自分が知らないところで連帯保証人にされていた・・・。
このようなケースの場合には連帯保証人としての返済義務を免れることが出来ます。
質問
私の父は自営業をしています。
事業資金の銀行融資をうけるために、私を勝手に連帯保証人にしたようです。
私はまったく知りません。
銀行融資の返済を遅れているようで、先日、銀行から私に連絡があり上記のことがわかりました。
銀行が提示した書類を見ると、連帯保証人欄に私の住所や氏名、それと実印が押されています。
私の知らないところで、勝手に父が署名や実印を押したものと考えています。
私は一切承知していません。
連帯保証の契約は有効なのでしょうか?
以前の銀行では・・・
私が銀行に就職した昭和60年代においては連帯保証人を徴求する時には必ず連帯保証人本人に会って面談するようにはそれほど言われていなかった記憶があります。
融資実務において連帯保証人の署名と捺印が必要な書類を借りる本人、つまり債務者に渡してあとで連帯保証人欄に署名と捺印がある書類を持ってきてもらったことがありました。
今では連帯保証人との面談は必須
しかし現在では銀行は連帯保証人を徴求する場合には必ず銀行員が連帯保証人本人と面談を行い、連帯保証の意思確認を厳格に行っています。
この面談手続きと連帯保証の意思確認を行って初めて連帯保証人の徴求を行っています。
これは今回の質問のように連帯保証人の知らないところで勝手に連帯保証人にされて、その後の銀行が連帯保証人に返済請求を行っても返済を拒絶され、裁判でも負ける事態が続出した背景があります。
回答
連帯保証の契約は意思表示のみによって成立します。
契約書として書面に残すのは、後々のための証拠として意味があるからです。
ご質問者が連帯保証契約の承諾の意思表示をしていないのであれば、どれだけ契約書という書面があっても、連帯保証契約は成立しないのが原則です。
しかし、一方で、取引の安全を保護するために表見代理という制度があります。
※民法第百九条
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
つまり、実印というものが「他人(父)に代理権を与えた」と考えることができ、その実印が押印されている契約書を信じた相手方(銀行)を保護するということです。
しかしながら、銀行はプロですから連帯保証契約にあたりご質問者自身に意思の確認をしていないという大きな落ち度があるのも事実です。
現在の銀行実務においては、連帯保証人への直接の意思確認が絶対となっています。
現実的な対応としては、銀行側に連帯保証契約について承諾していない、知らないということを繰り返し主張されることです。
銀行側がそれでも連帯保証債務の請求を行ってくる場合には、ご質問者が単独で対応されることには限度がありますから、弁護士など専門家に委任するのも1つの方法だと思います。