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融資審査マンの見方

決算書の現預金の推移は融資判断となります

決算書の1つである貸借対照表は銀行員が融資判断に用いる重要な資料です。
銀行員が見る貸借対照表のポイントはいくつかがありますが、今回は現預金の推移が融資判断の決め手となった事例を紹介します。


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決算書の現預金の推移で融資を断った

取引先からは儲かっているという話が繰り返しありましたが、決算書の現預金は減少傾向にあり最終的に融資を断るという結果に至りました。
この融資判断のポイントは現預金は嘘をつかないという点にあります。


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粉飾決算だった事例

私が以前担当して取引先に以下のような事実がありました。
損益計算書を見る限り、毎期売上が増加し利益も順調に伸びています。
利益が順調に伸びているということはその取引先は儲かっているということです。
儲かっていれば現預金は増えるはずです。
ところがこの取引先の貸借対照表を現預金の数字の推移を見ると、増加するどころか逆に減少しています。
これはやはりおかしいですよね。

儲かっていれば現預金は基本的に増加するはず

社長への質問

私はこの取引先の社長に上記の疑問点をぶつけてみました。
社長から返ってきた回答は売上が増えているから運転資金が増加しているためというものでした。
確かに売上が増加すれば所要運転資金は増加します。
しかしこの取引先の現預金の減り方は所要運転資金の増加額を上回るものでした。
後で判明したことなのですが、この決算書は嘘でした。
つまり売上・利益とも水増しをした粉飾決算だったのです。

実は売上と利益を水増しした粉飾決算であった


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貸付金利用による粉飾決算だった事例

また以下のような事例もありました。
その取引先の決算書の貸借対照表の現預金の推移を見ると減ってはいませんが逆に増えてもいません。
損益計算書を見るとやはり売上・利益とも増加基調にありました。
利益が伸びていれば現預金も増えるはずです。
しかしこの取引先の場合には増えもせず減ってもいません。
このような時は利益で儲かっている資金が現預金ではなく、どこに向かっているのかを銀行は検証します。

利益が現預金以外のどこに向かっているのか

決算書の貸借対照表の現預金以外の項目で増加している項目を銀行はチェックするのです。
増加している項目が売掛金や在庫など営業性のものであればまず懸念はありません。
ところがこの取引先のケースでは社長宛の貸付金が増えていました。
つまり損益計算書で計上されている利益は社長宛の貸付金に向かっているのです。
私は社長に貸付金の中身を確認しました。
社長からに回答は「これは実質は接待交際費だ」ということです。
「受注を確保するためには表には出せない経費が必要だ」というのです。
社長の言うこともわからないのではないのですが、銀行は融資判断においては別の見方もします。
つまりこのケースでは社長宛の貸付金が増えているのは実質接待交際費です。
接待交際費というのは本来なら経費として損益計算書の計上されるべきものです。
それが貸付金として処理されているということは経費処理がなされていませんから、その分だけ利益は水増しされているということです。
このことから損益計算書に計上されている利益ほどにはこの会社は儲かっておらず、実質の接待交際費を加味すると利益はほとんど出ていない状態だったのです。
そのために貸借対照表の現預金は増加していなかったのです。
融資判断を行う上では損益計算書に計上されている利益をそのまま返済能力に加えることは出来ず、実態の利益にて返済能力を修正した上で検討しています。


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現預金は嘘をつかない

決算書の貸借対照表や損益計算書は所詮は人間が作成するものですから、そこに人間の思惑が介入してきて実態の姿を変える可能性があります。
しかし現金や預金はその姿を人間が変えることはできません。
儲かっていれば基本的には現預金は増加するはずです。
儲かっていなければ基本的には現預金は減少するはずです。
取引先からの説明から現預金の推移が納得できるものであれば良いのですが、そうでなければ銀行は嘘をつかない現預金を信じます。
このようなことから決算書に示されている現預金の推移は融資判断の1つになるのです。


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決算書の現預金の推移が融資判断となる理由のまとめ

以上、決算書の現預金の推移が融資判断となる理由をまとめますと次のようになります。

まとめ

・儲かっていれば基本的に現預金は増加する
・儲かっていなければ基本的に現預金は減少する
・決算書の数字は人間がごまかすことができる
・しかし現預金の数字はごまかすことができない
・決算書の現預金は嘘をつかない
・このため決算書の現預金の推移は融資判断に銀行は利用する

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