融資審査マンの見方 銀行の本音

融資資金使途違反の実例

銀行から融資を受けた場合、その資金は使途通りに使うことが求められます。
運転資金として融資を受けた場合には、その資金は運転資金として使わなければなりません。
ここでは資金使途違反の実例とその後の銀行の対応について説明します。

資金使途違反の実例

従業員が5名ほどの会社に運転資金の融資を実行しました。
もともとはこの会社から運転資金の融資の申し出を受けたのです。
現在の資金繰りは大丈夫だと思うものの、先行きに不安感があるので手元の資金を厚くしておきたいという要望からのものです。
資金繰りに不安があると事業に専念しづらくなりますから、手元の資金を厚くしておいて資金繰りに心配することなく日々の業務に臨みたいというのは銀行としても十分に理解出来るところです。
この要望もあり運転資金の融資を実行しました。

社長の個人口座に振込

この会社の社長としては先行きの資金繰りを心配し念のため融資を受けたものでした。
そのため融資の資金はすぐに使う必要はありません。
そのためこの社長は会社に貸し付けている社長自身の資金(会社から見れば社長からの借入金)の返済にあてて、必要な時はまた社長から会社に資金を貸し付ければ良いと考えました。
そうして会社の口座から社長の個人口座に資金を振り込みました。
この行為は実は資金使途違反なのです。
すぐには資金を使わないので、とりあえず社長の個人口座に資金を移しておいて、必要な時に戻せば良いとこの社長は考えたのだと思います。
別に悪意は感じられません。
しかし銀行としてはこの行為は資金使途違反なのです。

銀行の見方

この実例では社長の個人口座に振込された資金はまだそのまま残っていました。
社長の個人口座に振込された資金が、例えば証券会社に振り込まれて株を購入したとなると大ごとになりますが、今回はまだ社長の個人口座にそのまま残っていました。
しかし銀行としてはあくまでも会社の運転資金として融資を実行したものです。
運転資金とは仕入代金の支払や家賃の支払、従業員への給料の支払などが代表例です。
そういった使途に使われることを前提にして銀行は融資をしている以上、使途通りに使ってもらわないと困るのです。
これは銀行の融資業務の管理に関することで銀行としてはとても重要なことなのです。
社長に悪意はなかったとしても社長の個人口座に給料以外の目的で融資した資金を振り込むというのは運転資金としての使い方ではありません。

銀行の対応

今回の資金使途違反に対して銀行としてはあくまでも運転資金として資金使途通りに使ってもらうために社長の個人口座に振込された資金をすべて会社に戻すことを求めます。
そして会社に戻してもらえれば銀行としてはそれ以上のことを言わないでしょう。
会社に資金を戻して、今後の仕入代の支払や従業員の給料など運転資金として使用してもらえればそれで良しと銀行はするでしょう。
問題は戻していただけない場合です。
この場合には資金使途違反を明確に銀行は指摘して、融資の契約違反だから直ちに全額返済を求めることになります。
銀行としても資金使途違反という融資契約違反を黙って見過ごすわけにはいかない事柄なのです。
そして仮に全額返済に応じてもらったとしても、今後のこの会社に再び融資を行うことはまずありません。
資金使途違反を是正していただけなかった会社とはもう取引をしたくないと銀行は考えます。
資金使途違反など重要な事実は必ず銀行は記録に残しています。
そして担当者などが転勤で変わってもその記録はずっと引き継がれます。
すぐには使わないからと社長個人の口座に移してしまうのは大したことではないと感じられると思いますが、銀行としては目をつぶる訳にはいかない重要なことなのです。
くれぐれも融資の資金使途は守りましょう。
使い方で不安なことがあれば銀行に確認して使用すれば何ら問題はありません。

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