銀行融資の基本・審査

借入金の残高があっても追加融資は可能?保証協会付き融資の借換えと審査を解説

銀行から融資を受けて返済している途中で、さらに運転資金が必要になることがあります。

このとき、経営者の方からよくあるのが「前に借りた融資がまだ残っているのですが、追加融資は受けられますか?」という質問です。

結論から言えば、既存の銀行融資に借入金残高があっても、追加融資を受けることは可能です。

以前の融資を完済しなければ、新たな融資を受けられないという決まりはありません。

ただし、追加融資を受けられるかどうかは、現在の業績や資金繰り、既存借入金の返済状況、新たな融資の必要性などによって判断されます。

また、信用保証協会付き融資の場合には、銀行だけでなく信用保証協会の審査も関係します。

今回は、信用保証協会付き融資500万円を借り、現在300万円の残高がある工務店からの相談事例をもとに、追加融資の可能性と銀行の審査について解説します。

借入金の残高がある場合の追加融資に関する相談事例

まず、今回の相談内容をご紹介します。

工務店経営者からの相談

小さな工務店を経営しています。

3年ほど前に、信用保証協会の保証付きで銀行から運転資金500万円を借りました。

その後、返済を続けており、現在の借入金残高は300万円ほどです。

これまで返済が遅れたことはありません。

しかし、最近は業績が悪化しており、資金繰りが苦しくなってきました。

そのため、再び銀行から運転資金を借りたいと考えています。

以前の借入金が300万円残っている状態でも、追加融資は受けられるのでしょうか。

できれば、以前借りた500万円よりも多い金額を希望しています。

今回の相談内容を整理すると、次のとおりです。

項目 内容
業種 工務店
当初の融資額 500万円
現在の借入金残高 300万円
返済済みの元金 200万円
融資の種類 信用保証協会付き運転資金融資
返済状況 延滞なし
現在の業績 悪化傾向
希望 追加の運転資金を調達したい

この相談について、銀行がどのように考えるのかを説明します。

借入金の残高があっても追加融資は可能

今回の質問に対する答えは、借入金の残高が300万円あっても、追加融資を受けることは可能ということです。

銀行融資では、既存の融資をすべて返済してからでなければ、新たな融資を受けられないというわけではありません。

実際に、多くの中小企業は複数の銀行融資を利用しながら事業を行っています。

例えば、次のようなケースです。

  • 既存の運転資金融資を返済しながら、追加の運転資金を借りる
  • 設備資金の融資を返済しながら、運転資金を借りる
  • 複数の銀行から融資を受ける
  • 既存借入金を借り換える際に、追加の運転資金も調達する

