銀行融資の基本・審査

紐付き融資とは?大型受注の資金調達方法と銀行の審査ポイントを解説

「大きな仕事を受注できそうだが、売上代金が入金されるまでの資金が足りない」

「すでに銀行から運転資金を借りているが、新しい受注案件のために追加融資を受けられないだろうか」

このような悩みを抱える中小企業の経営者は少なくありません。

大型案件を受注すると売上の増加が期待できますが、代金を回収する前に材料費、外注費、人件費などの支払いが発生することがあります。

こうした資金需要に対応する融資方法の一つが「紐付き融資」です。

紐付き融資とは、特定の受注案件や契約に必要な資金を対象として、その契約代金の回収によって返済することを想定した融資です。

例えば、2,000万円の仕事を受注したものの、代金が入金されるまでに外注費や人件費など1,300万円の支払いが必要になる場合があります。

この場合、受注案件に必要な資金として銀行に融資を申し込み、売上代金の回収時に返済する方法が考えられます。

紐付き融資は、通常の追加融資が難しい場合でも、受注内容や代金回収の確実性によっては検討してもらえる可能性があります。

ただし、受注さえあれば必ず融資を受けられるわけではありません。

この記事では、紐付き融資の仕組み、具体的な資金繰りの計算例、通常の運転資金融資との違い、銀行の審査ポイント、申込時の必要書類と注意点について、融資担当銀行員の立場から説明します。

紐付き融資とは?特定の受注案件に対応する銀行融資

紐付き融資とは、特定の受注や契約に紐付けて行う銀行融資のことです。

通常の運転資金融資は、会社全体の仕入代金や人件費など、日常的な事業活動に必要な資金を対象とすることが多くなります。

一方、紐付き融資では、ある特定の受注案件について、その仕事を完成させるまでに必要な資金を融資対象として検討します。

そして、受注先から代金が入金された際に、その入金資金を主な返済原資とすることが特徴です。

紐付き融資の基本的な仕組み

  1. 会社が特定の仕事を受注する
  2. 受注案件に必要な材料費や外注費などを計算する
  3. 代金回収までに不足する資金を銀行から借り入れる
  4. 融資資金を使って受注案件を進める
  5. 受注先から売上代金を回収する
  6. 回収した代金を主な返済原資として銀行融資を返済する

なお、「紐付き融資」は融資実務で使われる表現であり、すべての銀行で同じ名称や商品として取り扱われているわけではありません。

銀行によっては、個別の受注案件に対応する短期運転資金融資などとして取り扱う場合があります。

また、特定の案件を返済原資として審査することと、その売掛債権を銀行に担保として差し入れることは同じではありません。

売掛債権の譲渡担保などが必要になるかどうかは、個別の融資条件によって異なります。

紐付き融資が利用される主な業種

紐付き融資の考え方は、受注から売上代金の回収までに一定の期間があり、その間にまとまった支払いが必要になる事業に適しています。

例えば、次のような業種が考えられます。

  • 建設業:工事完成・工事代金回収までの材料費や外注費
  • 製造業:受注製品の製造に必要な原材料費や加工費
  • システム開発業:システム納品までの外注費や人件費
  • WEB制作業:大型サイト制作に必要な外注費や制作費
  • イベント関連業:イベント開催前の会場費や制作費

