融資の中には元金返済を一定期間、据置、つまりその期間は利息のみを支払い返済開始は据置期間経過後に始まるものがあります。
特に信用保証協会保証付融資においては制度として据置期間が設けられているものがあります。
据置期間が付いている融資に対する銀行の考え方と据置期間中の追加融資に対する銀行の姿勢について説明をします。
銀行融資は返済しなければならない
当たり前のことですが、およそ銀行融資は最後まで返済しなければなりません。
融資をする側の銀行にとっても融資業務はただ貸出することで終わるのではなく、最後の1円まで回収して初めて完結します。
元金返済の据置制度
銀行融資を長期で借入する場合、その返済は通常は毎月の分割返済の形式を取ります。
返済の開始は原則、融資した月の翌月から始まります。
ところで銀行融資の中には(特に設備資金の場合に多いのですが)返済の開始が翌月からではなく、一定期間後、例えば半年後からなど、融資実行後しばらくの間、元金返済が据置となるものがあります。
また信用保証協会保証付融資において制度として元金返済の据置が一定期間、設けられているものもあります。
これは融資先の資金繰りに配慮したものです。
制度融資の中には最長で5年間の元金返済猶予が設けられているものがあります。
元金返済の据置はもっぱら融資先の資金繰りに配慮したものであり、「返済は融資月の翌月から始まる」という原則からすれば異例扱いとなります。
元金返済据置期間中の追加融資には消極的
では元金返済の据置期間中に新たな追加借入が可能かどうかですが、原則として困難です。
さきほども説明したように融資の返済は融資月の翌月から始めるのが基本です。
それを一定期間猶予しているのが元金返済の据置制度です。
銀行からすれば「この前の融資の返済がまだ始まっていないのに追加の融資など出来ない」という理屈になります。
銀行としては貸したお金は返してもらわなければなりません。
貸したお金の返済がまだ始まっていない中で、更なる融資はしづらいのです。
元金返済の据置期間が終了し、返済開始となってから初めて追加融資を検討するのが銀行の基本スタンスです。
安易に返済据置制度を利用しない
返済据置制度は融資先の資金繰りに配慮したものですが、しかし融資ですから必ず返済をしなければなりません。
また返済据置期間中は元金が減少しないですから、元金に対して発生する利息も減少していくことがありません。
安易に元金返済の据置制度は考え方としては返済負担を後日にしわ寄せするものです。
返済据置期間中は返済負担がありませんから資金繰り的にはプラスに働きますが、後々に資金繰りを圧迫する原因にもなります。
制度として認められているからといって安易に返済据置を利用しないことが賢明だと考えます。