手形貸付から証書貸付への融資形態の変更を銀行から言われることがあります。
これはどのような意味を持つものなのでしょうか。
銀行の考え方を説明します。
短期融資に利用される手形貸付
手形貸付は銀行融資を代表する融資形態であり、主に運転資金や賞与資金、納税資金、季節資金など短期の銀行融資に用いられています。
賞与資金や納税資金、季節資金の多くは期間6ヶ月の分割返済にて融資が実行されることが多く、銀行としても短期間に融資金が回収できるメリット、安心感があります。
一方でやっかいなのが運転資金です。
手形貸付の書換継続は問題児
運転資金として融資されている手形貸付は期間が6ヶ月とか1年の短期であることは間違いないのですが、その多くは毎月の返済を付与しておらず融資期日に一括返済する形態を取っています。
運転資金は事業を継続している限りは常に必要とされる資金であるため、融資期日になっても一括返済されることは珍しく、その多くは期日に手形の書き換え、つまり継続を行っています。
これが融資をする銀行側としてはやっかいで問題なのです。
銀行融資は最後の1円まで回収されなければなりません。
融資をするだけが仕事ではなく、最後の1円まで回収して初めて銀行融資の仕事は完結します。
融資期日に書換継続を繰り返している手形貸付は一向に融資金の回収が進まず、毎月の返済が付与されている証書貸付などの融資形態に比べて、融資先の倒産など万が一の時に貸倒となる金額が多額となる性質があります。
手形貸付から証書貸付への切り替えは融資金の回収促進のため
私たち銀行融資の担当者は常に書換継続を繰り返している手形貸付を問題視しており、機会を捉えて融資先に返済付融資、つまり証書貸付への切り替えを交渉しています。
一方で融資を受けている企業にとっては、証書貸付への切り替えにより毎月の返済が発生しますから資金繰りの圧迫要因となります。
したがって融資を受けている銀行から証書貸付への切り替え交渉を受けたときは、資金繰りに特に問題がない場合には良いのですが、問題がある場合には切り替えを拒絶してみるのも1つです。
ある面、銀行担当者はだめもとでお願いしている場合もありますから。
証書貸付の切り替えを受けざるを得ない場合には、出来るだけ長期の融資期間が設定されるように銀行側に話をしてみてください。
融資期間が長くなればなるほど、毎月の返済額は少なくなり資金繰りに与えるインパクトも小さいものとなります。