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融資審査マンの見方 銀行の本音 中小企業社長との面談日誌

約束を守らない社長と銀行の融資の判断基準

銀行の融資審査は融資先の返済能力の審査が中心となります。
返済能力の審査とは決算書、つまり業績の検証です。
しかし銀行の融資審査は業績云々の前に融資先との日頃の取引関係が考慮されます。
今回は融資先の社長が約束を守らないことと融資の判断基準との関係です。

属性は融資の判断基準の1つ

銀行の融資の判断基準は融資先の返済能力など信用面の良し悪しが大きな判断要素となります。
銀行の融資業務はただ貸すだけではなく最後まで融資を回収することで融資業務が完結します。
そのため融資の返済がきちんとできるかどうかと返済能力の検証は融資の判断基準で大きなウエイトを占めています。
しかしただ返済する能力がある必ず銀行は融資を実行するわけではありません。

顧客の属性は銀行の融資の判断基準の1つ

銀行は営利企業

銀行は融資により事業者の資金繰りを支えるという社会的な役割があります。
そのため銀行には公共的な使命があります。
ただし所詮は銀行は株式会社です。
株式会社は収益を獲得しなければなりません。
収益にならない、あるいは収益にマイナスとなるような取引はいくら社会的な役割、公共的な使命があったとしても銀行は行いません。

社会的公共的役割がある銀行も所詮は収益を追い求める営利企業

属性面も融資の判断基準

業績云々の前に銀行は顧客の属性面をまず評価します。
一般社会の取引もそうですが、およそ取引をするには双方の信頼関係が根幹にあるはずです。
お金を扱う銀行取引においてはこの信頼関係は絶対的な存在です。
信頼できない顧客とはどれだけ業績が良好でも落ち着いて長く、かつ安心した取引は出来ないものです。

属性は融資取引の根幹であり融資の判断基準の1つ

ある事例~取引地位が下位の先からの融資案件

管理者である私が以前担当していたAA社の事例をご紹介します。
AA社は主に魚のレトルト商品を販売している商社でした。
AA社との取引歴はそれほど長いものではなく、5つの金融機関と取引がある中で当行は融資シェアでは最低の位置付けでした。
当行の融資はいわゆるプロパー融資のみ。
融資以外の取引はまったくない状態で、AA社の預金口座は毎月の融資の返済資金の入金と返済の引き落しのみの状態でした。
AA社の業績はまずまずであったため、私は訪問頻度を上げてAA社との取引を拡大出来ないか各種提案を含めて営業を行っていました。
このような動きを1年ほど行っていた時にAA社から融資の相談が来ました。
私はこの1年ほどの地道な営業活動が少し実ったものとうれしく感じました。

他の取引銀行の動きが気になるが・・・

AA社に出向き社長と話をして融資の検討資料として、最近の試算表と金融機関の預金・借入の取引状況表を徴求しました。
社長からは「保証協会の枠は一杯だと思うから、今回もプロパー融資を検討願いたい」というものでした。
私は銀行に戻りさっそく本日徴求した資料等を参考にしてプロパー融資の検討可否を考えました。
業績は正直なところ前期比やや下降気味でした。
ただ社長との面談時に確認した際、今期は前期比マイナスとなるものの最終利益は黒字を確保出来る見通しとのことでした。
もっとも私が気になったのは業績面が前期比マイナスという点よりも、取引他行の動きでした。
面談時に徴求した取引各行との借入状況を見ると、すべての銀行からの借入が減少していました。
AA社の資金繰りは決して潤沢というものではなく、資金繰りを維持・安定させるためには一定の新規借り入れは必要だと私は考えていました。
それが少なくとも1年以上は取引各行からの借入金が増えていません。
増えていないということは新規の借入はなく、もっぱら返済のみを続けてきたということです。
そのためAA社の試算表上での現預金の水準は前期比大幅に減少していました。
手許資金を取り崩して借入金の返済に充てていることが読み取れました。
社長からは特に借りる必要もなかったので手許資金で返済をしたきたとのこと。
私はそうかもしれないと思いましたが、その一方で「他行から借入が出来なかったのでは?」とも考えました。
確かに手許資金を取り崩せば返済が出来たかもしれませんが、少なくとも徴求した直近の試算表では現預金の水準はかなり低下しており、日々の資金繰りのやり繰りには苦しい場面があるのではないと考えられました。
本来は他行からの借入減少の真の理由を確認してから融資の可否判断に臨まなければならないところですが、その時の私の心境は足かせ1年間の営業活動でようやく新規融資の話にたどり着いた思いが強かったですから、何とかこの融資案件を実現させたい気持ちが優先しました。

