この記事は、信用保証協会の審査やブラックリスト登録について不安や疑問を持つ中小企業経営者や個人事業主、これから創業を考えている方に向けて書かれています。
信用保証協会の審査基準やブラックリストの実態、登録される理由、ブラックリストに載った場合の対応策まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。
「ブラックリストでも融資は受けられるのか?」「審査に落ちた理由は?」「どうすれば審査に通るのか?」といった悩みを持つ方が、正しい知識と対策を身につけ、安心して資金調達に臨めるようサポートする記事です。
融資担当の銀行員が説明します。
目次
- 1 信用保証協会の基礎知識の整理
- 2 信用保証協会のブラックリストとは
- 2.1 信用保証協会の審査とは
- 2.2 信用保証協会のブラックリストとは
- 2.2.1 信用保証協会のブラックリストの中身
- 2.2.1.1 保証協会の代位弁済先で、協会に求償債務が残っている方
- 2.2.1.2 協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている方
- 2.2.1.3 手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている方
- 2.2.1.4 破産、民事再生、会社更生等法的手続中の方(申立中の方を含む)または内整理等私的整理手続中の方
- 2.2.1.5 最後の登記後12年以上経過した株式会社で、新会社法第472条の規定により休眠会社として解散したものとみなされた方
- 2.2.1.6 協会の保証付融資または金融機関固有の融資について延滞等の債務不履行がある方
- 2.2.1.7 確定申告をしていない方
- 2.2.1.8 事業実態・内容、資金使途、返済能力等を判断する資料の提示がない方
- 2.2.1 信用保証協会のブラックリストの中身
- 3 信用保証協会のブラックリストから外れるには
- 4 信用保証協会のブラックリストで資金調達ができない場合の対応策
- 5 信用保証協会の審査とブラックリスト 登録される理由と対策のまとめ
信用保証協会の基礎知識の整理
ブラックリストというと自己破産をしたとか、ローンやクレジットカードの支払いが長期にわたって延滞となりブラックリストに載ってしまったという私たち個人の信用情報の問題が中心です。
今回はこの個人のブラックリストではなく、信用保証協会が使えないという信用保証協会のブラックリストについて説明をします。
信用保証協会とは
ご存じの方も多いとは思いますが、最初に信用保証協会について整理をします。
信用保証協会とは全国の各都道府県に設置されている公的機関です。
中小企業や個人事業主には不可欠な信用保証協会
中小企業や個人事業主も大企業と同じように運転資金や設備資金といった資金が必要となります。
そのため大企業と同じように中小企業や個人事業主も銀行などに融資の申し込みを行うことになります。
ただし一般的に大企業に比べると中小企業や個人事業主は事業基盤がぜい弱で財務内容も弱い特徴があります。
事業基盤がぜい弱で財務内容が弱いということは、融資を行う銀行から見ると貸したお金が返ってこない可能性が大企業に比べると高いということになります。
こうなると銀行などは融資が貸倒となる可能性が高い中小企業や個人事業主には積極的に融資を行わないことになってしまいます。
しかしこれでは中小企業や個人事業主は十分な資金を調達することができずに、事業を行う上で大きな支障が生じることになってしまいます。
そこで登場するのが信用保証協会です。
信用保証協会は中小企業や個人事業主が銀行から融資を受ける際に保証人になってくれる公的機関です。
融資を行う銀行などからすれば、公的機関である信用保証協会が融資の保証人になってくれるのであれば、融資の貸倒を心配することなく安心して中小企業や個人事業主にも融資を行うことができるようになります。
つまり信用保証協会というのは中小企業や個人事業主が銀行から融資を受けやすいようにするために設立されている公的機関なのです。
信用保証協会は中小企業や個人事業主が銀行から融資を受けやすいようにするために設立されている公的機関
信用保証協会付だから融資をする
中小企業や個人事業主向けの融資において銀行の本音は信用保証協会の保証がついているから融資をするというものです。
信用保証協会の保証がなければ融資がしないが、信用保証協会の保証がついているから中小企業や個人事業主にも融資を行うというのが現実の銀行の本音です。