ただし、これらの業種であれば必ず紐付き融資を受けられるというわけではありません。

重要なのは、対象となる受注案件、必要資金、売上代金の回収予定が具体的に説明できることです。

紐付き融資の具体例|WEBデザイン会社の大型受注

紐付き融資の仕組みを理解するために、銀行の融資相談をもとにしたWEBデザイン会社の事例を紹介します。

通常の運転資金融資を受けた会社からの相談

あるWEBデザイン会社に対して、運転資金の融資を実行しました。

この会社は売上が順調に伸びており、それに伴って外注費や人件費などの立替負担が増加していました。

そこで、資金繰りを安定させるために銀行から運転資金融資を受けたのです。

融資実行後、社長からは「これで当面の資金繰りに不安はなくなりました」との話がありました。

しかし、その一方で次のような質問を受けました。

「当社の融資枠は、これで当面いっぱいでしょうか?」

詳しく事情を聞くと、2~3か月後に会社としては大きな受注案件が控えているとのことでした。

正式に受注できた場合、現在の借入金だけでは、その案件に必要な資金を賄えない可能性があるというのです。

資金を確保できなければ、大きな仕事を受注すること自体をためらってしまいます。

このような場合に検討できる融資方法の一つが紐付き融資です。

受注額2,000万円、必要資金1,300万円のケース

具体的な数字で考えてみます。

WEBデザイン会社が、1月に2,000万円の大型案件を受注したとします。

契約内容は次のとおりです。

項目 内容
受注金額 2,000万円
受注時期 1月
納品時期 7月
売上代金の回収予定 8月
案件に必要な外注費など 1,300万円

この会社は、8月に2,000万円の代金を回収する予定ですが、それまでに外注費や人件費など1,300万円の支払いが必要です。

受注した仕事が利益を生む見込みであっても、代金の入金前に支払いが発生するため、資金繰りが不足する可能性があります。

そこで銀行に対し、この受注案件に必要な資金を対象とする融資を申し込みます。

銀行が受注内容や必要資金、代金回収の確実性などを審査し、融資可能と判断すれば、紐付き融資の考え方で資金を調達できる場合があります。

紐付き融資の返済方法

このケースでは、8月に受注先から2,000万円の代金が入金される予定です。

銀行は、その代金回収を主な返済原資として融資を検討します。

例えば、1月に1,300万円を借り入れ、8月の代金回収時に元金1,300万円を一括返済する方法が考えられます。

ただし、融資実行の時期は実際の支払予定に応じて決まるため、必ず受注時点から融資を受けるわけではありません。

また、利息の支払時期や返済期日は融資契約によって異なります。

紐付き融資の重要な特徴は、特定の受注案件に必要な資金を対象とし、その案件の代金回収を返済原資として考える点です。

紐付き融資はいくら借りられる?必要資金の計算方法

紐付き融資を申し込む際に、経営者が注意したいのは、受注金額がそのまま融資金額になるわけではないという点です。

例えば、2,000万円の仕事を受注したからといって、2,000万円を借りられるという意味ではありません。

銀行は、その受注案件を進めるために実際にいくらの資金が不足するのかを確認します。

受注金額ではなく支払先行額を確認する

先ほどのWEBデザイン会社の例では、受注金額2,000万円に対して、外注費や人件費などの必要資金は1,300万円です。

まずは、この1,300万円について、いつ、いくら支払う必要があるのかを整理します。

例えば、次のような支払予定だったとします。

支払時期 支払内容 支払金額
2月 外注先への着手金など 300万円
4月 制作に伴う外注費など 400万円
6月 制作費・人件費など 400万円
7月 納品前の最終支払いなど 200万円
合計 1,300万円

この表は説明用の仮定ですが、支払時期を整理することで、銀行はいつ資金が必要になるかを確認できます。

実際の融資では、1,300万円を一度に借りる必要があるのか、それとも支払時期に合わせて資金調達するのかも検討します。

前受金や自己資金があれば融資必要額は減る

例えば、受注先から前受金として300万円が入金される場合を考えます。

案件に必要な支払総額が1,300万円で、その前受金300万円を支払いに充てられるのであれば、単純計算では残り1,000万円です。

必要資金1,300万円-前受金300万円=1,000万円

ただし、前受金が入金される時期と支払いが発生する時期が異なる場合には、一時的に必要な借入金額が変わることがあります。

また、会社が自己資金を充当できる場合には、その分も考慮する必要があります。

したがって、融資必要額を考える際には、単純な経費の合計だけでなく、入出金の時期を反映した資金繰り表が重要です。

受注が増えても資金繰りが苦しくなる原因については、売上が増えているのにお金が残らない7つの理由でも詳しく解説しています。

紐付き融資の必要額を考える際のポイント

  • 受注金額そのものが融資限度額になるわけではない
  • 材料費、外注費、人件費などの支払予定を整理する
  • 前受金や自己資金として使える金額を確認する
  • 代金回収までの資金不足が最大になる時期を把握する
  • 必要資金の全額を銀行が融資するとは限らない

紐付き融資と通常の運転資金融資の違い

紐付き融資も、資金使途という点では運転資金の一種として考えることができます。

ただし、一般的な運転資金融資と比較すると、融資の対象や返済原資の考え方に違いがあります。

比較項目 紐付き融資 一般的な運転資金融資
融資対象 特定の受注・契約 会社全体の運転資金需要
必要資金の確認 案件ごとの支払予定を確認 売掛金・在庫・買掛金などを確認
主な返済原資 対象案件の売上代金回収 事業全体の資金回収やキャッシュフロー
融資期間 対象案件の代金回収時期を考慮 資金需要や融資条件によって異なる
銀行の審査 案件の確実性と融資先の返済能力を確認 会社全体の業績や返済能力を確認