社長との約束事を信じて融資実行

上席者との協議の結果、プロパー融資を実行することになりました。
ただし条件がつきました。
その条件というのは、

融資の条件

①売上入金の確保
②今期決算が確定した時点で信用保証協会保証付融資の実行
③買掛金支払などの振込取引の確保
の3点でした。
私はさっそく社長の面談し、この3つの条件を近々実現してほしい旨交渉を行いました。
まず売上入金についてですが、すべての入金を当行宛に変更することは無理であるが、一定の売上入金は相手方との交渉もあるが可能とのこと。
来月以降順次対象先の売上先に当行宛への入金に変更していただくよう依頼をしていただけることになりました。
次に信用保証協会の保証付融資です。
これについても今期決算が確定し、信用保証協会の追加保証が可能であれば申し込みをしていただくことを約束してもらいました。
最後の振込取引については現在は借入取引のない他の銀行を利用しているのですが、これについても当行から振込をしてもらうことを約束してもらいました。
社長から当方からの約束事をすべて了解していただいたことから、当行はプロパー融資の実行に踏み切りました。

約束事が履行されていない

それから3か月後、社長から連絡がありもう少し融資をしてもらえないかとの相談がありました。
私は前回の約束事の3つのうち、信用保証協会の保証付融資についてはまだ今期決算が確定したいため時期が到来いないため、残りの2つの約束事の進捗状況を確認しました。
私としては前回融資時に社長が快く約束してくれたために、当然すでに実行してもらっている、あるいは準備が進んでいるものと考えていました。
ところが社長に確認したところ、まったくといってよいほど進んでいません。
売上入金については「まだ相手方に話をしていない」、振込取引についても「経理の人間の手間暇が増えるのでまだ出来ていない」という回答でした。
私はやや強めに前回の約束事の実施が進んでいないことは不芳であることを伝えました。
これに対して社長からは「こちら側にも事情があるから一方的に言われても」と主張されるどころから「前回融資の契約書にそのようなことは書いてないでしょ」との弁。
確かに融資の契約書に売上入金をシフトするとか、振込取引を開始するなどは一言も書いてありません。
これはあくまでもAA社、そして社長との信頼に基づく事柄です。
それを上記のように言われてはこれ以上AA社、そして社長を信用することは出来ません。

信頼できない属性という判断基準で融資を謝絶

今から振り返ってみればAA社は他行に対してもいろいろな約束事を反故にし信頼関係が崩れていたため、追加融資が受けられなくなっていたのです。
そのためにこのようなことを知らずにせっせと営業してくる私に融資の相談を前回行ってきたのです。
そして融資を受けるために、最初からの履行するつもりなどない事柄を「やります。やります」と言っていたのです。
私はとてもAA社に追加融資を検討する気持ちなど持てませんでした。
そして数日後融資の申し出をお断りしました。

約束を守らない⇒信頼できない⇒顧客属性が良くない⇒融資謝絶

まとめ

冒頭でも述べましたが取引先の取引の根底にあるのは信頼関係です。
顧客の信頼関係は融資の判断基準の前提条件です。
これがなければどれだけ業績が良好な先であっても長いつきありとなる融資取引等出来ません。
特に中小企業の場合には企業=社長ですから、社長との信頼関係は取引上欠かせない要素なのです。
融資判断の要素としてよく「人、物、金」と言われますが、信頼関係は「人」の部分に該当します。
この信頼関係は取引先の業績面と同等、あるいはそれ以上に重要な事柄です。

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