中小企業が銀行から融資を受ける際には多くのケースで代表取締役が連帯保証人になることが求められます。
この会社の連帯保証人ですが、代表取締役が交代した場合に、会社の連帯保証人は変更しないといけないのかどうかを説明します。
目次
質問
前代表取締役が金融機関より会社の運転資金800万円の借入れを行い、連帯保証人のまま退任し、その後私が代表を務め代表者変更の手続きを行う際に、会社の連帯保証人になるように話があります。
社長が変われば会社の連帯保証人は変更しないといけないのでしょうか
社長が交代すれば会社の連帯保証人を変更するのが原則
金融機関が会社の代表取締役を連帯保証人として徴求する理由の1つに責任を持って会社の経営にあたってもらう目的があります。
もちろん連帯保証人ですから、将来もし会社が融資の返済が出来なくなった場合には金融機関は代わりに連帯保証人に返済してもらい融資を回収する保全の目的があります。
しかしこれと同時に代表取締役を会社の連帯保証人として徴求する目的として、さきほどの会社の経営に責任を持ってあたってもらうということがあります。
連帯保証人から回収できるとは思っていない
現実問題として中小企業の場合には会社と連帯保証人である社長は実質一体です。
会社の資金繰りが苦しければ社長が個人資金を会社に投入することはよくあることです。
さらに会社が金融機関から融資を受けるにあたり社長の自宅などの個人資産を担保提供することも珍しくありません。
そのために実際には会社が返済不能に陥った場合には連帯保証人である社長も返済できるほどの資産余力があることは少なく、連帯保証人である社長から融資の返済が受けられる可能性が少ないと言えるでしょう。
それでも金融機関が社長を会社の連帯保証人として徴求する目的な責任を持って会社の経営にあたってもらい、きちんと会社が返済できるように運営してもらうという意識付け、プレッシャーの意味合いがあるのです。
社長が交代した場合、会社の連帯保証人は変更しないといけないのか?
さて、よく問題になるのが社長が交代した場合に、会社の連帯保証人を新社長に変更しないといけないのかどうかという点です。
原則は会社の連帯保証人を変更してもらう
会社の経営に責任を持ってもらうという連帯保証人の目的からすれば、社長が交代すれば新社長に会社の連帯保証人を変更してもらうというのが金融機関の融資実務の原則です。
退任した前社長の連帯保証人は解除し、新社長が会社の連帯保証人になってもらうということです。
会社の連帯保証人を変更しなくてもよいことも
しかし新社長からすれば、前社長の時に作った借入の連帯保証人にはなりたくないという思いが強くあることでしょう。
会社を引き継いだものの、前社長の時の借入金の責任を持ちたくなく、前社長が引き続き連帯保証人の責任を持ってもらいたいという思いがあるのではないでしょうか。
そのため金融機関の融資実務においては上記の原則は原則としても、新社長の意向を尊重して社長が交代しても前社長が引き続き会社の連帯保証人であることを条件に、会社の連帯保証人を変更しなくともよいとの取り扱いをしています。
新規の融資から新社長が連帯保証人
そして新社長になってからの融資においてはじめて会社の連帯保証人が新社長に変更する取扱をしています。
もちろん前社長時代の借入金は引き続き前社長が連帯保証人として残ってもらい、新しい融資から新社長に会社の連帯保証人に変更するというものです。
つまり新社長はご自身が社長になってから以降の融資の連帯保証人になってもらうということです。