銀行の融資審査はいろいろな切り口から行われますが、究極の審査ポイントは「貸したお金が返ってくるかどうか」です。
融資の審査落ちの原因もさまざまですが、今回の貸付金について説明をします。
ある運送業の事例
ある運送業のお客さんで最近、信用保証協会に保証の申し込みを行いました。
結果は申込通りで保証決定となりましたが、信用保証協会から「貸付金が増加しないように銀行さんからの指導してください。今後貸付金が増加しているようなら新たな保証は出来ません。そのことをしっかりとお客さんにも伝えてください」との指摘を受けました。
そのお客さんの決算書には、取引先や経営者宛に数千万円ほどの貸付がなされていることが記されています。
貸付金とは
貸付金とは文字通り第三者に資金を貸し付けていることです。
銀行などの金融機関においては貸付金というのは業務にあたります。
しかし運送業において貸付業務は業務とは関係のない項目です。
貸付金が融資の審査落ちになる理由
銀行や信用保証協会が貸付金を嫌う理由は大きく嫌い、融資の審査落ちになってしまう理由は大きく2つがあります。
融資の審査落ち理由その1
1つめは貸付金はその会社の業績にマイナスとなり、かつ資金繰りを圧迫するからです。
貸付金は本業とはほとんど関係がありません。
それにも関わらず固定化してしまうことが多い傾向があります。
資金が固定化するとは貸付金が会社に戻ってこないということと同じ意味です。
大切な資金を本業以外の部分に固定化してしまえば、本業の資金繰りを圧迫することになります。
また貸付金が利益を生み出すことはほとんどありません。
要するに貸付金が事業にプラスになることはないのです。
資金繰りを圧迫する、事業にはプラスにならないとなれば、銀行などからすると融資の返済に懸念が持たれる事態になります。
融資の審査落ち理由その2
貸付金が融資の審査落ちの理由となる2つめは資金使途の違反です。
銀行や信用保証協会は運転資金や設備資金など事業性の資金を融資したり、保証したりするのが仕事です。
貸付金は運転資金や設備資金といった事業性の資金とは言えません。
つまり運転資金や設備資金として融資や保証をしたにも関わらず、それ以外の貸付金に流用されてしまうということです。
銀行や信用保証協会は融資した、あるいは保証したものをきちんと返済していただかないとなりません。
ところが貸付金は上記理由から返済の足を引っ張る要素を多分に含んでいます。
事業の健全化を図るうえでも貸付金は極力発生させないようにしてください。
貸付金が多いと、運転資金の融資をしてもまた貸付金に流用されるのではないかと銀行などは考えてしまいます。