運転資金というのは基本的に事業継続にあたって常時必要な資金です。
運転資金を長期返済付にて融資を受けている場合には銀行は再び運転資金の融資を行うことが多々あります。
運転資金の仕組みを理解する
この図は運転資金が発生するスキームを示したものです。
売上代金が売上の発生と同時に手元に回収出来れば、その回収資金にて仕入資金の支払や従業員への給与の支払が出来ます。
ところが売上は多くの場合、掛けで売上が発生します。
つまり売上が発生したものの、その代金は後日販売先から回収するというスキームです。
飲食業に代表されるように現金商売の場合は、売上の発生と同時に売上代金が回収出来るのですが、多くの事業の場合には売上代金は後日回収するという契約が大半です。
そのために売上代金回収までの間に発生する資金需要、例えば仕入代金の支払や給与の支払は売上代金をあてにすることは出来ません。
売上代金を回収するまでの間は別の資金で仕入代金の支払や給与の支払に対応する必要があります。
この売上代金を回収するまでの間に必要となる資金こそが運転資金なのです。
銀行の運転資金融資の形態
ところで銀行の運転資金融資の形態は長期の分割返済の形態で実行されることが多いです。
運転資金の返済原資は売上代金の回収資金ですが、その回収資金の一部を返済に回してもらうことになります。
売上代金の回収資金は次の仕入資金の支払や給料の支払に必要なものなのですが、その一部を返済に回すとなると運転資金が不足してしまうということになります。
運転資金融資の返済をすればするほど、運転資金が不足するということです。
これでは事業の継続に支障が生じてしまうことになります。
返済のための融資は少なくない
このため銀行は運転資金融資の返済が進んだ分を再び運転資金として融資することがよくあることです。
つまり銀行融資の返済のための銀行融資は少なくありません。
特に運転資金の場合には、よくある事例とも言えます。
運転資金は事業を継続するために、常に一定の資金が必要です。
その運転資金を期限一括の返済方式で融資を受けている場合には、毎月の元金返済はなく利息のみの支払いとなりますから、追加の融資は基本的に必要ありません。
ところが運転資金を毎月の分割返済にて借入している場合には、形としては本来、運転資金として使用する資金を銀行融資の返済に回していることになります。
したがって本来の運転資金が不足することにつながります。
そこで運転資金の返済のための新たな銀行融資が必要となってくるのです。
銀行融資の実務上では、例えば1,000万円の運転資金を銀行融資で借入し、その後の返済がすすみ、現在残高が500万円となっている場合、返済分の500万円を別の融資で行うのではなく、1,000万円の新たな融資を行い、現在残っている500万円の過去の融資を同時に返済する形式が一般的です。
そして1,000万円の融資を再び返済していくわけです。