銀行に不動産担保として抵当権が設定されている土地等を売却するには抵当権の解除が必要となります。
銀行が抵当権の解除に応じるかどうかについて説明をします。
質問
父親の土地の話なのですが自営業をしており、銀行からの融資を受けております
140坪(単価50万)の土地と家屋(築20年)の一軒家と吹けば壊れるような町工場を抵当権の不動産担保として5000万の融資を受けました
15年かけて返済し、3000万まで返済しましたが、経営難により土地を17〜20坪分を切り売りする事になりました
買手(お隣さん)も見つかっており銀行の融資係から残った土地で抵当権は十分あるから売れた金額からいくらか返済してもらえれば分筆分の抵当権を解除しても良いと言われました。
流れとしては
分筆>抵当権を解除>売買成立>銀行に返済となります
売却価格は800〜1000万になる予定ですが、
この場合銀行にいくら返せばいいのでしょうか?
正直、来年の所得税を考えると0円にしてくださいといいたいぐらいなんですが・・・
抵当権の解除
銀行が融資を行う際に今回のように不動産にて抵当権を設定しているということは、抵当権にて融資がカバーされることを条件にしているということです。
基本的にには抵当権の解除はその担保の対象となっている融資が完済となった時点で銀行は抵当権の解除に応じます。
今回のように融資の返済途中で抵当権の解除となった場合には銀行の対応は基本的に次の2つに分かれます。
抵当権の解除に応じない場合
抵当権を解除するということは銀行にとって万が一の融資の回収手段を失ってしまうこととなります。
したがって原則として融資の返済途中には銀行は抵当権の解除には応じません。
融資先の業績が良好で担保がなくても返済は十分にできると考えられるのであれば抵当権の解除に銀行が応じることもありますが、これは例外と考えてください。
業績は今は良好であってもこの先どうなるかは誰にもわかりません。
そもそも抵当権を含めた担保は将来に備えて万が一のために銀行が設定するものです。
そのため融資の返済途中においては銀行は抵当権の解除に応じないというのが原則です。
抵当権の解除に応じる場合
しかし例外として銀行が抵当権の解除に応じる場合があります。
それはどのようなケースかと言いますと、例えば他に銀行が担保を取っており、今回の抵当権を解除しても他の担保にて融資がカバーされる場合です。
このような場合においては抵当権を解除しても銀行は他の担保にて万が一の場合でも融資が回収できることとなりますから、銀行は抵当権の解除に応じやすくなるのです。
抵当権の解除するためにいくら返済すれば良いか
さて、ご質問者のケースですが、今回は抵当権が設定されている不動産の一部を売却するケースで、この売却する一部の不動産に設定されている抵当権を解除するものです。
いくら返済すれば良いのかどうかというポイントは残った抵当権、つまり今回は抵当権を解除せずに引き続き銀行の抵当権が設定されている不動産担保にて銀行の融資がカバーできるということです。
具体例で説明をします。
例えば売却前の抵当権の不動産担保価格が5,000万円とします。
またその時点の融資額は4,500万円とします。
この状態では銀行は抵当権にて融資がカバーされている状態です。
そして不動産の一部を売却することになり、売却した場合の残りの抵当権の価値が3,000万円になるとします。
そうすると抵当権にて融資をカバーするには、融資残高を3,000万円以下にすることが必要です。
現在の融資残高が4,500万円ですから1,500万円の返済を受ければ、引き続き残った抵当権にて融資はカバーされることになります。
ご質問の中で「銀行の融資係から残った土地で抵当権は十分あるから売れた金額からいくらか返済してもらえれば分筆分の抵当を外しても良いと言われました」とありますが、仮に売却金でもって銀行融資の返済に充てなくても、引き続き抵当権にて融資はカバーされるようです。
したがって売却だけして銀行融資の返済に充てなくても銀行の内部的には困らないはずです。
もっとも返済をすればそれだけ借りている側の負担も少なくなるメリットはあります。
いくら返済するかはあくまでも銀行との話し合いになりますが、後々のことも考えて無理のない金額で銀行と相談をされれば良いと思います。