信用保証協会が銀行に対して代位弁済を行うと債務者や連帯保証人は信用保証協会に損害金を支払う必要が発生します。
信用保証協会の損害金とは何かについて整理をするとともに、損害金が免除されるようなことがあるのかどうかについて融資担当の銀行員が説明をします。
目次
信用保証協会の損害金とは
まずはそもそも信用保証協会の損害金はどのような場合に発生するのかについて整理をします。
損害金は代位弁済後に発生する
信用保証協会を利用した銀行からの融資は万が一、返済ができなくなると銀行からの請求に基づいて信用保証協会が融資を借りている債務者や連帯保証人に代わって銀行に融資の一括返済を行います。
この信用保証協会が債務者や連帯保証人に代わって銀行に融資の返済を行うことを代位弁済と呼んでいます。
信用保証協会の損害金はこの代位弁済と同時に発生します。
信用保証協会の損害金は代位弁済によって発生する
延滞だけでは損害金は発生しない
信用保証協会を利用した融資はあくまでも銀行が行います。
したがって融資の返済は信用保証協会に対してではなく銀行に対して行います。
融資の返済が遅れることを延滞と呼んでいますが、この延滞だけでは信用保証協会に対して損害金は発生しません。
延滞が長期化し今後、銀行に融資の返済ができないと考えられる事態になって初めて信用保証協会による代位弁済が行われます。
そのため銀行に対して融資の返済が延滞している状態ではまだ信用保証協会に対する損害金は発生しません。
銀行融資の延滞だけでは信用保証協会の損害金は発生しない
代位弁済により債権は銀行から信用保証協会に移る
信用保証協会が代位弁済を行うとそれまで銀行が債務者や連帯保証人に対して持っていた融資の債権は信用保証協会に移転します。
信用保証協会の損害金の水準
ところで信用保証協会の損害金の水準はどれくらいでしょうか?
信用保証協会の損害金の水準は年率で14%です。
かなりの高い水準です。
信用保証協会の損害金の水準は年率14%
損害金は代位弁済した金額に対して発生する
信用保証協会の損害金は信用保証協会が代位弁済をした金額に対して発生します。
例えば信用保証協会が代位弁済をした金額が1,000万円だとしますと、これに14%をした金額、つまり1年間で140万円の損害金が発生することとなります。
代位弁済をした金額が1,000万円だとすると損害金は1年間で140万円
なぜ信用保証協会に損害金が発生するのか
それではそもそもなぜ信用保証協会に損害金が発生するのかを説明します。
融資の返済はあくまでも債務者が行うことが大原則
信用保証協会は事業者が銀行から融資を受ける際に保証人になってくれる存在です。
ところで銀行から受けた融資を返済する義務があるのはあくまでも事業者自身です。
代位弁済は例外的なこと
信用保証協会が初めから銀行に融資の返済をする義務を負っているわけではありません。
この事業者が業績不振などの理由で融資の返済が困難となった場合に初めて信用保証協会は銀行からの請求に応じて融資の返済を行うわけです。
したがって信用保証協会は銀行に融資の返済、つまり代位弁済を行うは例外的なことであり、信用保証協会として事故に遭遇したようなものです。
初めから信用保証協会は代位弁済を行うことを予定しているわけではありません。
そのため信用保証協会が代位弁済を行うと損害金が発生するのです。
代位弁済後はどうなるのか?
信用保証協会が代位弁済をした後のことを説明します。
信用保証協会に債権が移転する
さて、信用保証協会が代位弁済を行うと融資の債権は信用保証協会に移ります。
これに伴い債務者や社長などの連帯保証人は今度は信用保証協会に返済する義務を負います。
返済する対象は代位弁済の金額とそれに伴う損害金です。
信用保証協会が代位弁済を行うと融資の債権は信用保証協会に移転する
信用保証協会との返済交渉
信用保証協会が代位弁済と行うと債務者や連帯保証人は今後の返済について信用保証協会と協議を行うこととなります。
債務者が置かれた状況などを勘案して毎月どれくらいの返済を行うかについて信用保証協会と協議を行います。
返済はまずは代位弁済した元本
信用保証協会への返済は代位弁済した元本と損害金が対象になります。
ただし返済はまずは代位弁済した元本を優先して行います。
損害金の支払いは後回しです。
代位弁済した元本の返済が終了してから、次に損害金の支払いという順番です。
信用保証協会への返済は代位弁済した元本⇒損害金の順番
信用保証協会の損害金が免除されることはあるのか?
ところでさきほども説明をしましたように信用保証協会の損害金は年率14%とかなりの高い水準です。
代位弁済した元本の返済だけでも大変なのに、それに加えて損害金の支払いが加わると相当な負担となります。
この信用保証協会の損害金が免除されることはあるのでしょうか?
信用保証協会の損害金は原則として免除されない
まず原則として信用保証協会の損害金が免除されることはありません。
代位弁済した元本の返済を行わない限り、日々損害金が積み重なっていくことが原則です。
しかしケースによっては信用保証協会の損害金が免除されることがあります。
信用保証協会の損害金は原則として免除されない
信用保証協会の損害金が免除されるケース
原則として信用保証協会の損害金は免除されませんが、代位弁済した元本の返済が完了すると損害金が一部免除されることがあります。
全部の損害金は免除されません。
損害金の一部が免除される可能性があります。
例えば代位弁済した元本の返済が完了した時点で損害金の累計が500万円になっていたとします。
原則としては代位弁済した元本の返済が完了したら次は損害金500万円の支払いになります。
しかしこの間の代位弁済した元本の返済が順調であったなどのケースでは損害金は500万円ではなく300万円にする、つまり200万円が免除されることがあります。
信用保証協会の代位弁済後にきちんと返済をすれば、損害金は免除される可能性があります。
代位弁済した元本の返済が完了すると損害金の支払いが一部免除される可能性がある
信用保証協会の損害金とは何か?のまとめ
以上、信用保証協会の損害金についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・損害金の水準は年率14%とかなり高い
・信用保証協会への返済をきちんと行うと損害金が一部免除される可能性がある
・損害金の全部は免除されない