信用保証協会の保証がついているから中小企業や個人事業主にも融資を行うというのが銀行の本音
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信用保証協会のブラックリストとは
このように中小企業や個人事業主にとって信用保証協会は資金調達の上でなくてはならない存在です。
しかし中小企業や個人事業主であれば絶対に信用保証協会を利用できるというわけではありません。
信用保証協会の利用できないケースとしては1つは信用保証協会の審査に通らない、そして2つ目は信用保証協会のブラックリストに載っている場合です。
信用保証協会の審査とは
信用保証協会に銀行の融資の保証人になってもらうには、信用保証協会の審査に通る必要があります。
信用保証協会は融資の保証人ですから、中小企業や個人事業主が銀行に融資の返済ができなくなれば、代わりに銀行に融資の返済をしなければなりません。
そのためそもそも中小企業や個人事業主がきちんと銀行に融資の返済ができるのかどうかを信用保証協会は審査をしているわけです。
業績が中心の信用保証協会の審査であり、実態としては銀行の融資審査と内容はほぼ同じです。
この信用保証協会の審査にとおって初めて信用保証協会の融資の保証人になってくれます。
つまり中小企業や個人事業主は銀行から融資を受けることができるということです。
そしてこの信用保証協会の審査に通らないと信用保証協会は融資の保証人にはなってくれません。
つまり中小企業や個人事業主は銀行から融資を受けられないということです。
信用保証協会を利用するには信用保証協会の審査に通る必要がある
信用保証協会のブラックリストとは
それでは本記事のメインテーマである信用保証協会のブラックリストについて説明をします。
信用保証協会のブラックリストとはそもそも信用保証協会が利用できない中小企業や個人事業主のことです。
信用保証協会の審査に通らなかったということではなく、そもそも審査すら受けられない、信用保証協会の利用資格がないというのがブラックリストです。
信用保証協会のブラックリストの中身
信用保証協会のブラックリスト
(2)原則として、協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている方。
(3)手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている方。
(原則として1回目の不渡または支払不能を出して6ヵ月を経過していない方を含む)
なお、法人の代表者が手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分(1回目の不渡または支払不能を含む)を受けている場合、当該法人も原則として保証利用できません。
(4)破産、民事再生、会社更生等法的手続中の方(申立中の方を含む)または内整理等私的整理手続中の方。
(5)最後の登記後12年以上経過した株式会社で、新会社法第472条の規定により休眠会社として解散したものとみなされた方。
(6)協会の保証付融資または金融機関固有の融資について延滞等の債務不履行がある方。
(7)確定申告をしていない方。
(8)事業実態・内容、資金使途、返済能力等を判断する資料の提示がない方。
以下1つずつ解説をしていきます。
保証協会の代位弁済先で、協会に求償債務が残っている方
これは今までに信用保証協会の保証付にて銀行から融資を受けていたが、銀行に融資の返済ができなくなり信用保証協会の代位弁済を受けて、信用保証協会に代位弁済を受けたままになっている事業者は信用保証協会のブラックリストとして信用保証協会の保証制度が利用できないということです。
信用保証協会の保証付融資を銀行に返済できなくなった場合、信用保証協会は保証人ですから融資を受けていた事業者に代わって銀行に融資の返済を行います。
事業者に代わって信用保証協会が銀行に融資の返済を行うことを代位弁済と呼んでいます。
銀行から融資を受けていた事業者は信用保証協会が銀行に代位弁済を行ったことによって、もう銀行には返済する必要はなくなります。
しかしこれで終わりではありません。
信用保証協会は銀行に代位弁済を行ったことによって、それまで銀行が事業者に対して持っていた融資の債権を引き継ぐことになります。
銀行から引き継いで融資の債権のことを求償債権と呼んでいます。
銀行に代位弁済を行ったことによって信用保証協会は銀行から融資を受けていた事業者に対して求償債権を持つことになります。
事業者から見れば求償債務と呼ばれるものです。
