銀行は融資審査の際にいろいろな融資先の指標を参考にしていますが、その1つには預金平残があります。
預金平残とは何かについて説明をするとともに預金平残と融資審査との関係についてわかりやすく説明をします。
預金平残とは
預金平残とは預金の平均残高のことです。
そして融資審査における預金平残とは融資先全体の預金平残ではなく自行(=自分のところの銀行)の預金平残のことを指します。
預金は入金や出金により日々残高が変動しますが、1ヶ月の平均残高はいくらかを銀行は参考にしています。
銀行ですから預金平残のデータは超長期間にわたって保有をしています。
ある一日だけの預金残高だけ見ると多い時もあれば少ない時もあります。
しかし預金平残でみれば融資先の預金量の実態としての水準を把握することができます。
預金平残とは預金残高の平均残高のこと
決算書による融資審査
銀行の融資審査の基本は決算書の分析による返済能力の調査です。
しかし決算書には大きな1つの欠点があります。
それは決算書が示す業績というのはあくまでも過去のものだということです。
足元の業績をリアルに示しているものではありません。
決算書以外に足元の業績を確認する資料として試算表があります。
試算表は決算期から次の決算期までの間に作成される準決算書ですから、確かに決算書に比べるとより足元の業績状況を把握することが可能です。
ただし試算表も決算書ほどではありませんが過去の数字です。
決してリアルな業績状況を示しているものではありません。
決算書や試算表は過去の業績でありリアルな状況はわからない
預金平残でリアルな業績がわかる
預金というのは現金です。
決算書や試算表には現金ではないものの多数掲載されていますが、預金はとにかく現金のみです。
現金は決して嘘をつきません。
基本的に儲かっている場合には預金は増加し、逆に儲かっていない場合には預金は減少します。
したがって預金平残の推移を見ることにより会社の業績が上向いているのか、それとも下向きなのかの概ねの傾向を把握することができます。
預金は現金であり現金は嘘をつかない。預金平残は嘘をつかない。
預金平残は悩ましい融資案件に効果がある
銀行に相談される融資案件は明らかに融資しても大丈夫だとか、その逆にとてもではないが融資はできないいったように判断がしやすい案件は少数です。
融資案件の大半は貸しても大丈夫かどうか悩ましい案件です。
このように判断が難しい融資案件の際に効力を発揮するのが預金平残です。
こういったケースでは、
ポイント
・決算書では赤字だが預金平残が増加傾向にあるから大丈夫だろう
といった融資判断は実際に少なくありません。
預金平残と融資審査との関係のまとめ
以上、預金平残と融資審査との関係をまとめますと次のようになります
まとめ
・預金は現金であり預金平残は真の融資先の状況を示している
・決算書分析で判断が難しい融資案件の場合、預金平残が融資判断の大きな材料となる