紐付き融資では、対象となる受注案件が明確なため、銀行は資金の必要性や返済予定を具体的に確認しやすいという特徴があります。

もっとも、紐付き融資であっても会社全体の財務内容や返済能力の審査が不要になるわけではありません。

紐付き融資と所要運転資金の違い

銀行は、会社全体に必要な運転資金を確認する際、売掛金や棚卸資産、買掛金などから所要運転資金を計算することがあります。

一方、紐付き融資では、特定の受注案件に必要な資金と回収予定を個別に確認します。

ただし、対象案件の資金需要がすでに通常の運転資金融資で賄われている場合には、同じ資金需要に対する二重の融資にならないかという点も重要です。

銀行へ相談する際には、現在の借入金が何に使われているか、新しい受注案件で追加的に必要となる資金はいくらかを区別して説明しましょう。

紐付き融資の3つのメリット

紐付き融資には、主に次のようなメリットがあります。

  1. 通常の追加融資が難しい場合でも、個別案件として検討してもらえる可能性がある
  2. 受注案件と返済原資が明確なため、銀行が融資を検討しやすい場合がある
  3. 大型受注に伴う一時的な資金不足に対応できる可能性がある

1.通常の融資とは異なる観点で追加融資を検討してもらえる

銀行は、融資先の事業規模や業績、財務内容などを踏まえ、融資金額を判断しています。

そのため、すでに相応の借入金がある会社では、通常の運転資金として追加融資を受けることが難しい場合があります。

しかし、特定の受注案件に必要な資金であり、代金回収による返済が見込まれる場合には、通常の運転資金とは異なる観点で追加融資を検討できることがあります。

例えば、会社全体の運転資金はすでに確保できていても、大型案件を受注したことによって一時的に追加資金が必要になる場合です。

このようなケースでは、受注契約や資金繰りの内容を銀行に説明することで、融資を検討してもらえる可能性があります。

ただし、紐付き融資に法律上の独立した融資枠があるわけではなく、既存の融資限度額とは別に必ず借りられるという意味ではありません。

銀行は、既存借入金も含めた総合的な与信判断を行います。

2.業績が多少悪くても融資を検討できる場合がある

紐付き融資では、対象案件の代金回収が返済原資として想定されます。

そのため、会社全体の業績が多少悪い場合でも、受注案件の内容や代金回収の確実性などによっては融資を検討できる場合があります。

例えば、直近の決算では利益が少なかったとしても、信用力のある取引先から確定した受注を獲得し、その案件に必要な資金と回収予定が明確であれば、銀行にとって判断材料になります。