このように、既存借入金が残っていること自体は、追加融資を受けられない理由にはなりません。

ただし、追加融資によって借入金が増える場合には、その必要性と返済能力が重要になります。

返済が進んだ200万円は追加融資の一つの目安になる

今回の相談では、当初500万円を借りており、現在の残高は300万円です。

したがって、これまでに200万円の元金返済が進んでいます。

返済済み元金の計算

当初の融資額:500万円

現在の借入金残高:300万円

返済済み元金:500万円-300万円=200万円

銀行の融資実務では、このように返済が進んだ金額を参考にして、追加融資や借換えを検討することがあります。

返済済みの金額が参考になる理由

例えば、現在の借入金残高300万円に対して、新たに200万円を追加融資した場合、借入金の合計は500万円になります。

これは、当初の融資額と同じ金額です。

そのため、銀行から見ると、当初の融資額を超える借入金の増加にはならないという見方ができます。

このことは、追加融資を検討する際の一つの材料になります。

200万円なら必ず借りられるわけではない

ただし、ここで注意していただきたい点があります。

返済が200万円進んでいるからといって、200万円の追加融資が必ず認められるわけではありません。

銀行は、当初の融資時点と現在の業績や資金繰りを比較します。

例えば、当初の融資時点では黒字だった会社が、その後赤字になり、資金繰りも悪化している場合には、同じ融資額を維持することにも慎重になる可能性があります。

また、信用保証協会付き融資の場合には、保証制度の条件や信用保証協会の審査も関係します。

返済が進んだ金額は参考になりますが、それだけで融資の可否が決まるわけではありません。

借入金の残高がある場合の追加融資の借り方は2つ

今回の相談では、借入金残高が300万円あり、200万円の追加資金を調達したい場合、主に次の2つの方法が考えられます。

方法1:既存の融資とは別に200万円を借りる

一つ目は、現在の300万円の借入金をそのまま返済しながら、新たに200万円の融資を受ける方法です。

この場合、借入金は次のようになります。

借入金 残高
既存の融資 300万円
新たな追加融資 200万円
借入金合計 500万円

この方法では、既存の融資と新たな融資が別々になります。

そのため、新たな融資が分割返済であれば、既存融資の返済に加えて、新たな融資の返済も始まります。

毎月の返済額が増える可能性がある点に注意が必要です。

方法2:500万円の融資に借り換えて200万円を追加調達する

二つ目は、新たに500万円の融資を受け、その資金のうち300万円で既存借入金を返済する方法です。

この場合、実質的に手元に残る追加資金は200万円です。

借換えによる追加融資の例

新たな融資額:500万円

既存借入金の返済:300万円

追加で調達できる資金:200万円

この方法では、既存の借入金を返済して新たな融資にまとめるため、借入金の口数を増やさずに済む場合があります。

ただし、信用保証協会付き融資の借換えが可能かどうかは、利用する保証制度や銀行・信用保証協会の審査によって異なります。

また、実際の手取り額は、保証料や手数料などの負担によって変わる場合があります。

追加融資と借換えではどちらがよいのか

元の融資とは別に借りる方法と、借換えによって追加資金を調達する方法では、毎月の返済負担が異なる場合があります。

別口融資では毎月の返済額が増える場合がある

既存の300万円の借入金を返済しながら、新たに200万円を借りる場合、借入金の口数は2口になります。

新たな融資が分割返済であれば、その分の返済が追加されます。

したがって、借入金残高の合計が当初の500万円と同じであっても、毎月の返済額が増える可能性があります。

借換えでは返済期間を見直せる場合がある

借換えによって新たに500万円の融資を受ける場合、融資条件によっては返済期間を改めて設定できることがあります。

その結果、毎月の返済額を抑えられる場合があります。

ただし、借換えを行えば、毎月の返済額が必ず従来と同じになるわけではありません。

毎月の返済額は、新たな融資の返済期間や返済方法によって決まります。

また、返済期間を長くすると、毎月の返済額は軽減できても、支払利息の総額が増える場合があります。

資金繰りを踏まえて借入方法を選ぶ

今回のように、業績が悪化して資金繰りが苦しくなっている会社では、追加融資後の毎月の返済額が重要です。

新たに資金を借りることができても、毎月の返済額が増えてしまえば、資金繰りがさらに厳しくなる可能性があります。

そのため、銀行には追加融資の可否だけでなく、借換えを含めた返済方法についても相談することが重要です。

返済済みの200万円を超える追加融資は可能か

今回の相談者は、返済済みの200万円だけでなく、以前借りた500万円よりも多い金額の追加融資を希望しています。

