事業を行うには運転資金が必要だとよく言われます。
ところで運転資金とは何でしょうか。
運転資金の考え方について説明をします。
目次
運転資金の重要性
運転資金の考え方を理解する前にまずは運転資金の重要性について理解をしてください。
事業を行うには資金が必要となってきますが、この資金をスムーズに回せないと事業活動はできなくなります。
事業活動における資金は人間の体でいえば本当に血液に相当します。
血液が足らなくなれば死亡しますし、血液の流れが滞ればやはり死亡もしくは重大な病気になる可能性があります。
事業活動におけるこの資金は事業活動の命に係わる重要事項です。
この資金がスムーズに流れるかどうかは運転資金と深い関係があります。
といいますが、資金とは運転資金のことだと言っても良いでしょう。
まずは運転資金は事業活動においてなくてはならない重要なものだとまずは認識をしてください。
運転資金の考え方
運転資金の考え方を理解するには資金の循環を考えるとわかりやすいと思います。
資金の循環
この図を参考にしていただきながら資金の循環について説明をします。
資金の循環がわかれば運転資金の考え方がわかります。
なおこの図は製造業を例にして示していますので、製造業を例にして資金の循環を説明していきます。
手元資金は原材料に姿を変える
製造業において製品を製造するには原材料が必要です。
そのため製造する前にまずは原材料を手当てしなければなりません。
ここで原材料を手当てするために手元資金を使用します。
この時点で手元資金は原材料に姿を変えました。
原材料を使って製品を製造
さて手当てをした原材料を使用して製品を製造します。
この時点で手元資金は製品に姿を変えました。
出来上がった製品は在庫として保存され売却されるを待つことになります。
製品売却し売上代金が手元に入ってくる
さて製品が販売される、つまり売上が発生して販売先から売上代金を回収することになります。
販売先が支払うことにより製品は資金に姿を変えます。
つまり当初投入した手元資金が手元に戻ってくるわけです。
手元資金は姿を変える
簡単な例ではありますが当初手元にあった手元資金は手元資金→原材料→製品→売上→手元資金と姿を変えて最後に再び資金が戻ってくることになります。
これが資金の循環です。
手元資金が戻ってくるには時間がかかる
このように手元資金は手元資金→原材料→製品→売上→手元資金と姿を変えて再び手元に資金が戻ってくるわけですが、当初の手元資金が再び手元に戻ってくるまでには時間がかかります。
製品がなかなか売れなければそれだけ手元資金が戻ってくる時間も長くなります。
手元資金が戻ってくる間に必要な支払がある
当初の手元資金が再び手元に戻ってくるまでにはこのように一定の時間がかかるわけですが、手元に戻ってくるまでの間には支払があるはずです。
次の製造のために新たな原材料の仕入れが必要でしょうし、また従業員への給与の支払いもあります。
さらには家賃や光熱費、保険料などの経費も支払もあるでしょう。
これらの支払は手元に資金が戻ってくるまで待ってくれません。
手元に資金が戻ってくるまでのつなぎが必要
このように手元に資金が戻ってくるまでの間の支払に対応するには資金のつなぎが必要です。
この資金のつなぎこそが運転資金なのです。
資金のつなぎが運転資金の考え方となります。
運転資金の考え方について理解をしていただいたでしょうか。
どれくらいの運転資金が必要なのか
運転資金の考え方が理解できたとして、ではどれくらいの運転資金が必要なのか気になると思います。
答えは簡単ですよね。
運転資金は手元資金が手元に戻ってくるまでの間の資金のつなぎでした。
であるならば手元資金が手元に戻ってくるまでの期間を把握すれば良いのです。
1ヶ月の売上高対比で考えるとわかりやすい
手元資金は売上代金の姿で手元に戻ってくるわけです。
ということは売上代金はすべて運転資金として必要な資金だと考えることができます。
そのため運転資金がいくら必要なのかを考えるにあたっては1ヶ月あたりの売上高を念頭に考えるとわかりやすいです。
仮に1ヶ月の売上高が1,000万円だとします。
そして原材料に姿を変えてから売上代金として手元に戻ってくるまでの期間が2ヶ月だとすると、必要な運転資金は1ヶ月の売上高1,000万円×2ヶ月=2,000万円ということになります。
手元に戻ってくるまでの期間は製品の製造にどれくらいの時間がかかるのか、出来上がった製品が販売されるのにどれくらいの時間がかかるのか、販売されてそれが販売先から売上代金として支払いを受けるのはどれくらい後なのかを確認することにより、手元資金が手元に戻ってくるまでの期間を計算することができます。
なお原材料の仕入れにおいてはすぐには仕入代金を支払うことではなく、後日に支払うことが一般的だと思います。
この場合には仕入をしてもすぐには資金が必要ではないわけですから、仕入が発生し実際に代金を仕入する期間をさきほども手元資金が手元に戻ってくるまでの期間から差し引くことでより正確に必要な運転資金額を把握することができます。
運転資金の考え方のまとめ
以上、運転資金の考え方をまとめると次のようになります。
まとめ
・運転資金とは手元資金が手元に戻ってくるまでの資金のつなぎ
・必要な運転資金額は1ヶ月の売上高と手元資金が手元に戻ってくるまでの期間でわかる