ただし、赤字や債務超過があっても必ず融資を受けられるということではありません。

銀行は、受注先からの代金回収が遅れた場合にも対応できるかなど、融資先自身の返済能力も確認します。

3.大型受注による資金不足に対応できる

大型案件を受注すると、売上が増加する一方で、外注費や材料費などの支払いが先行することがあります。

売上代金の回収までの期間が長いほど、会社の資金繰り負担は大きくなります。

紐付き融資を利用できれば、受注案件に必要な資金を調達し、売上代金の回収までの資金繰りを支えることができます。

特に、建設業、製造業、システム開発業、WEB制作業など、受注から納品・代金回収までに時間がかかる事業では、検討する価値がある融資方法です。

紐付き融資で銀行が審査する5つのポイント

紐付き融資を銀行に申し込む場合には、受注案件の内容や返済原資を具体的に説明することが重要です。

1.受注や契約が確定しているか

銀行は、対象となる受注案件が正式に決まっているかを確認します。

例えば、正式な契約書や発注書があれば、受注内容を確認しやすくなります。

一方、受注の見込みがあるという段階では、正式に契約が成立している場合と比べて、融資の判断が難しくなることがあります。

銀行としては、融資の対象となる契約が実際に履行される可能性を確認する必要があるためです。

また、契約が成立していても、受注先が自由に発注数量を変更できる条件などがある場合には、その内容も確認されることがあります。

2.受注先の信用力

紐付き融資では、受注先からの代金回収が重要な返済原資になります。

そのため、銀行は受注先の信用力にも関心を持ちます。

例えば、受注先の経営状態が悪く、代金の回収に不安がある場合には、融資審査も慎重になります。

反対に、受注先の支払能力が高く、代金回収の確実性が高いと判断できる場合には、融資を検討するうえでプラスの材料になります。

ただし、大手企業からの受注であっても、契約条件や検収条件によっては代金回収が遅れることがあります。

3.受注案件に必要な資金の金額

銀行は、受注金額だけでなく、その仕事を完成させるためにいくらの資金が必要なのかを確認します。

例えば、受注金額が2,000万円であっても、必要な外注費や材料費などが1,300万円であれば、まずはその支払予定が検討の対象になります。

ただし、必要経費の全額がそのまま融資可能額になるとは限りません。

自己資金、前受金、支払時期などを踏まえて、実際に不足する資金額を確認します。

紐付き融資では、受注金額そのものではなく、代金回収までに必要となる資金を具体的に示すことが重要です。

4.代金回収の時期と確実性

銀行は、受注先からいつ代金が入金されるのかを確認します。

例えば、7月に納品して8月に代金が入金される契約であれば、その入金時期に合わせた返済方法が検討されます。

ただし、検収条件や契約内容によっては、代金の入金時期が変更になる場合もあります。

そのため、銀行は契約上の支払条件や代金回収の確実性を確認します。

契約書に「検収完了後、翌月末払い」と記載されている場合には、納品日だけでなく、検収がいつ完了するかも重要になります。

5.融資先自身の財務内容と返済能力

紐付き融資は特定の受注案件を対象としますが、銀行は融資先自身の財務内容も審査します。

例えば、受注先からの代金入金が遅れた場合や、案件の採算が悪化した場合でも、返済を継続できるかどうかが重要になります。

既存の借入金の返済状況、利益、資金繰りなども確認されます。

特に、会社全体の資金繰りが厳しく、対象案件の入金代金を別の支払いに充てなければならない場合には、予定どおり返済できるか慎重に判断されます。

紐付き融資の返済方法|期日一括返済と代金回収の関係

紐付き融資では、対象案件の売上代金が入金される時期に合わせて、元金を一括返済する方法が考えられます。

例えば、8月末に売上代金が入金される予定であれば、その入金時期を踏まえて返済期日を設定する方法です。

ただし、必ず期日一括返済になるわけではなく、返済方法は融資契約によって異なります。

売上代金が入金されても返済できない場合がある

ここで注意したいのは、売上代金が入金されたからといって、その全額を銀行への返済に使えるとは限らないことです。

先ほどのWEBデザイン会社の例では、受注金額2,000万円、案件に必要な費用1,300万円でした。

仮に1,300万円を借り入れ、8月に2,000万円を回収したとしても、まだ支払っていない外注費などがあれば、その支払いも必要です。

また、対象案件とは別に、会社全体の人件費や家賃、税金、既存借入金の返済なども発生します。

したがって、銀行は対象案件の代金回収だけでなく、会社全体の資金繰りも確認します。

回収代金が返済原資として確保できるかが重要

例えば、8月に2,000万円が入金されても、同じ時期に会社全体で多額の支払いが集中している場合には、1,300万円の元金返済が難しくなる可能性があります。

このような事態を防ぐためには、案件別の資金繰りと会社全体の資金繰りを合わせて確認することが重要です。

紐付き融資では、受注代金の回収予定だけでなく、回収した資金を返済に充てられる見通しまで説明する必要があります。

銀行融資・資金繰りのメール相談

大型受注に伴う先行支払いが増え、追加融資や返済時期についてお悩みの場合は、受注内容や資金繰りを整理したうえでメールでご相談いただけます。

※ご相談はメールで受け付けています。融資の承認や実行を保証するものではありません。

紐付き融資を銀行に申し込む際の必要書類

紐付き融資を相談する場合には、受注案件の内容と資金の必要性を説明できる資料を準備することが重要です。

銀行によって必要書類は異なりますが、次のような資料が考えられます。

書類 銀行が確認する内容
受注契約書・発注書 受注内容、契約金額、契約の成立状況
見積書・原価計算資料 案件に必要な経費や採算
支払予定表 外注費や材料費などの支払時期
入金予定表 受注先からの代金回収予定
資金繰り表 融資が必要な金額と時期
決算書・試算表 会社全体の財務内容と返済能力

