会社を引き継いで社長になった場合の連帯保証人の取扱いについて説明をします。
目次
会社の引き継ぎと連帯保証人に関する質問
先日、会社の社長が失踪しました。
失踪後、事業の継続の為に私が代表取締役を引き継ぎし、会社の経営状態を確認したところ、銀行残高が給与も支払えないほどの金額しかなく、倒産寸前の状態になっていました。
また、失踪した社長は、役員会にも諮らず誰にも無断で不正に銀行から6,000万円も融資借入を行なっていました。
保証人である社長が失踪しているため、銀行からは新しい代表者を融資の保証人に追加するよう言われていますが、会社の経営状況が非常に悪い状態になっており、その原因は失踪した社長がまともな経営を行なっていなかったことによるものですので、6,000万円もの保証人になれる人間がいません。
銀行側からは「いますぐに保証人の追加ができなくても、数ヶ月の猶予期間を持ち、数ヶ月後の時点で保証人を追加できるか判断してはどうか?」という提案がありました。
但し、提案自体は確定したものでは無く、銀行側で銀行自身が提案の通りにできるかを協議しています。
しかし、前述のとおり保証人になれる人間がいません。
銀行側から一括弁済を求められない限り、借入金の返済を続けながら事業を継続して行ける目処もたっております。
保証人の追加無しに事業を継続することはできないのでしょうか。
なお、6,000万円の融資借入のうち、4,000万円はメインバンクからの融資で保証協会付きです。
残りの2,000万円はメインバンクとは別の銀行のプロパー融資となっています。
会社の引き継ぎの場合の連帯保証人の一般的な取扱い
会社の引き継ぎが行われて代表取締役が交代した場合の一般的な連帯保証人の取扱いは次の2通りとなります。
・以前の融資の連帯保証人は変更せずに新しい融資から新代表取締役が連帯保証人になる
連帯保証人を新代表取締役に変更する
会社を引き継ぎ代表取締役が交代した場合、前代表取締役を連帯保証人から解除し新代表取締役が新たな連帯保証人になるのが第一の取扱い方法です。
会社を引き継ぎ代表取締役が交代した場合に、まずは銀行が求める連帯保証人の取扱いはこの第一の取扱となります。
しかし新代表取締役としては前代表取締役時代に借入した融資の連帯保証人になることに抵抗感もあるでしょう。
このような場合に銀行はいたずらに新代表取締役が連帯保証人にならないと正常な融資取引はできないといった一辺倒な対応はしません。
以前の融資の連帯保証人は変更せずに新しい融資から新代表取締役が連帯保証人になる
会社を引き継ぎして新代表取締役が就任したものの、以前の融資の連帯保証人になることに難色を示された場合には、前代表取締役時代の融資の連帯保証人は前代表取締役のままにしておく取扱をとります。
そして新代表取締役となってからの新しい融資から新代表取締役が連帯保証人になることを求めます。
この場合においても前代表取締役時代の融資の連帯保証人は前代表取締役のままです。
今回の質問のケース
今回のケースでが前代表取締役が失踪するという異常事態であり、かつ経営状態も非常に悪いとあります。
銀行は連帯保証人についていろいろと言っているようですが、新代表取締役が連帯保証人に就任することを強要することもできません。
現実的な融資実務対応としてはこの融資先については連帯保証人の取扱いが中心なテーマとなるのではなく、いかに融資を回収するかに銀行は専念することになるでしょう。
ただしご質問者が述べられているように現在の融資もきちんと返済ができるのであればそれを銀行は見守ることになると思います。
ただし追加融資などの新しい融資は今の融資が完済とならない限り、対応することは実際には難しい事態だと考えられます。