個人で消費者金融を利用していると銀行からの融資にマイナスの影響があると言われています。
消費者金融の利用が銀行からの融資に与える影響について融資担当の銀行員が説明をします。
目次
消費者金融の利用と銀行の個人ローンへの影響
銀行融資といっても、住宅ローンや教育ローンなどいわゆる個人ローンと事業資金の融資に分かれます。
まずは住宅ローンや教育ローンなどの銀行の個人ローンへの影響について説明をします。
消費者金融を利用した場合の個人信用情報への影響
私たち個人は銀行から個人ローンを利用したり、クレジットカードの利用、消費者金融の利用などおよそ金融取引を行うとその取引状況が必ず個人信用情報として登録されることになっています。
そのため消費者金融での取引は必ず個人信用情報に登録されることになっています。
消費者金融での取引で個人信用情報に登録される内容は次のとおりです。
消費者金融取引で個人信用情報に登録される内容
・消費者金融からの借入額
・消費者金融への返済状況
・消費者金融からの借入残高
これらの情報が個人信用情報に登録されます。
なお最初の消費者金融にローンの申し込みを行った申し込み情報ですが、こちらは消費者金融の審査が通る、通らないの結果にかかわらず、消費者金融に申し込みを行ったという情報そのものが登録されることになっています。
なお申し込み情報は消費者金融特有のものではなく銀行ローンやクレジットカードの新規申し込みの場合においても同様に申し込み情報として個人信用情報に登録されます。
個人信用情報は審査で必ず調査される
銀行やクレジットカード会社、消費者金融会社などの審査の過程で必ずその人の個人信用情報を調査します。
個人ローンや消費者金融などの審査ではいろいろな項目がありますが、その中でも個人信用情報の調査は審査の中核を占める位置にあります。
個人信用情報の調査は審査の中核
個人信用情報の調査でわかること
個人信用情報はさきほども説明をしましたように私たち個人のローンやクレジットカードの利用状況やその支払い状況が登録されています。
ローンやクレジットカードを利用すると毎月決まった日に返済や支払いがあります。
ここで重要なことはローンやクレジットカードは毎月の決まった日に返済や支払いを行うことが当たり前だということです。
ローンやクレジットカードは毎月の決まった支払日に返済や支払いを行うことは当たり前のこと
もし支払日に返済や支払いが遅れるときちんとその情報が個人信用情報に登録されます。
つまり個人信用情報を見ればその人がお金に対してきちんとしている人なのか、それともお金に対してずさんな人なのかが手に取るようにわかるのです。
当然、銀行の個人ローンや消費者金融、クレジットカードの審査にあたってはその人がお金に対してきちんとしていることが前提です。
お金に対してずさんな人にローンやクレジットカードを発行しても、その後の返済や支払いに懸念が持たれることになります。
したがってローンの返済やクレジットカードの支払いを毎月の決まった日にきちんと行っていないと審査には通らないということになります。
消費者金融の利用があると銀行の個人ローンに通らない可能性がある
さて消費者金融にローンを申し込んだ、消費者金融でローンを利用しているといった情報はもれなく個人信用情報に登録がされています。
そして個人信用情報に消費者金融へのローンの申し込み情報や利用状況が登録されていると、銀行の個人ローンの審査に通らない可能性が出てきます。
消費者金融に申し込みをしたが、実際には借りていないとか、消費者金融から借りているが支払いはきちんとしているとしても、個人信用情報に消費者金融の文字があるだけで銀行の個人ローンに通らない可能性が現実にあります。
消費者金融への申し込みや消費者金融の利用があると銀行の個人ローンが利用できない可能性がある
なぜなのでしょうか?
