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融資審査マンの見方 中小企業社長との面談日誌

融資判断と預金量

銀行の融資判断の中心は決算書分析などによる信用力の審査です。
しかし決算書の数字だけでは真の信用力を判断することは困難です。
今回は預金量を判断根拠として融資判断を行った事例をご紹介します。

債務超過先からの融資相談

取引先のQ社は建物の解体業者です。
当行との取引歴は10年ほどになっていました。
業績はどうかと言えば決して良好とは言えません。
年によって黒字決算のケースもあれば、大幅な赤字決算のケースもあり、業績が安定していません。
過去の大幅赤字の影響から、債務超過の状態にすらなっていました。
Q社は当行のほかに地元信用金庫と取引がありましたが、取引地位では当行が主力行です。
業績が不安定であるため、それに比例して資金繰りも安定しておらず、Q社からは定期的に融資の相談を受けていました。
債務超過の状態ですから積極的にプロパー融資を行うわけにも行かず、もっぱら信用保証協会の保証付融資にて当社の資金繰りを支えていたわけです。
返済が進むと再び信用保証協会の保証付融資にて実質的に融資を復元する対応がしばらく続いています。
このような取引状態にある中で、ある日、Q社よりまとまった資金の融資相談を受けました。
大規模な解体工事を受注することがほぼ決まったが、資金の立替がかなり発生するとのこと。
その資金の用立ててほしいというものです。

融資の判断が難しい相談案件

私は日頃からQ社の社長に資金繰りにも気を配った受注活動を心掛けてほしいと申し入れをしていました。
工事を受注すれば売上も増えますし、通常であれば儲かります。
取引先にとっては基本的にプラスのことです。
しかし一方で一時的にせよ資金負担が発生してしまうのも事実です。
工事を行うには作業をする人が必要ですし、工事内容によっては材料が必要だったり、あるいは他の業者に外注する必要も出てきます。
工事代金を前受出来れば良いのですが、ほとんど場合、工事代金は工事完成後、あるいは工事の進捗度合いに応じての後払いです。
すると工事代金を受領するまでは、資金の立替が発生してしまうのです。

マル保もだめ、担保もなし

くれぐれも資金繰りに気を配った受注活動をしていただくようQ社にはお願いをしていたのですが、やはり大きな仕事があればそれを受注したくなるのも理解が出来ますので難しいところです。
さてQ社から融資の相談を受けて私はどうしたものかと悩みました。
融資判断が難しい案件です。
今回の融資は大きな工事受注に伴う前向きな性格ですが、一方で足元の業績は悪く簡単に融資実行の判断が出来るケースでもありません。
まずはこのような場合の融資判断の鉄則である信用保証協会の保証付融資を検討したみたものの、すでにQ社は相当額の保証付融資を利用しており、信用保証協会が追加の保証を行う可能性はほとんどありませんでした。
では担保を取って保全を固めてプロパー融資と行きたいところですが、担保余力のある資産はQ社やQ社の代表者にはありませんでした。
社長のご自宅は自己名義であったのですが、まだ住宅ローンの負債が相当残っており、担保余力を見出すまでには至らなかったのです。

お断りすることも検討

私の頭にはこの案件はお断りせざるを得ないかもしれないという思いがよぎりました。
ただQ社の社長から相談を受けた際の、「何とかお願いしたい」という表情を思い起こすと簡単に断る気持ちにもなれませんでした。
また今回の受注工事はQ社が従来受注していたものよりも大きな規模のものであり、これをきっかけとしてQ社がステップアップを図れる可能性も秘めていました。
前向きな案件であることは確かでした。

マル保が使えない、担保がない、その次は・・・

足元の業績は良くない、信用保証協会の保証余力がない、担保がない。
相当難しい融資判断です。
このようなケースは決して少なくないはずです。
こういった状況で融資の可否を判断する1つのメルクマークとなるのが取引先が自行に置いている預金量の水準です。
預金量は取引先の一次的返済能力のメルクマールとなるのです。
預金量の推移を把握することで、決算書や試算表では把握出来ないリアルタイムの状況を認識することが出来ます。
預金量が一定度預けられていれば、少なくともその預金量部分については一次的とは言え、返済能力を有していると考えることが出来ます。
したがってこの預金量相応はプロパー融資を検討しても良いのではないかという判断が出来るわけです。

預金量相当分のプロパー融資を実行

Q社の場合はどうだったかというと、売上の90%程度は当行の預金口座に入金がなされていました。
これに伴い一定の預金平残もありました。
かつその預金平残も少しずつですが、増加する傾向にありました。
つまりQ社は債務超過で試算表段階で判断する限り足元の業績も赤字状態であったものの、預金平残の増加の動きから業績が持ち直しつつあることを伺うことが出来たのです。
もちろんその預金量はQ社の一次的返済能力のメルクマールと考えられることが出来ます。
結果として、私は、
①受注工事代金の振込先は当行にする
②工事代金の受領時期に合わせた返済計画とする
ことを前提に、預金量程度のプロパー融資を無担保にて支援することを起案し、結果として承認を得ることが出来ました。

取引振りは融資可否の大きな判断材料

融資業務をやっているとなかなか可否の判断に迷うケースに必ず遭遇します。
そのような場合、決算書や試算表の分析がもちろん大切であることは事実ですが、取引先との取引振りはどうなのか、その結果としての預金量は把握することで、少なくともその預金量相当分は一次的にせよ返済能力があると考えてプロパー融資を検討する材料となります。

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