食品加工業で年商は1億円強の融資案件の事例です。。
売上減少に伴い運転資金融資の資金繰り支援の相談を受けています。
債務超過でノンバンクからの借入もある会社ですが・・・。
銀行融資マンの判断を説明します。
運転資金の申込ではあるが
この会社の売上回収と支払はバランスが取れており、決算書からも運転資金はさほどに必要としない体質です。
ましてや売上が減少している状況ではますます本来の運転資金需要は減少します。
このような状態で運転資金の融資相談に対して銀行がまず考えることは赤字の補填ということです。
売上が減少すると当たり前のことですが収入が減少します。
これが進むと人件費や家賃などの固定費の支払も苦しくなってきます。
これらを補填するために運転資金として銀行への融資相談の事例が少なくありません。
実質は赤字の補填が融資の要因ですから一般的に銀行は慎重に融資判断を行うことになります。
債務超過の意味すること
債務超過というのは簡単に言えばこの会社が設立されてから現在に至るまでの利益が赤字だったということです。
この食品工業の会社は設立してからおよそ30年が経過しています。
30年間のうちには黒字の時も赤字の時もあったことでしょう。
しかしこの30年間トータルで考えると黒字よりも赤字の金額の方が多かったということです。
銀行は基本的に債務超過の会社に対する融資は厳しい姿勢を取ります。
融資は返済していただかなければなりません。
しかし債務超過の意味するところは赤字体質だということです。
赤字ということは融資の返済が難しいということを意味しています。
そのために銀行は債務超過の先に対する融資は厳しい姿勢となってしまうのです。
ノンバンクからの借入
ノンバンクというのは概ね銀行の融資金利に比べて相当高利です。
借りる側としては金利は低いほど良いに決まっています。
それでもノンバンクから借入を行うということは金利が高いものの資金繰りが苦しくやむを得ず利用したと考えられます。
ノンバンクからの借入自体が悪いということではなく、高利のノンバンクからの借入があるということは資金繰りが苦しくて融資を行っても返済に大きな懸念が持たれるということが問題なのです。
融資審査の結果
今回の融資申し込みに対して融資審査の結論は否決でした。
主な否決理由は次のとおりです。
実態の資金使途は赤字補填
運転資金をそれほど必要としない体質にも関わらず売上減少に伴い運転資金の申し込みがあるということは赤字の補填資金と考えるのが妥当です。
債務超過であること
さきほども説明しましたが債務超過ということは赤字体質の会社だということです。
赤字であるとどうしても返済可能性に懸念が持たれますから銀行としては融資を避けたいという考えが主流を示してしまいます。
資金繰りのひっ迫感
さらにノンバンクからの借入があることから資金繰りが相当にひっ迫していることが懸念されます。
まとめ
以上の大きく3つの理由から今回の融資はお断りすることになりました。
もしこの食品加工業が主力先であれば、少なくとも事業を継続するために最低限の資金繰り支援は行ったという可能性もあります。
しかし主力先でなければこの食品加工業の事業継続のために資金繰りを支援するという銀行の社会的役割は小さくなります。
主力銀行が対応すべきものと銀行は考えるのです。