今回は銀行として融資をしたくなるある飲食業の個人事業主の例をご紹介します。
一般的に個人事業主向けの融資は銀行は「仕方なくやっている」というのが本音です。
しかし今回の例は融資をして応援したくなる飲食業の個人事業主の例です。
融資担当の銀行員が説明をします。
飲食業の個人事業主との融資取引の経緯
そもそもこの飲食業の個人事業主とは取引がありませんでした。
2020年4月に突然、銀行に来店されて運転資金の融資相談を受けました。
この時期は新型コロナウイルス感染症が拡大し、飲食店には営業自粛の要請がなされて経営が非常に厳しい時期でした。
この方のお店は開店して1年足らずの時点で新型コロナの影響を受け、経営が非常に苦しくなってきました。
家賃の支払にも苦しくなってきたために今回、新型コロナ関連の融資制度の申し込みに来られたのです。
この時期には多くの取引先から新型コロナ関連の融資相談が殺到していた時期でしたから、ほとんど機械的に融資手続きを行い、その後の融資の実行を行いました。
その際、非常に真面目な人柄であったことを記憶していました。
飲食業の個人事業主から突然の来店による融資相談
融資後の多くの取引先の行動パターン
融資実行後の取引先からその後の業績の状況などの説明はまずありません。
例えば飲食店の新規開店資金を融資した場合、銀行としてはそのお店が計画通りに行っているかどうかなど気になるものです。
しかし大半の取引先からその後の状況について連絡をいただけることは残念ながらありません。
皆無といっても過言ではありません。
こちらから状況を聞いてようやく答えていただけることがほとんどです。
融資実行後の取引が深まるということはほとんどありません。
融資の時だけ銀行に頼るのがよくある例
この飲食業の個人事業主の場合
ところが今回の飲食業の個人事業主の方は融資実行後に定期的に売上状況の報告をしていただいています。
別に銀行から報告を求めたわけではなく、自主的に報告をしていただいています。
ノートに日々の売上と支出を自筆で記載したもので非常にシンプルなものなのですが、「今、このような状況になっている」ということを知らせてくれるのです。
ほとんど取引先から融資後の状況の連絡がない中ですから、この飲食業の個人事業主の行動は非常に新鮮でありかつ印象に残ります。
融資後の自主的に定期的な業況報告をしてくれる
銀行が応援したくなるポイント
今回の飲食業の個人事業主の例で銀行が今後も融資をしたくなるポイントとなることは融資後の自主的に業況報告をしていただいているというところです。
融資後の取引先のよくある行動パターンは次の通りです。
よくある行動パターン
・融資期間中に決算書(確定申告書)の提出を依頼しても気持ちよく応じない(⇒なぜ出さないといけないのか)
・融資後は銀行から連絡をしない限り取引先から連絡をしてくることはない(⇒融資を受ける時だけ)
困ったことがあればいつでも言ってきてください
今回の飲食業の個人事業主の場合ですと所詮は人間ですから、何かあった場合に役に立ちたいという思いが強くなります。
融資後のその後の状況を説明してくれることに銀行員はとても嬉しく思っているのです。
このような動きをしていただける取引先には融資審査面では難しい場合であっても何とかして支援が出来ないか銀行は考えます。
銀行は所詮はそのようなものなのです。
融資後に時折銀行にコンタクトを取ることで銀行の対応はまったく異なるものになります。