手形貸付とは
手形貸付は銀行融資で広く扱われている融資形態です。
受取人を銀行宛にして手形を振り出し、その見返りに銀行から融資を受ける形態です。
銀行融資で広く扱われている融資形態には証書貸付というものもあります。
手形貸付と証書貸付の違いですが、証書貸付は金銭消費貸借契約に基づく債権だけを銀行が持つのに対して、手形貸付は金銭消費貸借契約に基づく債権のほかに手形債権を併せ持つため銀行側の権利が厚くなるという違いがあります。
しかし実務上は上記のような難しいことはあまり考えずに、借入期間が1年以下であれば手形貸付、借入期間が1年以上であれば証書貸付とするぐらいです。
あまり深く考える必要はありません。
手形貸付の具体例
運転資金
銀行の代表的な融資である運転資金融資にはよく手形貸付が使われます。
運転資金というのは売上回収までの資金繰りのつなぎ的役割ですから、原則として短期間の融資になります。
そのため手形貸付が運転資金融資にはよく使われるのです。
もっとも運転資金は繰り返し発生する性質があります。
売上回収までのつなぎ資金ですが、事業は日々継続して行われていますから売上回収までのつなぎ資金は繰り返し必要となります。
そのため運転資金の手形貸付の場合にはよく「書換」という手続きが行われます。
これは手形貸付の期日、つまり返済期日に新たな手形を銀行に差し入れて実質的に手形貸付の融資を継続する手続きです。
ただし必ず手形貸付の書換が行われるとか限りません。
あくまでも手形貸付の返済期日は手形の支払期日までであり、それを書換して継続に応じるかどうかは銀行側の判断です。
業績が悪化してこれ以上の融資には応じたくないと銀行が考えれば、銀行は書換の手続きをせず返済期日にきちんと返済をするように求めることが出来るのです。
ここで借りる側からすると手形貸付において注意をしておかないといけないところです。
納税資金
中間期や決算期における納税資金を銀行が融資しますが、その場合も手形貸付が利用されます。
納税は一般的には中間期と決算期の年2回行われます。
つまり6ヶ月毎ですね。
このため納税資金の銀行融資も期間が6ヶ月で実行されるのが一般的です。
そして融資期間が6ヶ月と短期間の融資となりますから手形貸付が利用されるのです。
賞与資金
従業員に支給する賞与資金も銀行融資の対象です。
そして賞与は多くの会社では夏と冬の年2回支給されます。
これも納税と同じくおよそ6ヶ月毎ですね。
このため賞与資金の銀行融資も期間が6ヶ月で実行されるのが一般的です。
融資期間が6ヶ月と短期間ですからやはり手形貸付が利用されるのです。