行から運転資金の借り入れの提案がある時の対応についての考え方をまとめますと次のようになります。
まとめ
・必要がないのに借り入れをしている理由で共通することはいざという時のために
・借り入れ取引があれば赤字だけの理由で銀行は融資を断らない
・借り入れがあると審査時間が短縮する
・個人の資金は本当にいざという時のために取っておくべき