そして事業者は銀行に融資の返済をしなくても良い代わりに、今度は信用保証協会に求償債務の返済をしなければなりません。
この求償債務を信用保証協会に対して負っている事業者がブラックリストです。
信用保証協会に求償債務を負っている事業者は、求償債務を完済しない限りは信用保証協会を利用できなくなります。
信用保証協会が利用できないということは現実には銀行から一切の融資を受けられないということになります。
信用保証協会の代位弁済を受けて信用保証協会に求償債務を負っている事業者はブラックリスト
協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている方
さきほど信用保証協会による代位弁済を受けて求償債務を負っている事業者について説明をしましたが、この事業者が銀行からの融資を受けるあたって連帯保証人がいる場合には、連帯保証人は事業者に代わって融資を返済しなければならない義務を負っています。
例えば事業者が会社の場合、その社長が連帯保証人になっているケースです。
信用保証協会の代位弁済を受けて求償債務を負っている事業者は信用保証協会のブラックリストになりますが、その連帯保証人もブラックリストになるということです。
連帯保証人は事業者と同様に信用保証協会に求償債務を負っており、信用保証協会に返済しなければならない義務を負っているからです。
このブラックリストの連帯保証人が別の会社を立ち上げて信用保証協会の保証制度を利用して銀行から融資を受けようとしても、ブラックリストですからこの連帯保証人が別に立ち上げた会社は信用保証協会の利用ができません。
事業者の連帯保証人も信用保証協会のブラックリストになる
手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている方
銀行取引停止処分を受けるということは事実上倒産したことを意味します。
倒産しているということは融資の返済ができないことを示します。
このような銀行取引停止処分を受けた事業者は信用保証協会のブラックリストとなり、信用保証協会を利用することはできません。
銀行取引停止処分を受けた事業者は信用保証協会のブラックリスト
破産、民事再生、会社更生等法的手続中の方(申立中の方を含む)または内整理等私的整理手続中の方
破産や民事再生等を受けた事業者というのは倒産、もしくは事業が立ち行かなくなった状態を示します。
このような事業者も当然に信用保証協会のブラックリストとなり、信用保証協会を利用することはできません。
破産や民事再生等の倒産もしくは事実上の倒産状態にある事業者は信用保証協会のブラックリストになる
最後の登記後12年以上経過した株式会社で、新会社法第472条の規定により休眠会社として解散したものとみなされた方
このような事業者は実態として事業を行っておらず、現実には存在しないことと同然の事業者だと言えます。
このような事業者も信用保証協会のブラックリストとなります。
協会の保証付融資または金融機関固有の融資について延滞等の債務不履行がある方
融資の返済を延滞している事業者に当たり前ですが、信用保証協会が追加で保証を行うことはありません。
延滞が長引けば時間の問題で信用保証協会の代位弁済が発生し、信用保証協会に求償債務を負うことになります。
融資の返済を延滞しているだけでは信用保証協会のブラックリストだとは言えませんが、ブラックリスト予備軍であり信用保証協会を利用することはできません。
確定申告をしていない方
決算の確定申告をしていないだけで信用保証協会のブラックリストにはなりませんが、そもそも確定申告をしていないということは返済能力の有無を信用保証協会が判断することができません。
ブラックリスト以前の問題であり信用保証協会を利用することはできません。
事業実態・内容、資金使途、返済能力等を判断する資料の提示がない方
これらの事象だけでは先ほどと同様に信用保証協会のブラックリストにはなりません。
しかし資料の提示がなければ信用保証協会は審査をすることができません。
やはりブラックリスト以前の問題で信用保証協会を利用することはできません。
信用保証協会のブラックリストから外れるには
それでは信用保証協会のブラックリストから外れる条件について説明をします。
信用保証協会のブラックリストから外れる裏ワザはない
ネット上などでは信用保証協会のブラックリストから外れる裏ワザたる情報がありますが、これらは事実ではありません。
信用保証協会のブラックリストから外れる裏ワザは存在しません。
以下の条件を満たさないと信用保証協会のブラックリストから外れることはありません。
信用保証協会のブラックリストから外れる裏ワザはない
