住宅ローンやカードローンなど個人向けのローン商品では具体的な金利が示されています。
一方で会社や個人事業主向けの事業資金の融資では決まった金利の提示はありません。
事業資金における銀行融資の金利の決まり方について説明をします。
目次
銀行融資の金利に関する質問
細々と中小企業を経営しているものです。
先代の時代からつきあいのある銀行から融資を受けさせてもらっています。
しかし金利が高いような気がするのです。
法人会の他の中小企業の経営者の話を聞いていると、うちの金利は高いような気がするのです。
なぜうちの金利は他の会社より高いのでしょうか。
銀行融資の金利が決まる5つの要素
事業資金の金利は住宅ローンやカードローンのような個人向けローン商品とは異なり、金利が初めから決まっているものではなく顧客ごとに個別に決定されています。
事業資金の金利は次にように5つの要素で個別に金利が設定されます。
そのため顧客ごとに金利が異なってきます。
銀行融資の金利を決める要素1 業績
銀行にとって金利というのは貸倒リスクに対する対価という側面があります。
そのため貸倒リスクが高い先には高い金利を、貸倒リスクが低い先には低い金利を設定します。
貸倒リスクが高いか低いかの判断は業績により行います。
業績が良ければ融資の返済に問題がない、つまり貸倒リスクは低いと考えることができます。
これに対して赤字決算など業績が悪ければ融資の返済に懸念が持たれる、つまり貸倒リスクが高いと考えることができます。
融資金利は貸倒リスクに対する対価
信用格付により金利目線が決まる
業績を中心とした信用面の良し悪しを銀行では信用格付にて顧客ごとに設定をしています。
信用格付とは簡単に言えば業績に応じた成績ランクのようなものです。
そして信用格付により金利の目線が設定されています。
そのため顧客の信用格付のランクにより土台となる金利が決まります。
信用格付のランクにより金利目線となる金利の定価が決まる
銀行融資の金利を決める要素2 保全
銀行融資の金利を決める要素の2つ目は保全です。
保全とは担保のことです。
担保があれば銀行は万が一の際にはその担保を競売などで処分することにより融資を回収することができます。
担保の分だけさきほどの貸倒リスクが低いと考えることができます。
そのため担保、つまり保全が確保されているほど金利は低くなります。
信用格付により金利の目線が決まると説明をしましたが、その目線から保全の分だけ金利を引き下げることができるということです。
担保があれば金利は引き下げられる
銀行融資の金利を決める要素3 融資期間
銀行融資の金利を決める3つ目の要素は融資期間です。
銀行にとっては融資期間が長いほど貸倒リスクが高くなります。
期間が長いということはそれだけ将来の不確実性が高くなりますから貸倒リスクが高くなるのです。
そのため金利は融資期間が長いほど高くなる傾向となります。
定期預金の金利は預入期間が長いほど高い金利が設定されていますが、それと同じです。
融資期間が長いほど金利は高くなる傾向
銀行融資の金利を決める要素4 採算
銀行融資の金利を決める4つ目の要素は採算です。
銀行も株式会社ですから収益を獲得しなければなりません。
銀行の収益源は融資の他に振込の手数料や外国為替に関わる各種手数料などいろいろとあります。
融資以外にも取引があり収益が獲得されていれば、その顧客との採算は良好なものとなります。
融資の収益源は金利ですが、その他の取引で採算が確保されていれば金利を低く設定しても採算割れということにはなりません。
そのため採算が充実している顧客には融資金利を低くすることができます。
融資以外の取引により採算良好であれば融資金利が引き下げられる
銀行融資の金利を決める要素5 他行との競争
銀行融資の金利を決める5つ目の要素は他の銀行等との競争です。
価格競争の世界です。
他の銀行が低い金利を提示していれば、その融資を獲得するために金利を引き下げるといったことはよくあることです。
他の銀行との競争により金利を低くする
銀行融資の金利に関するまとめ
以上、銀行融資の金利についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・業績に応じた信用格付により金利の定価が決まる
・担保があれば融資金利が引き下げられる
・融資金利は融資期間が長いほど高くなる傾向
・融資以外の取引により採算良好であれば融資金利が低くなる
・他の銀行との競争により融資金利が引き下げられることがある