消費者金融に対して銀行が抱くイメージ
もちろん消費者金融は悪ではありません。
きちんとした金融機関の1つです。
銀行が子会社として消費者金融を持っていることも珍しくありません。
しかし個人信用情報に消費者金融の情報があるだけで銀行の個人ローンが利用できない可能性があるのです。
なぜかと言えばそれは消費者金融のイメージが大きく影響しています。
みなさんご存じのように消費者金融の金利は高いです。
二桁の金利です。
銀行のローンよりはるかに高い金利となっています。
私たち個人がローンを利用するときにはもちろん金利は低い方が良いに決まっています。
わざわざ高い金利の消費者金融から借入をするよりは金利が低い銀行のローンを利用するはずです。
ではなぜ金利が高い消費者金融を利用するのでしょうか?
利用する人によって理由は異なると思いますが、一般的に考えると「お金に困っているから」ということが理由です。
仮に実際にそうではなかったとしても、客観的に第三者から見れば「お金に困っている人」と考えてしまうのが自然です。
銀行も第三者であり個人信用情報に消費者金融の文字があると「お金に困っている人」と考えます。
「お金に困っている」ということはローンの返済に大きな懸念がある状態です。
このため消費者金融の利用があると銀行の個人ローンが審査が通りにくくなるのが現実です。
消費者金融で借りると住宅ローンに影響するか
住宅ローンは教育ローンやカードローンなどが通常無担保のローンであるのに対して、購入する自宅を担保に入れる有担保のローンです。
そのため銀行は万が一、住宅ローンが返済されない場合には自宅を売却することにより住宅ローンを回収することが原則としてできます。
消費者金融の利用があると住宅ローンは利用できないと考えるべき
このように住宅ローンはいざという時には銀行は担保である自宅不動産を売却することで住宅ローンを全額回収することができますから、消費者金融の利用があっても住宅ローンが利用できそうです。
しかし現実には消費者金融の利用があると、住宅ローンがまずは通らないと考えてください。
消費者金融の利用があると住宅ローンは通らない
もちろん金融機関によって取り扱いが異なり、消費者金融の利用があっても住宅ローンが利用できるところもあるとは思いますが、大半の金融機関では住宅ローンが難しくなると考えてください。
住宅ローンは超長期の個人ローン
住宅ローンのローン期間は35年とか20年など超長期のローンとなります。
そして住宅ローンは担保があるからではなく、超長期にわたってきちんと返済ができると考えて住宅ローンが実行されます。
そのため住宅ローンの審査では申し込みした人の返済能力の有無が大きなポイントとなっています。
超長期の住宅ローンがきちんと返済ができる、つまり収入が安定していて個人の資金繰り状況に問題がないことが住宅ローンの審査において着目されるポイントです。
この点において消費者金融の利用があるということは資金繰りの安定に大きな懸念が持たれてしまう状況です。
この資金繰り状況の安定への懸念がネックとなり、消費者金融の利用があると住宅ローンの利用が難しくなるのが現実なのです。
消費者金融の利用が住宅ローン利用を阻害するプロセス
消費者金融の利用に関する個人信用情報への登録内容
さてこのように住宅ローンの利用に大きな阻害となる消費者金融の利用ですが、ここで消費者金融の利用と個人信用情報への登録内容及び登録されている期間について整理をします。
消費者金融と個人信用情報
・消費者金融への申込情報は申込をした後、6か月間登録されている。6か月が経過すれば申込情報は削除される。
・消費者金融からの借入金額が登録される
・消費者金融への返済状況が登録される
・消費者金融を完済し解約をしても5年間は個人信用情報に登録されている。そして5年が経過すれば個人信用情報から削除される。
消費者金融を利用したら5年後に住宅ローンにチャレンジする
消費者金融をした場合、完済をし消費者金融を解約したら、その5年後に個人信用情報から情報が削除されます。
したがって消費者金融を利用している場合には、消費者金融からの借入をすべて返済しかつ解約をしてから5年後に住宅ローン利用の可能性が出てくると現実には考えてください。
消費者金融からの借入をすべて返済するだけではだめです。
消費者金融からの借入契約を解約することが大切です。
消費者金融から借入はしていないものの、解約をせずに契約が残っていると個人信用情報に登録され続けていますので注意をしてください。
消費者金融の利用があると絶対に住宅ローンは無理なのか?