この場合、銀行の審査はさらに慎重になる可能性があります。

追加融資後の借入金残高が当初より増える場合

例えば、現在の借入金残高300万円に対して、新たに500万円を追加融資した場合、借入金残高の合計は800万円になります。

当初の融資額500万円と比べると、借入金が300万円増加することになります。

銀行は、なぜ借入金を増やす必要があるのかを確認します。

売上拡大によって必要運転資金が増えている場合

例えば、売上高が増加し、売掛金や仕掛工事などが増えている場合には、必要運転資金が増加することがあります。

このような場合、追加融資の必要性を説明しやすくなります。

ただし、売上高が増加していても、利益や資金繰りが悪化している場合には、返済能力について慎重な判断が必要です。

業績が悪化している場合は審査が厳しくなる

一方、今回の相談者のように、業績が悪化している会社が当初の融資額を超える追加融資を希望する場合、銀行は慎重になります。

なぜなら、業績悪化によって資金繰りが厳しくなっている場合、追加融資を行っても、今後の返済能力が改善するとは限らないためです。

ただし、業績が悪化している会社でも、赤字の原因が一時的であり、今後の受注や利益回復の見通しを具体的に説明できる場合には、融資を検討できることがあります。

返済済みの金額を超える追加融資が可能かどうかは、資金の必要性と今後の返済能力が重要です。

追加融資・借換えでお悩みの経営者の方へ

「以前の融資がまだ残っている」「業績が悪化しているが追加融資を受けたい」「借換えによって毎月の返済額を減らしたい」といった悩みを抱える経営者の方もいるでしょう。

追加融資では、借入金の残高だけでなく、現在の資金繰り、必要資金額、今後の返済能力を整理することが重要です。

銀行融資・資金繰りのメール相談

追加融資、信用保証協会付き融資、借換え、借入金返済、資金繰り改善、取引銀行との交渉などに関するご相談をメールで受け付けています。

※融資の承認・実行や返済条件の変更を保証するものではありません。

信用保証協会付き融資に残高がある場合の追加融資

今回の相談では、既存の500万円の融資は信用保証協会の保証付き融資です。

信用保証協会付き融資の場合には、銀行の審査に加えて、信用保証協会の審査が必要になります。

信用保証協会付き融資でも追加融資は可能

信用保証協会付き融資に残高があっても、追加の保証付き融資を申し込むことは可能です。

ただし、保証制度の対象要件や保証限度額、既存の保証利用状況、会社の信用状況などによって判断されます。

既存の保証付き融資を返済中だからといって、自動的に追加保証が認められるわけではありません。

返済済みの200万円がそのまま保証枠になるとは限らない

今回の相談では、500万円の融資のうち200万円を返済しています。

しかし、200万円返済したからといって、その金額を必ず追加で保証してもらえるわけではありません。

信用保証協会は、現在の業績や資金繰り、既存借入金の返済状況、保証制度の条件などを確認します。

また、保証制度によっては、既存借入金の借換えに利用できるものと、利用条件が限定されるものがあります。

そのため、追加融資や借換えを希望する場合には、取引銀行に利用可能な保証制度を確認することが重要です。

工務店の追加融資で銀行が確認するポイント

今回の相談者は工務店を経営しています。

建設業では、工事代金の入金までに材料費や外注費などの支払いが先行することがあります。

そのため、銀行は工事の受注状況や資金回収予定などを確認します。

1. 受注残高と今後の売上見通し

工務店の場合、今後どの程度の工事を受注しているかが重要です。

受注残高が十分にあり、今後の売上高が見込める場合には、資金繰りの見通しを説明しやすくなります。

一方、受注が減少している場合には、今後の売上高や利益の回復見通しが重要になります。

2. 工事代金の入金予定

建設業では、工事の進捗に応じて入金される場合や、工事完成後に代金が入金される場合があります。

そのため、工事代金の入金予定を確認し、材料費や外注費などの支払いとの時間差を把握することが重要です。

3. 工事ごとの利益

売上高が増加していても、工事原価が増加し、利益が減少している場合があります。

銀行は、受注工事の採算状況や利益率の推移などを確認することがあります。

4. 借入金の返済能力

追加融資によって借入金が増加する場合には、既存借入金と新たな融資を合わせた返済能力が重要になります。

そのため、銀行は決算書や試算表、資金繰り表などを確認します。

業績が悪化している工務店が追加融資を受けるための対策

今回の相談では、工務店の業績が悪化し、資金繰りが苦しくなっています。

このような場合、単に追加融資を申し込むだけではなく、業績悪化の原因と今後の改善策を整理することが重要です。

資金繰り表を作成する

まず、今後の入金と支払いを整理し、資金繰り表を作成します。

資金繰り表によって、いつ、いくら資金が不足するのかを把握します。

