事業においてもっとも大切なことは資金繰りを安定させることです。
資金繰りを安定させるうえで必要な運転資金がどの程度かを把握しておくことはとても大切なことです。
今回は運転資金が月商の何倍必要かを知る方法をご案内します。
目次
運転資金の重要性
運転資金を確保することは資金繰りの安定にとって欠かせない事柄です。
もし運転資金が不足するという事態になれば、それは仕入代が支払えない、従業員に給料が支払えない、家賃が支払えないという事態になり事業の継続に致命的なです。
したがって運転資金は日頃から必ず準備をしておきたい資金繰りの中心中の中心です。
資金ショートを起こさないように運転資金を目安を知っておくことは極めて重要なことです。
どのくらいの運転資金が必要なのか、その目安としては1ヶ月の売上高、つまり月商を基準にするとわかりやすいと思います。
運転資金が月商の何倍必要なのかをぜひ頭の中に入れておきましょう。
運転資金が月商の何倍必要かを知る方法
では運転資金が月商の何倍必要かを知るために方法をご案内しますが、ここで重要となるキーワードは立替期間です。
立替期間とは
運転資金に関係する立替期間は3つあります。
運転資金に関係する3つの立替期間
2.棚卸資産回転期間
3.買掛債務回転期間
ところで立替期間とは何かですがこれを理解するにはこの3つの回転期間の意味を知れば簡単です。
売掛債権回転期間
例えば1月31に発生した売上代金を翌月末の2月28日に回収するとします。
つまり売上代金は1ヶ月後に手元に入ってくるということです。
売掛債権回転期間とはこの売上代金が手元に入ってくるまでの期間のことです。
この例では売掛債権回転期間は1ヶ月となります。
これを月商で示すと売掛債権回転期間は月商の1倍ということです。
売掛債権回転期間⇒売上が発生して売上代金が回収されるまでの期間
棚卸資産回転期間
棚卸資産回転期間とは棚卸資産、つまり在庫が手元に入ってきてその在庫が売れるまでの期間です。
例えば1月31日に倉庫に棚卸資産が入ってきてそれが3月31日に売れたとすると棚卸資産回転期間は2ヶ月です。
もっと簡単に棚卸資産回転期間には棚卸資産が月商の何ヶ月分あるかを調べる方法です。
棚卸資産が月商の3ヶ月分だとすると棚卸資産回転期間は3ヶ月ということになります。
棚卸資産回転期間を月商で言い換えると棚卸資産が月商の3倍あるということです。
買掛債務回転期間
例えば1月31日に仕入をした材料代の代金を翌月末の2月28日に支払うということであると買掛債務回転期間は1ヶ月となります。
つまり買掛債務回転期間とは仕入をしてからその代金を支払うまでの期間のことです。
月商を基準にすると1ヶ月の買掛債務回転期間は月商の1倍ということです。
各回転期間が月商の何倍かを計算する早見表
月末締めを基準にしてよくある取引形態における回転期間、つまり月商の何倍かの早見表を次に示します。
月商の何倍かの早見表
・月末締めの翌々月末回収 → 回転期間は2.5ヶ月。月商の2.5倍
月末締めの翌月末回収がなぜ月商の1倍ではなく月商の1.5倍になるかを説明します。
ここでは1月末締めの2月末回収を例とします。
月末締めというのはその月の売上を月末に締めるということです。
そのため1月1日に発生した取引も1月末に締めますし1月31日に発生した取引も1月末に締めます。
1月1日に発生した売上の代金は2月末に回収されます。
そうすると1月1日に発生した売上代金はざっと2ヶ月後に回収されることになります。
一方で1月31日に発生した売上代金は1ヶ月に回収されることになります。
つまり平均すると1.5ヶ月ということになります。
そのため月末締めの翌月末回収では月商の1.5倍ということになるのです。
運転資金が月商の何倍必要か
さてこれまで売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間、買掛債務回転期間の3つを見てきましたがこの3つの回転期間から必要な運転資金は簡単に計算をすることができます。
その計算式は次のとおりです。
売掛債権回転期間と棚卸資産回転期間はまだ資金が回収されていない期間となります。
これに対して買掛債務回転期間は資金をまだ支払いする必要がない期間となります。
いずれにしても上記の計算式にて立替期間を算出しそれに月商を掛けることで必要となる運転資金の金額を把握することができます。
つまり月商の何倍の運転資金が必要なのかを把握することができるのです。
運転資金が月商の何倍必要かを知る方法のまとめ
以上、運転資金が月商の何倍必要かを知る方法をまとめますと次のようになります。
まとめ
・売掛債権回転期間+棚卸資産回転期間-買掛債務回転期間のことを立替期間という
・回転期間や立替期間の基準は月
・立替期間=月商の何倍
・つまり立替期間がわかれば運転資金が月商の何倍必要かがわかる