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銀行融資の基本 融資審査マンの見方

銀行融資に試算表は必須です

銀行での融資審査の中心は決算書の分析による信用力の調査です。
しかし決算書だけではなく試算表の提出を銀行から求められることが少なくありません。
試算表の持つ意味と試算表が融資の審査に与える影響について融資担当の銀行員が説明をします。

試算表とは

まず試算表とは何かについて簡単に整理をします。

銀行の融資審査の基本は決算書分析

銀行の融資の審査の最大のポイントは融資の返済がきちんと可能かどうかであり、その判断根拠の多くは毎年の決算書によって行っています。
決算書を多角面から分析することによって銀行は融資の返済可能性の判断を行っています。
決算書の分析により、銀行は融資を返済する能力があるかどうかを検証しているのです。
決算書なくして銀行の融資審査は前には進みません。
決算書は銀行の融資審査の基本中の基本です。

決算書は銀行の融資審査で最重要の位置付け

決算書の欠点

しかしこの決算書には1つの大きな欠点があります。
決算書は通常、年一回だけ作成されるものであり、実際に銀行融資の審査を行う際にはあくまでも「過去の数字」です。
例えば3月決算の場合、その年の12月に銀行に融資の申し込みをしたとします。
12月と言えば決算月の3月から9ヶ月が経過していることになります。
この9ヶ月の間に融資先の業績は変化していてもおかしくありません。
つまり9ヶ月前の業績を示す3月の決算書を分析しても、現在の返済能力を示すものではありません。
銀行の融資の返済は過去の実績で返済されるのではなく、これからの将来の実績によって返済されていくものです。
将来の予測をすることはなかなか難しいですから、少なくとも決算期以降の足元の数字は銀行融資の審査担当としては確認しておきたいところです。

決算書の数字は過去の実績で足元の業績はわからない

試算表の役割

この決算書の欠点を補うものが試算表です。
試算表とは決算期以降に作成される簡易版決算書のようなものです。
試算表を検証することで決算期以降の融資先の業況の状況を知ることができます。
このため銀行の融資審査の現場では決算書に次ぐ重要な資料として試算表を位置づけしています。

試算表は決算期以降の業績がわかる重要な資料

銀行からの追加融資には試算表は必須

銀行から追加融資を受けるには試算表の準備は大切です。
ましてや銀行のプロパー融資を受けるには試算表の提出は必要不可欠です。
試算表は市販の会計ソフトを使えば、誰でも簡単に作成することが出来ます。
毎日の実績を会計ソフトに入力しておけば、自動的に試算表は作成されます。
何も税理士に依頼することはありません。

試算表が提出できない場合の影響

事業者の中には決算書は作成しているものの、試算表は作成していないところもあります。
この状態ですと銀行から試算表の提出の依頼がきても、試算表を提出できないということになります。

銀行は業績管理ができていないと考える

試算表の提出を銀行がお願いをしても、試算表の提出をしない事業者があります。
この場合、銀行は事業者が足元の業績すら把握していないと考えます。
事業を行っていれば、売上は増えているのか、減っているのか、利益は出ているのか、赤字なのかといったことは最低限気になるはずです。
しかし試算表を作成していないことは、この最低限の業績の管理を行っていないものと銀行は考えます。

試算表を提出できないと銀行は事業者が経営管理をしていないと考える

銀行から融資が受けられない可能性もある

足元の業績の管理ができていない先に安心して銀行は融資を行うことはできません。
そのため試算表の提出が受けられないと銀行は融資を断ることも十分あります。
融資を実行するとしても、希望金額ではなく資金繰りが維持できる最低限の金額に融資を絞ろうと銀行は考えます。
要するに試算表の提出ができないと十分な融資を銀行から受けられない可能性が高まるということです。

試算表の提出ができないと銀行から十分な融資は受けられない

試算表は経営管理の1つ

試算表の作成は何も銀行融資を受けるためだけではなく、足元の経営状況を確認する経営管理の1つの手段にもなります。
しかし多くの中小企業は試算表を作成していません。
経営者の頭の中でわかっているということかもしれませんが、足元の実績をきちんと把握する上では試算表は必要です。
ましてや銀行などの第三者に自社の足元状況を理解させるためには、言葉だけでなく数字の裏づけが不可欠です。
その数字の裏づけとなるのが試算表です。
試算表を作成していない中小企業は経営管理がきちんとされていないものと評価を受けてしまいます。

試算表に対する銀行の本音

試算表は銀行において決算期以降の足元の業績を知るために欠かせない審査資料です。
もっとも試算表がなければ銀行から融資が受けられないということではありません。
しかしながら試算表がないと銀行は融資先の足元の業績を十分に把握することができません。
決算期以降に急激に業績が悪化しているケースも実際にはあります。
したがって銀行としては足元の業績が十分に把握できなければ突っ込んだ融資判断を行うことができません。
そのために必要最低限の融資に留まり、希望する金額までの融資が受けられないこともあります。
また試算表を定期的に作成している融資先にはその業績の良し悪しに関わらず銀行は一種の安心感を持ちます。
きちんと定期的に業績の管理を行っているという認識です。
今や中小企業でも試算表は必須の資料となっています。

試算表を作っていない先には融資をしたくない

正直なところ銀行の本音としては試算表を作っていない先には融資をしたくないというのが本音です。
自身の経営管理をしていない先に信頼などできないということです。

試算表を作っていない先には融資をしたくないのが銀行の本音

銀行融資に試算表は必須ですのまとめ

以上、融資と試算表についてまとめますと次のようになります。

まとめ

・試算表は銀行から融資を受ける際には必須の資料と考えるべき
・試算表を作っていない先には融資をしたくないというのが銀行の本音
・試算表を作っていないと融資が受けられるとしても希望金額まではまず届かない
・大企業だけではなく中小企業においても試算表は必須

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