売上の減少などの要因により資金繰りが悪化し現在の借入の返済が難しい・・・。
このような場合には銀行に返済条件変更(リスケ)の相談を行うことができます。
資金繰りの事情や銀行との相談により場合によっては元金の返済を全面的にストップして利息のみの返済とすることもあり得ます。
銀行への返済を利息のみにしたい場合の交渉方法について融資担当の銀行員が説明をします。
目次
利息のみ返済への相談の事前準備
銀行の融資の返済を利息のみの返済にするということは、融資本体の返済は行わないということです。
業績の悪化などで資金繰りが苦しくなり、融資の返済条件を見直すいわゆるリスケについては銀行側もある程度柔軟に対応をしています。
この返済条件見直しのリスケのなかで利息のみの返済にするということは、究極のリスケとなります。
なぜなら融資本体の返済はまったく行わないということですから。
利息のみの返済を銀行に交渉するには事前準備が必要です。
利息のみの返済はリスケの中でも究極の取扱い
資金繰り難に陥った理由を整理しておく
利息のみの返済を銀行に相談する前に準備をしておくべきこととしては、融資の返済が難しい事態となった理由を整理することです。
業績の悪化で資金繰りが苦しい状態であることが大半だと思いますが、業績の悪化の理由、業績の現在の状況、そして資金繰りの現在の状況を説明できるように準備をしてください。
利息のみの返済を銀行に相談した際に必ず銀行から質問を受ける事柄です。
利息のみの返済を銀行に相談する前に①業績悪化の理由 ②現在の業績の状況 ③資金繰りの状況の3つを説明できるように準備を行う
今後の業績や資金繰りの見通し
利息のみの返済はあくまでも一時的な対応です。
利息のみの返済として資金繰りが維持できるよう状態にして、この間に業績や資金繰りを立て直しして再び融資本体の返済ができるようにしなければなりません。
利息のみの返済から抜け出して再び融資の返済ができるようになるには、業績や資金繰りが回復することが前提のはずです。
そのため業績や資金繰りの今後の見通しを銀行に説明できるようにしてください。
今後の業績や資金繰りの見通しが説明できるように準備を行う
利息のみの返済の対応事例
それでは利息のみの返済の対応事例について紹介をします。
利息のみの支払いも対応例あり
売上の減少や利益率の減少など、さまざまな原因で会社の資金繰りが悪化してきた場合、銀行融資の返済は重みになります。
そんな状況のなかでは、一時的にせよ銀行融資の返済をストップさせ、利息のみの返済になれば助かると感じる中小企業の経営者や経理担当者の方は多いと思います。
利息のみの返済・・・。
利息のみの返済は融資元金の回収が滞ることですから、銀行にとっては歓迎すべきことではないのですが、応じている例はたくさんあります。
利息のみの返済を銀行に要請することは決して不可能ではないのです。
利息のみの返済に銀行が応じる場合
私が責任を負っている融資の現場においても、利息のみの返済を希望されるお客様は決して少なくありません。
ただどんな場合でも銀行は利息のみの返済を応諾するわけではありません。
ではどんな場合に銀行は利息のみの返済を了承すると思いますか?
いくつかポイントを説明します。
最終的に融資の返済は必ず行うことを銀行に明確に伝えること
簡単に言えば、「最後まで返す」という気持ちを銀行に伝えることです。
これは言葉でよいのです。
というのは、銀行融資の返済が困難になると一種の開き直りをする経営者が結構います。
開き直っても銀行交渉は一歩も前へ進みません。
「最後まで必ず返す」という表明は銀行に誠実な印象を与えます。
銀行に誠実な印象を与えることは利息のみの返済に代表される返済軽減の交渉では極めて大事なことです。
銀行に誠実な印象を与えることで、銀行側の態度を柔軟にさせる効果が想像以上に大きいのです。
開き直りの対応は問題外
自社の経営努力を示すこと
社長や社長家族の給与の減額など経費の削減や、無駄なコストの削減に努めていることを可能な限り具体的に銀行に示してください。
自助努力もしていないのに利息のみの返済を要請することは虫が良すぎると受け取られてしまいます。
自社で出来る努力はしたが、なお資金繰りがきついことをきちんと銀行に伝えるのです。
資金繰り改善のための自助努力は不可欠
今後の見通し
さすがに無期限で利息のみの返済を銀行は認めません。
今後の売上計画・見込み・対策などを銀行に伝え、向こう半年間程度に限定して利息のみの返済を要請するのです。
今後の見通しはバラ色ではなく保守的なものが良い
なお今後の見通しは決してV字回復などバラ色のものである必要がありません。
ゆっくりでも良いので具体的な施策で着実に業績が回復していく道筋を説明してください。
バラ色の計画を見せられても銀行は信用していません。
バラ色で実現性が乏しい今後の見通しを説明することはかえって銀行の不信感を買い得策ではありません。
業績や資金繰りの今後の見通しはバラ色ではなく保守的なものが良い
返済条件変更(リスケ)の期間は半年から1年
なお利息のみの返済を含めた返済条件変更(リスケ)の期間は1回あたり半年から1年で設定します。
いきなり2年間、返済条件変更(リスケ)を銀行が許容することはありません。
半年から1年の区切りある返済条件変更(リスケ)を行い、その間の状況を見てその後をどうするかをまた相談することになります。
利息のみの返済に対する銀行の本音
銀行の本音としては利息のみの返済など到底受け入れたくありません。
1円も融資本体の返済はせずに利息のみの返済することは融資先の業績や資金繰り事情に重大な懸念が持たれる状況です。
融資をしている銀行側すれば融資の回収に重大な懸念が持たれる状態だということです。
最終的に融資が貸倒となれば銀行が損失を被る事態です。
そのため利息のみの返済など応じずにさっさと融資の回収に動き出したいというのが銀行の本音です。
しかし銀行には事業者を資金繰り面で支援を行うという社会的な役割があります。
資金繰りが苦しい状態でもあるにもかかわらず、利息のみの返済に一切に応じずにひたすら返済をせまることはこの銀行の社会的な役割に反することとなります。
そのため利息のみの返済にしぶしぶ相談の乗るというのが銀行の本音です。
銀行に利息のみの返済を相談したいのまとめ
以上、銀行に利息のみの返済を交渉する際のポイントについてまとめますと次のようになります。
まとめ
・業績や資金繰り悪化の事情や現在の状況、今後の見通しについて説明ができるように準備を行うこと
・今後の見通しはバラ色ではなく保守的なものが良い
・利息のみの返済は半年から1年毎に見直しが行うことが通常