業績の悪化や資金繰り難の理由などにより借入金の返済が苦しくなった場合に銀行に返済条件変更(リスケ)の相談を行うことができます。
融資がある銀行が1つだけではなく複数ある場合に返済条件変更(リスケ)の相談をどのようにしたら良いのかを説明します。
返済条件変更(リスケ)の原則
複数の銀行から融資を受けている場合には返済条件変更(リスケ)はすべての取引銀行に相談をし、平等の条件で返済条件変更(リスケ)を行うのが原則です。
この銀行は返済条件変更(リスケ)を行うが、あの銀行はそのまま返済を続けるといったことは通用しません。
返済条件変更(リスケ)を行うのであればすべての取引銀行は平等の条件で行うことが必要です。
まずは主力銀行に相談
複数の銀行から借入がある場合、返済条件変更(リスケ)の相談はまず主力銀行から始めましょう。
返済条件変更(リスケ)はさきほども説明したように融資を受けているすべての取引銀行に相談を行う必要がありますが、返済条件変更(リスケ)に応じるかどうかの判断において主力銀行の方針が他の取引銀行の判断に大きな影響を与えます。
主力銀行が返済条件変更(リスケ)に応じなければ他の取引銀行が返済条件変更(リスケ)に応じる可能性はゼロです。
逆に主力銀行が返済条件変更(リスケ)に応じれば他の取引銀行も応じる可能性がかなり高くなります。
主力銀行の判断は返済条件変更(リスケ)の交渉の成否に最大の鍵を握っていますからまずは主力銀行に相談を行うようにしましょう。
それぞれの銀行毎に相談
主力銀行から返済条件変更(リスケ)に相談を行い、基本的に返済条件変更(リスケ)に応じる方向性を得たら他の取引銀行に順に相談を行ってください。
他の銀行に相談に行くと必ず「主力銀行には相談を行ったか?」「主力銀行は同意をしているのか?」といった質問が必ずといって良いほど投げかけられると思います。
その場合にはすでに主力銀行に相談を行い、基本的に同意をする旨の回答を得ていることを伝えればよいのです。
返済条件変更(リスケ)は基本的にプロラタ方式
複数の銀行から融資を受けている場合、返済条件変更(リスケ)は基本的にプロラタ方式によって行われます。
プロラタ方式とは各取引銀行の融資残高に応じて返済額を割り振ることです。
例えばA銀行、B銀行、C信金の3つの銀行(信用金庫)と取引があり、A銀行からは50,000千円、B銀行からは30,000千円、C信金からは20,000千円の融資を受けているとします。
融資の合計額は1億円になります。
そしてA銀行、B銀行、C信金の融資シェアはそれぞれ50%、30%、20%となります。
毎月の返済を合計で500千円を行うとした場合、銀行毎の返済額はそれぞれの融資シェアに応じて割り振ることをプロラタ方式と呼ばれています。
複数の銀行で返済条件変更(リスケ)を行う場合にはこのプロラタ方式で行われ、ある特定の銀行だけ融資シェアよりも多く返済するということは原則として認められません。
まとめ
複数の銀行から融資を受けている状態で返済条件変更(リスケ)を相談する場合、「あの銀行は金利が高いから多めに返済したい」とか「あの銀行は残高も少なく返済額も大したことがないので今まで通りの条件で返済をしたい」といったことは原則として認められません。
あくまでも複数の銀行が平等な条件で返済条件変更(リスケ)に応じるのが原則となります。