受注契約書だけでなく、支払いと入金の時期を整理した資金繰り表を準備すると、銀行に資金の必要性を説明しやすくなります。

銀行に提出する資金繰り表のポイント

紐付き融資の相談では、対象案件だけの資金繰り表を作成すると、資金需要を説明しやすくなります。

例えば、次のような項目を月別に整理します。

  • 対象案件の売上代金の入金予定
  • 外注費や材料費の支払予定
  • 前受金や中間金の入金予定
  • 案件に充当できる自己資金
  • 銀行からの借入予定額
  • 融資の返済予定額

そのうえで、会社全体の資金繰り表にも反映させます。

対象案件だけを見れば返済可能であっても、会社全体では資金が不足する場合があるためです。

紐付き融資を銀行に相談する際の説明方法

紐付き融資を相談する際には、単に「大型案件を受注したので追加融資をお願いします」と伝えるだけでは不十分です。

銀行が確認したいのは、受注内容、必要資金、返済原資の3点です。

例えば、次のように説明すると、銀行に資金需要を伝えやすくなります。

銀行への相談例

「今回、取引先から2,000万円のWEB制作案件を受注しました。納品は7月、代金の回収は8月を予定しています。

この案件では、外注費や制作費など合計1,300万円の支払いが先行します。

通常の運転資金とは別に、この受注案件に必要な資金について融資を相談したいと考えています。

受注契約書、支払予定表、入金予定表を準備していますので、8月の代金回収を返済原資とする融資が可能か、ご検討いただけないでしょうか。」

このように説明すれば、銀行は通常の運転資金需要と、特定案件による追加資金需要を区別して検討しやすくなります。

もちろん、この説明だけで融資が承認されるわけではありません。

実際には、契約内容、受注先の信用力、資金繰り、既存借入金などを踏まえて審査されます。

紐付き融資を利用する際の4つの注意点

紐付き融資にはメリットがありますが、注意すべき点もあります。

1.受注がキャンセルされる可能性

受注契約が成立していても、契約の解除や仕様変更などによって、当初予定していた代金を回収できなくなる可能性があります。

その場合、予定していた返済原資が不足することがあります。

銀行はこうしたリスクも考慮して融資を審査します。

2.代金回収が遅れる可能性

受注先からの代金回収が予定より遅れる場合があります。

例えば、8月に入金される予定だった代金が10月に変更になれば、融資の返済期日との間にずれが生じる可能性があります。

返済期日までに資金を確保できない見込みとなった場合には、早めに銀行へ相談することが重要です。

代金回収の遅延が判明した段階で、変更後の入金予定や資金繰りを整理して説明することが望まれます。

3.受注案件の原価が増加する可能性

受注案件の進行中に外注費や材料費が増加することがあります。

当初1,300万円と見込んでいた必要資金が1,500万円に増加すれば、追加で200万円の資金が必要になります。

そのため、受注案件の原価や資金繰りを継続的に管理することが重要です。

なお、原価が増加したからといって、銀行が必ず追加融資に応じるわけではありません。

4.売上代金が入金されても全額を返済に使えるとは限らない

受注先から2,000万円の代金が入金されても、その全額が自由に使える資金とは限りません。

未払いの外注費や税金など、別の支払いが残っている場合があるためです。

銀行は、対象案件の代金回収後に必要な支払いも含めて、返済可能性を確認します。

紐付き融資の審査で注意したい3つのケース

紐付き融資では、受注案件が明確であっても、銀行が慎重に判断するケースがあります。

受注先からの入金予定が不明確なケース

契約書に代金の支払時期が明確に記載されていない場合や、検収の完了時期が未定の場合には、返済期日の設定が難しくなります。

銀行に相談する際には、代金の支払条件を確認しておく必要があります。

対象案件の採算が悪いケース

受注金額が大きくても、外注費や材料費が多く、利益がほとんど残らない案件では、銀行は慎重に審査することがあります。

例えば、2,000万円の受注に対して必要経費が1,950万円であれば、想定利益は50万円です。

その後に追加費用が発生すると、赤字になる可能性もあります。

銀行は、受注金額だけでなく案件の採算にも注目します。

既存借入金の返済負担が大きいケース

特定案件の代金回収が見込まれていても、会社全体の借入金返済負担が大きい場合には、追加融資が難しくなることがあります。

銀行は、紐付き融資だけを切り離して判断するわけではありません。

既存借入金の返済状況や会社全体の資金繰りを確認し、追加融資後も返済を継続できるかを判断します。

既存借入金の返済負担が大きい場合の見直し方は、借入金の返済負担が重い会社の改善方法も参考にしてください。

紐付き融資についてよくある質問

紐付き融資はどの銀行でも利用できますか?

