個人事業主で建設業を営業中ですが返済が出来なくなり信用保証協会による代位弁済を受けてしまった。
法人を設立した場合、また融資が受けられるのかどうか・・・。
代位弁済後の融資について融資担当の銀行員が説明をします。
目次
代位弁済の影響
代位弁済後の融資について説明をする前に代位弁済が及ばす影響についてまとめます。
代位弁済とは
最初に代位弁済について簡単に整理をします。
代位弁済とは銀行からの融資が返済できなくなり信用保証協会が代わりに銀行に返済してもらったということです。
もっとも信用保証協会が代わりに銀行に返済してもらったといっても返済義務がなくなったわけではありません。
代わりに銀行に返済したことにより信用保証協会はこの個人事業主に求償債権という権利を持ちます。
つまり「あなたに代わって返済したのですから、今度はこちらに代わりに返済した分を返してください」ということです。
代位弁済後は信用保証協会の利用が出来なくなる
さて代位弁済の影響ですが代位弁済を受けてその分の返済が終わらない限り、再び信用保証協会を利用することは出来ません。
「まずは返さなければいけないものを先に返してください」ということです。
ある意味、当然だと言えるでしょう。
もっとも一度、代位弁済を受けると永久に信用保証協会の保証制度を利用して融資が受けられないということではありません。
代位弁済を受けた金額を信用保証協会に返済をすれば再び信用保証協会の保証制度を利用して融資を受けることは可能となります。
代位弁済が残っている限り、代位弁済後に融資を受けることは困難
会社を設立したら信用保証協会は利用できるか
それでは代位弁済後に例えば別の会社を設立してその会社で信用保証協会の保証制度を利用して融資を受けることが可能かどうかです。
利用できない対象
代位弁済を受けると、返済をしない限り再び信用保証協会が利用できないと説明しましたが、利用できない対象は債務者はもちろんですが債務者が関与する会社や人にもその影響が及びます。
具体的に挙げると主なものは次の通りです。
代位弁済後利用できない主な対象者
・代位弁済を受けた会社の役員や株主
・代位弁済を受けた債務者と実質一体であると考えられる関係会社等
設立した会社に影響が及ぶか
個人事業主として代位弁済を受けてしまい信用保証協会が利用できないために、会社を設立してその会社にて信用保証協会を利用して融資を受けようとして果たして可能でしょうか。
4つのケースで説明します。
その個人事業主が会社の代表者の場合
このケースではその会社は代位弁済を受けた個人事業主そのものと考えることができます。
たしかに個人事業主と会社とは別人格ですが、一方で実質は一体だと言えます。
言い方は悪いのですが会社を隠れ蓑にして融資を受けようとするようなものです。
代位弁済後に信用保証協会を再び利用して融資を受けることはできません。
その個人事業主の家族が会社の代表者の場合
このケースでは確かに代位弁済を受けた個人事業主が会社の代表者ではありません。
しかしその家族が会社の代表者とすれば実質的にはその個人事業主が会社の経営主体だと考えられます。
個人事業主が代表者ではまずいので代わりに名目上家族を代表者にして実態はその個人事業主が経営するというものです。
このケースも代位弁済後に会社が信用保証協会を利用して融資を受けることはできません。
その個人事業主が会社の取締役の場合
会社の代表者ではないものの取締役ということであれば通常はその会社の経営に深く関りを持ちます。
重要な経営判断にも参加する立場です。
また取締役という肩書はなくとも経営に深く関りを持つのであれば同様です。
このケースも代位弁済後に会社が信用保証協会を利用して融資を受けることはできません。
その個人事業主が単なる社員の場合
このケースはやや微妙なところがあるのですが、最終的にはその個人事業主が経営にはまったく関与せずに単なる社員の立場で、雇われの立場で勤務をする場合にはその会社と個人事業主は形式的にも実質的にも別人格だと考えられます。
例えばこの個人事業主がまったく関係のない建設業の会社に就職をした場合です。
このケースでは会社はこの個人事業主とは直接関わりがありませんから信用保証協会を利用して融資を受けることは可能となります。
代位弁済後に融資が受けられるか・・・のまとめ
以上、代位弁済後に融資が受けられるかどうかについてまとめますと次のようになります。
まとめ
・代位弁済を受けた分をすべて返済すれば再び信用保証協会の保証制度を利用して融資が受けられる可能性はある
・代位弁済を受けた人のみならずその関係者も代位弁済後に融資を受けることは非常に困難
・別の会社を設立しても代位弁済後に融資を受けることは非常に困難