消費者金融の利用があると住宅ローンが利用できない可能性が高いことは事実です。
しかし消費者金融の利用があっても住宅ローンが利用できる金融機関もあります。
信用金庫とかノンバンクの住宅ローン会社などが狙い目です。
消費者金融の利用件数が少ないことが重要
しかし消費者金融の利用があっても住宅ローンの利用の可能性があるといっても条件があります。
それは消費者金融の利用件数が1件や2件程度で利用金額も少額で返済も毎月遅れることなくきちんと行っていることが絶対条件です。
消費者金融の利用件数が5件とか10件であれば、住宅ローンが絶対に通らないと考えてください。
また消費者金融の利用が1件であっても、毎月の返済が遅れているといった状況ではやはり住宅ローンは絶対に通らないと考えてください。
消費者金融と事業資金の銀行融資との関係
さて、これまでは住宅ローンなどの個人ローンにおいての消費者金融との関係について説明をしてきました。
ここからは事業資金の銀行融資との関係について説明をします。
個人事業主として銀行から事業資金の融資を利用するとか、社長をしている会社が銀行から事業資金の融資を利用する場合を想定しています。
会社や個人事業主が事業資金を銀行から融資を受ける場合、会社の社長や個人事業主本人が消費者金融から借金がある場合に、事業資金融資の審査に影響を与えることがあります。
銀行融資と消費者金融との関係について実際の事例をもとに説明をします。
質問
昨日、私が経営している会社が銀行から運転資金の融資を受ける契約を結ぶ段取りでした。
当日銀行から連絡がありお聞きしたいことがあるので契約を当日に行えないとのことでした。
理由として、私が以前に消費者金融から借り入れがある為どういう理由で借りたか。
今現在その借り入れが残っているかでした。
理由は、父親と商売を始めて軌道に乗るまでの間資金繰りが苦しいこともありその為に私名義で借り入れました。
残高は現在ありません。
銀行に本店に説明する為、残高が0円の証明と解約を証明できる物を提出して下さいと言われ提出しました。
今は銀行からの連絡待ちです。
融資額は2500万で、私が父親とは別に商売をする為です。
担保として父親の土地に2200万の抵当をつけるのと、保証人として父親をつけるようになってます。
父親の年収は約2000万です。私は現在336万です。
今はまた審査結果待ちという状態なのですが、融資は断られる可能性が高いでしょうか?
消費者金融に対する銀行の印象
銀行融資審査の根本
銀行では融資を行う際に必ず審査を行います。
審査はいろいろな切り口で行いますが、行きつくところは「貸した金が返ってくるかどうか」という一点です。
つまり融資先に返済能力はあるかどうかを審査しているのです。
消費者金融の影響
今回のケースは会社の社長が消費者金融から借金があるケースです。
事業資金の融資を受けようとしているのは会社です。
したがって会社と社長は別です。
しかしながら中小企業においては実際のところは会社と社長は一体です。
少なくとも銀行はそのように見ています。
消費者金融というのは高金利です。
誰でも金利が高い借金などしたくはありません。
ただし資金繰りが苦しくなって急ぎでお金が必要だとか、低金利のローンはすでに利用している場合などにはやむを得ず高金利の消費者金融を利用せざるを得なくなってしまいます。
つまり消費者金融から借金があるということは資金繰りが苦しいのではないか、資金繰りが安定していないのではないかと考えることが出来ます。
実質一体である社長の資金繰りが苦しいということは会社の資金繰りも苦しい、あるいは不安定ではないかという不安を銀行は持ってしまうのです。
安定して返済ができるには資金繰りが安定していることは前提です。
その点において社長が消費者金融から借金があるということは会社の資金繰りが不安定ではないか考えられますから、会社の融資審査が通りにくくなってしまうのです。
今回のケース
今回のケースは問題ないと考えます。
管理者が勤務している銀行では、消費者金融からの借入があったとしても、1,2社程度であれば問題なしとしています。
ただ銀行によって規定は異なることはお含みおきください。
利用していないこと、既に解約済みであることが銀行がわかれば、会社宛の融資審査は通る確率が高くなります。