従業員のボーナスを支払うための資金は賞与資金として銀行融資の対象です。
賞与資金の融資について銀行はどのような視点で審査を行っているのかを説明します。
賞与資金とは
賞与資金とは従業員に支給されるボーナスの支払いに充てるための銀行融資です。
役員賞与は決算資金に含まれるため賞与資金には該当しません。
企業にとっては賞与資金は一度にまとまった支払いになるため、銀行融資にて資金調達するのが一般的になっています。
賞与資金の所要額は次の算式により計算することが出来ます。
所要資金=平均給与額×支給月数×従業員数
賞与資金の審査ポイント
過去との実績比較
賞与資金の融資審査において銀行がまず着目する点は過去との実績との比較です。
基本的に賞与の支給額は過去の実績と大きく乖離することはありません。
従業員一人一人の支給額はその人の実績によって大きく変動することもありますが、賞与の支給総額は過去と大きく乖離することはまずありません。
したがって銀行としては過去との比較において今回の賞与資金の融資申込金額が妥当な水準であるのかどうかを確認をしています。
他の資金使途の混入を警戒
なぜ過去の実績との比較を銀行が行うのかと言えば、それは賞与資金以外の他の使途の混入です。
例えば例年は1回あたりの賞与の支給総額が1,000万円程度の会社より、今回2,500万円の賞与資金の融資申し込みがあった場合を考えてみます。
今回の2,500万円の融資申込金額は例年の2.5倍です。
これは明らかに過去の実績と大きく乖離していると考えざるを得ません。
足元の業績がとても良好で従業員にそれを還元するといった納得の理由があれば別ですが、業績も過去とそれほど変化がない中で例年の2.5倍の賞与支給はやはり疑問符が付きます。
差額の1,500万円については賞与支給の目的ではなく、別の目的のためとの懸念が出てきます。
足元の業績が不振で赤字であれば、赤字のための資金繰りの補填が目的とも考えられます。
別の使途は別の融資で
もし別の使途の資金が必要であれば賞与資金とは別に銀行に融資相談をすべきです。
賞与資金の融資額に上乗せして申込をすべきではありません。
賞与資金の融資額に上乗せした方が銀行の融資審査が通りやすいといったことはありません。
賞与資金の融資期間
賞与は半年毎に支給されるのが一般的です。
したがって次の賞与支給までに完済することが原則で、賞与資金融資は期間半年の分割返済が一般的です。