銀行と融資取引を行うと原則として銀行員の担当がつきます。
何かあればその銀行員の担当に言えば何かしらの対応をしてくれますから便利です。
ところで銀行員の担当はわが社のことを良く知っていると思えば、実はそうでもないのです。
銀行員の担当の実態を紹介します。
銀行員の担当とは
銀行と融資取引を行うと原則として銀行員の担当がつきます。
これは融資先については融資が最後まで返済されるまで業績の確認などを行う必要が銀行にはありますから、そのためにも融資取引を行うと銀行員の担当が設定されるのです。
では銀行員の担当は一人当たりどれくらいの数の担当数を持つのかというと、これは融資先の規模によって異なります。
銀行員の担当数は融資先規模によって異なる
事業資金融資の分野において融資先の規模は個人事業主・中小企業・中堅企業・大企業におおむね分けることができます。
そして個人事業主及び中小企業を担当している銀行員は一人当たり概ね100社から200社程度を担当しています。
一方で中堅企業及び大企業を担当している銀行員は一人当たり概ね50社程度を担当しています。
個人事業主や中小企業の場合に、一般的に一融資先に対する融資額も低いです。
これに対して中堅企業や大企業となると一融資先に対する融資額も何千億円と高いものとなります。
したがって銀行員の数にも限りがありますから、融資額が低い個人事業主と中小企業においては銀行員の一担当が受け持つ担当先数は多くなります。
これに比べて中堅企業や大企業においては銀行員の一担当が受け持つ担当先数は抑制したものとなり、その分、一融資先に対してきめ細かな対応を行うこととなります。
銀行員の担当はよくわかっていない
これは特に個人事業主や中小企業を担当している銀行員にしばしば言えることですが、「銀行員の担当は自社のことをよくわかっていない」と感じられることはないでしょうか?
実際、銀行員の担当は取引先のことをわかっていないのです。
大きな理由は2つあると私は考えています。
その理由とは、
1.担当先数が多い
2.頻繁に担当替え(転勤)がある
です。
担当先数が多い
これはさきほど説明した通りですが、個人事業主や中小企業の銀行員の担当は一人当たり100社から200社程度の担当先を受け持っています。
絶対的に担当先数が多いのです。
こうなるとどうしても一担当先に対して手厚い対応ができなくなりますし、一担当先のことを詳しく知る余裕がありません。
短期間で担当替え(転勤)がある
銀行の仕事はお金を扱う業務です。
そのため事故防止の観点もあり、銀行員の担当が長く同じ取引先を担当しているとよくない面が生じてきます。
そのために銀行員の担当はしばしば交代をするのです。
短期間で担当先が変わるため、銀行員の担当も担当先のことを知る機会が少なくなってしまうのです。
もちろん銀行員の担当が交代する際には引継を行ってはいますが、すべての担当先に挨拶に行く時間的ゆとりがありませんし、書面引継の場合でも現実は詳しく引継は行われていません。
そのために銀行員の担当は担当先のことを実はよくわかっていないのです。