信用保証協会には一企業あたりの保証枠というものがあります。
この保証枠は複数の種類がありますが、1つの枠がいっぱいであっても別の枠が利用できるのかどうかを説明します。
「別枠だから利用できる」とよく言われますが本当でしょうか?
信保証協会の枠
よくある会話です。
A:「うちは信用保証協会を枠いっぱい使っているから、もう使えないよ」
B:「いやそんなことはないよ。枠がいっぱいのものとは別の枠を使えればまだ利用できるよ」
「保証の枠がいっぱいであっても別の枠の制度を利用できるからまだ使える」というのがBさんの説明ですが、本当でしょうか?
信用保証協会の代表的な枠
この図は多くの事業者が実際に利用している信用保証協会の代表的な保証枠です。
一般枠、セーフティネット4号枠、セーフティネット5号枠です。
それぞれの枠の上限は2億8,000万円でうち8,000万円が無担保枠です。
3つ合計で枠の合計は8億4,000万円、うち無担保枠の合計は2億4,000万円です。
したがって無担保であっても、3つの枠をそれぞれ使えば無担保で2億4,000万円の保証が利用でき、銀行から融資が受けられるというのが信用保証協会の保証制度上の理屈です。
一般枠がいっぱいだが
例えば一般枠で無担保8,000万円を利用していると、一般枠の無担保枠がいっぱいですからもう使えません。
しかしセーフティネット4号枠及びセーフティネット5号枠はまだ使っていないから、例えばセーフティネット5号枠の無担保枠を使って、あと8,000万円をつかえるかどうかです。
枠の制度上は確かに使える
確かに一般枠とセーフティネット枠は別枠ですから一般枠の無担保枠がいっぱいであっても、まだセーフティネット枠の無担保枠が残っています。
したがって枠の制度上では確かに使えそうです。
無条件には使えない
信用保証協会の枠の種類が異なるからといっても実際にはその通り使えることはまずありません。
仮に年商2億円の会社が一般枠を使って無担保枠いっぱいの8,000万円をすでに利用しているとします。
無担保枠をいっぱい使っているということは、少なくともこの一般枠の無担保枠だけで8,000万円の借入金があるということです。
年商2億円で8,000万円ですから決して少ない借入金水準だとは言えません。
ここで一般枠の無担保枠がいっぱいの状態で仮に別枠だからといってセーフティネット5号の無担保枠がやはり8,000万円使えるとなると、年商2億円の会社は無担保枠だけで1億6,000万円の借入金となります。
年商にせまる借入金であり借入過多の状態です。
もっとも一般枠、セーフティネット枠が別枠だといっても、借りる会社等は一緒です。
現実問題として「返済できますか?」ということになります。
したがって一般枠がいっぱいだから別の枠が使えるかと言えば、それは審査で歯止めがかかります。
一般枠がいっぱいで別の枠もいっぱいまで使える会社等もあれば、一般枠がいっぱいで別の枠も使えない、あるいは使えたとしても例えば1,000万円だけといった状態になります。
結論
結論は一般枠がいっぱいであっても別の枠だからといって利用できるわけではありません。
あくまで借りる会社等は同じですから、その会社等の財務内容や返済能力等を審査して別の枠が使えるかどうかという個別判断になります。