例えば、工事代金の入金が2か月後になる一方、材料費や外注費の支払いが先行する場合には、その期間の資金不足額を計算します。

このように、追加融資の必要額を具体的に説明することが重要です。

業績悪化の原因を整理する

次に、業績が悪化している原因を整理します。

例えば、次のような原因が考えられます。

  • 工事受注件数の減少
  • 工事単価の低下
  • 材料費や外注費の増加
  • 工事代金の入金遅れ
  • 固定費の負担増加

銀行は、業績悪化の原因を確認したうえで、今後の改善見通しを判断します。

今後の受注と利益回復の見通しを説明する

業績が悪化していても、今後の受注状況や利益回復の見通しが明確であれば、銀行が追加融資を検討できる場合があります。

例えば、すでに受注している工事について、工事金額や利益、入金予定を整理して説明することが考えられます。

ただし、受注予定があるという説明だけでは不十分な場合があります。

契約書や注文書など、受注を確認できる資料を準備しておくとよいでしょう。

返済額を含めた資金繰りを確認する

追加融資を受けることができても、毎月の借入金返済額が増えれば、資金繰りがさらに厳しくなる可能性があります。

そのため、追加融資後の返済額を含めて、今後の資金繰りを確認することが重要です。

必要に応じて、既存借入金の借換えや返済条件の見直しについても銀行に相談します。

借入金の残高がある場合の追加融資でよくある質問

Q. 以前の融資を完済しないと追加融資は受けられませんか?

いいえ。以前の融資を完済していなくても、追加融資を受けることは可能です。

ただし、現在の業績や資金繰り、既存借入金の返済状況、新たな融資の必要性などによって審査されます。

Q. 500万円を借りて300万円残っている場合、200万円の追加融資は可能ですか?

追加融資を申し込むことは可能です。

200万円の元金返済が進んでいることは、銀行が融資を検討する際の一つの材料になります。

ただし、200万円の追加融資が必ず認められるわけではありません。

Q. 信用保証協会付き融資の残高があっても追加融資を受けられますか?

信用保証協会付き融資に残高があっても、追加の保証付き融資を申し込むことは可能です。

ただし、銀行と信用保証協会の審査が必要です。

保証制度の条件や現在の業績、保証利用状況などによって判断されます。

Q. 返済が遅れていなければ追加融資を受けられますか?

返済に遅れがないことは、銀行が確認する重要なポイントの一つです。

しかし、返済が正常であることだけで追加融資が認められるわけではありません。

銀行は、今後の返済能力や追加資金の必要性なども確認します。

Q. 業績が悪化していても追加融資は可能ですか?

業績が悪化していても、追加融資を検討できる場合があります。

ただし、業績悪化の原因や今後の改善見通し、資金繰り、返済能力などが重要になります。

赤字が続き、返済能力の改善が見込めない場合には、追加融資が難しくなる可能性があります。

Q. 追加融資と借換えはどちらがよいですか?

会社の資金繰りや既存借入金の返済条件によって異なります。

別口で追加融資を受ける方法では、毎月の返済額が増える可能性があります。

一方、借換えによって返済期間を見直せる場合には、毎月の返済額を抑えられることがあります。

ただし、借換えが必ず認められるわけではなく、返済期間や金利によって総返済額も変わります。

借入金の残高がある場合の追加融資のまとめ

今回の相談では、工務店が信用保証協会付き融資500万円を借り、現在300万円の残高がある状態で追加融資を希望していました。

既存の融資を返済中であっても、追加融資を受けることは可能です。

また、当初の融資額500万円から200万円の元金返済が進んでいることは、追加融資や借換えを検討する際の一つの材料になります。

ただし、追加融資が認められるかどうかは、現在の業績や資金繰り、返済能力などによって判断されます。

  • 借入金の残高があっても追加融資は可能
  • 既存の融資を完済する必要はない
  • 返済が進んだ金額は追加融資を検討する際の一つの材料になる
  • 返済済みの金額と同額の追加融資が必ず認められるわけではない
  • 追加融資には別口融資と借換えによる方法がある
  • 借換えによって毎月の返済額を見直せる場合がある
  • 信用保証協会付き融資では銀行と信用保証協会の審査が必要
  • 業績悪化時には追加資金の必要性と今後の返済能力が重要

今回の工務店のように、業績が悪化して資金繰りが厳しくなっている場合には、追加融資によって一時的に資金を確保するだけでなく、今後の業績改善と借入金返済能力を考えることが重要です。

銀行に追加融資を相談する際には、借入金の残高だけでなく、追加資金の必要額、資金使途、今後の返済見通しを整理して説明することが大切です。

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