銀行の融資審査の現場では「担保余力」という用語があります。
担保余力とは何かについて説明するとともに、担保余力が銀行の融資審査にどのような影響があるのかを説明します。
担保余力とは
例えば担保として銀行が取っている不動産の評価額が1億円だとします。
そして銀行が担保として設定している金額が3,000万円だとした場合、その不動産には担保としての価値がまだ7,000万円(1億円-3,000万円)あることになります。
このように担保としての価値がまだ残っている状態を担保余力と呼んでいます。
担保余力とは担保としての価値がまだ残っていること
担保余力の注意点
担保余力とは担保としての価値がまだ残っている状態のことでしたが、さきほどの不動産担保を例にして担保余力の注意点を説明します。
担保余力の注意点としては担保としての価値は銀行が評価している金額だということです。
さきほど不動産の評価額が1億円だと説明しましたがこの1億円という金額は銀行が評価した金額です。
もしかしたら不動産の時価は1億円以上かもしれません。
しかし銀行の不動産の評価は渋めです。
ほぼ100%の確率で銀行の評価額は一般的に時価以下の金額となります。
そのため時価を基準にすれば担保余力があるとしても銀行の評価額を基準にすれば担保余力がないこともあります。
担保余力の基準となる評価額は銀行が評価してものであって時価ではない
担保余力の効果
担保余力があると銀行の融資審査に通りやすくなるという効果があります。
その効果とは資金調達余力という言葉で表すことができます。
資金繰りの重要性
事業において売上を増やすとか利益を獲得することはもちろん大切なことです。
しかし事業においてもっとも重要なことは資金繰りが続くことです。
資金繰りが続かない、つまり資金繰りがショートしてしまえばどれだけ売上があってもどれだけ利益を獲得していても、その時点で事業は破綻、つまり倒産してしまいます。
資金繰りは信用そのものです。
仕入代金の支払いができない、給料などの経費が払えないということになればその情報はまたたくまに関係に広がります。
そうなれば今まで通りに仕入れなどはできなくなります。
また給料が払えないとなると従業員もやめていくことでしょう。
今まで通りに事業を行うことは困難となり、事業を続けることはできません。
事業を継続する上でもっとも重要なことは資金繰りを維持すること
資金調達余力とは
このような極めて重要な資金繰りですが、資金調達余力があれば融資を受けて資金繰りを維持することができます。
担保余力があれば少なくとも担保に出せば資金調達をして資金繰りを維持することができるでしょう。
また担保に取らないとしても銀行はいざとなれば担保が取れるという期待のもとで銀行が融資をする可能性が高まります。
実際に銀行の融資審査においては資金調達余力の有無を必ず検証します。
そして担保余力があり資金調達余力があると考えられる場合には融資審査が前へ進むのです。
担保余力があり資金調達余力が認められると銀行の融資審査は前へ進む
担保余力と融資審査の関係のまとめ
以上、担保余力と銀行の融資審査との関係をまとめますと次のようになります
まとめ
・担保余力があれば資金調達できる可能性が高まり資金繰りを維持することができる
・担保余力があり資金調達余力が認められれば銀行の融資審査は前へ進む