紐付き融資という名称の融資商品が、すべての銀行に用意されているわけではありません。

ただし、特定の受注案件に必要な短期運転資金として融資を検討できる場合があります。

取引銀行に受注内容と必要資金を説明して相談することが重要です。

紐付き融資は通常の融資枠とは別に借りられますか?

特定の受注案件と返済原資が明確である場合には、通常の運転資金とは異なる観点で追加融資を検討してもらえることがあります。

ただし、独立した融資枠が必ず設定されるわけではありません。

銀行は既存借入金も含めて総合的に融資の可否を判断します。

赤字決算でも紐付き融資を受けられますか?

赤字決算であっても、受注案件の内容や代金回収の確実性などによっては、融資を検討できる場合があります。

ただし、赤字であっても必ず融資を受けられるという意味ではありません。

銀行は会社全体の資金繰りや返済能力も確認します。

紐付き融資の返済方法は一括返済ですか?

受注先からの代金回収を返済原資とする場合には、代金回収時に元金を一括返済する方法が考えられます。

ただし、実際の返済方法は銀行との融資契約によって異なります。

受注が正式に決まる前でも紐付き融資を申し込めますか?

受注前の段階でも、銀行へ資金調達の相談をすることはできます。

ただし、正式な契約が成立していない場合には、受注の確実性を確認できないため、融資実行の判断が難しくなることがあります。

大型案件の受注を予定している場合には、早めに取引銀行へ相談しておくとよいでしょう。

受注金額2,000万円なら2,000万円借りられますか?

受注金額が2,000万円であっても、その全額を借りられるわけではありません。

銀行は、対象案件に必要な材料費や外注費などの支払額、前受金、自己資金、支払時期などを確認し、実際に必要となる融資金額を審査します。

売上代金の入金が遅れたらどうすればよいですか?

返済期日までに売上代金を回収できない見込みとなった場合には、できるだけ早く銀行へ相談することが重要です。

変更後の入金予定や資金繰りを説明し、返済期日などについて銀行と協議することになります。

ただし、返済期日の変更が必ず認められるわけではありません。

紐付き融資は信用保証協会付きでも利用できますか?

個別の受注案件に必要な運転資金について、信用保証協会の保証付き融資を検討できる場合があります。

ただし、利用できる保証制度、資金使途、保証条件、審査結果などによって取扱いは異なります。

具体的には、取引銀行や信用保証協会へ確認してください。

紐付き融資のまとめ

紐付き融資とは、特定の受注や契約に必要な資金を対象として、その契約代金の回収によって返済することを想定した融資です。

通常の運転資金融資と比べて、融資の対象となる案件や返済原資が明確であることが特徴です。

そのため、通常の追加融資が難しい場合でも、受注案件の内容や代金回収の確実性によっては融資を検討してもらえる可能性があります。

ただし、必ず別枠で融資を受けられるわけではなく、銀行は融資先の財務内容や返済能力も確認します。

この記事のまとめ

  • 紐付き融資は特定の受注や契約に必要な資金を対象とする融資
  • 対象案件の代金回収を主な返済原資として考える
  • 通常の運転資金とは異なる観点で追加融資を検討してもらえる場合がある
  • 受注金額と実際に必要な融資金額は異なる
  • 受注内容、必要資金、代金回収の確実性が審査上重要になる
  • 融資先自身の財務内容や返済能力も審査される
  • 案件別と会社全体の資金繰りを合わせて確認することが重要

大型案件を受注する予定があり、代金回収までの資金が不足する場合には、受注契約や資金繰りの内容を整理し、紐付き融資の考え方で取引銀行に相談してみることをおすすめします。

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「大型案件を受注したが、代金回収までの資金が足りない」「すでに銀行借入があり、追加融資を受けられるか不安」「銀行に受注案件の資金需要をどのように説明すればよいかわからない」といった悩みを抱える経営者の方もいるでしょう。

銀行への融資相談では、受注内容、必要資金、代金回収予定、返済原資を整理し、銀行が判断できる資料を準備することが重要です。

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