信用保証協会のブラックリストから外れるには
信用保証協会のブラックリストから外れるには信用保証協会による代位弁済を受けてしまい信用保証協会に負っている求償債務をすべて返済するしか方法はありません。
信用保証協会に負っている求償債務をすべて返済すれば信用保証協会のブラックリストから外れ、その後再び信用保証協会が利用できるようになります。
信用保証協会のブラックリストから外れるには→求償債務をすべて返済するしかない
信用保証協会から正常化の案内をしてくれることもある
求償債務をすべて返済しないと信用保証協会のブラックリストから外れることができないと考えると途方に暮れると思います。
しかしケースによっては信用保証協会に対する求償債務をすべて返済する前であっても、信用保証協会から正常化の案内をしてくれることがあります。
正常化とは信用保証協会のブラックリストから信用保証協会自身が外してくれる案内を行うということです。
ではどのような場合にブラックリストから外してくれるかといえば、次の2つの条件を充足する場合です。
信用保証協会がブラックリストから外してくれる条件
・業績が回復してきている
つまり信用保証協会に対して誠実に返済を続け、業績も回復してくると信用保証協会の方から銀行を紹介してくれて、信用保証協会のブラックリストから外してくれた上で、再び銀行などから正常な融資を受けられるように斡旋をしてくれるのです。
信用保証協会に求償債務を負っている途中であっても、ブラックリストから外してくれることがあり得るのです。
そしてブラックリストから外れて正常化すると、その後に追加で信用保証協会を利用することも可能となってきます。
資金繰りに困った場合の管理者おすすめの資金調達3選
1.歴史が長いビジネスローンで多くの中小企業や個人事業主が利用している安心のビジネスローンです。2.来店不要で手続きが完結するビジネスローンです
保証人不要の事業資金

3.売掛金の売却で資金調達
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信用保証協会のブラックリストで資金調達ができない場合の対応策
信用保証協会のブラックリストになってしまうと銀行などから融資を受けることは不可能となります。
このような状態の中でも事業を継続するには資金を調達しなければならないこともあるでしょう。
以下では信用保証協会のブラックリストのために銀行などから融資が受けられない場合の対応策について説明をします。
ノンバンクのビジネスローン
1つ目はノンバンクのビジネスローンの利用です。
ノンバンクとは銀行以外のカード会社や信販会社、消費者金融会社のことです。
これらのノンバンクでは事業者向けにビジネスローンを取り扱っています。
ノンバンクのビジネスローンは信用保証協会を利用することはありません。
したがって信用保証協会のブラックリストであってもこれが原因でビジネスローンが利用できないということはありません。
またビジネスローンの審査基準は一般的に銀行の融資審査基準よりも低く設定されています。
そのため銀行融資よりはビジネスローンの方が利用できる可能性が高いのです。
ノンバンクのビジネスローンは信用保証協会を利用しない
ファクタリング
ファクタリングとは売掛金の売却による資金調達方法です。
売掛金の売却ですからそもそも借入ではありません。
当然、信用保証協会のブラックリストであるかどうかはまったく関係がありません。
またファクタリングでは売掛先、つまり売上の相手先の信用状態が審査されます。
つまり売掛金がきちんと支払いされるかどうかということです。
したがってファクタリングを利用する事業者の業績は関係がありません。
つまり赤字であっても売掛先に問題がなければファクタリングを利用して資金が調達できるということです。
ファクタリングは信用保証協会のブラックリストかどうかはまったく関係がない
信用保証協会の審査とブラックリスト 登録される理由と対策のまとめ
以上、信用保証協会の審査とブラックリスト 登録される理由と対策についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・信用保証協会のブラックリストから外れる裏ワザはない
・信用保証協会のブラックリストから外れるには求償債務をすべて返済するしかない
・ただし求償債務をすべて返済する前であっても信用保証協会自らがブラックリストから外してくれることもある
・ノンバンクのビジネスローンやファクタリングは信用保証協会のブラックリストとは無関係のため利用できる可能性がある