売上回収期間が延びると運転資金が必要となる理由
この図は所要運転資金を売上の回収期間や材料費などの支払までの期間を基に求める算式です。
※売掛債権回転期間 =(売掛金+受取手形+割引手形+裏書譲渡手形)÷平均月商 ※在庫回転期間 =在庫÷平均月商 ※買掛債務回転期間 =(支払手形+買掛金)÷平均月商
売上金を現金として回収出来るまでの期間が長くなるということは、それだけ売掛債権の残高が滞留することですから、売掛債権回転期間が長くなります。
上の算式から売掛債権回転期間が長くなればなるほど所要運転資金が増加することがおわかりいただけると思います。
実際に売掛債権回転期間が長くなるということは売上金が現金、つまり使えるお金となるまでに時間が長くなるということです。
手元にお金がなかなか入ってこないということですからそれだけ資金繰りが苦しくなる、つまり運転資金が必要になるということです。
売上回収長期化に銀行は融資に慎重姿勢
売上の回収期間が延びている場合、銀行は運転資金の融資を慎重に検討する姿勢となります。
なぜ売上の回収期間が延びている場合に、銀行は運転資金融資に慎重になるのか?
その理由の主なものは次のとおりです。
危ない会社とつきあっていないか?
つまり販売先の資金繰りが悪いため、回収までの時間がかかっているのではないか、最悪売上が回収出来ないことが起こりうるのではないかということです。
販売先とトラブルになっていないか?
無理な販売をしていないか?
売掛金で焦げ付きが発生しているのではないか?
架空の売上を計上していないか?
このように売上の回収期間が延びたことによる運転資金の借入申し出に対しては銀行は警戒心を最初に持ちます。
したがって売上の回収期間が延びたことによる運転資金借入を申し込む場合は、銀行の警戒心を取り払うことがポイントです。
銀行への説明ポイント
そのためには
・どの販売先が
・今までの回収条件がどのように変わったのか
・そして変わった理由はなにか
を明確に銀行担当者に伝えてください。
例えば「うちの販売先にA社があります。今までは納品後、月末締めの翌月末払いであったのが、来月から月末締めの翌々月末払いに変わります。A社から新たに商品・製品の検収期間をして1ヶ月設けるとの連絡があったためです。うちは困るのですが、A社のうちの主要な販売先ですから、従前同様に販売するためにはやむを得ずA社からの申し出を受けざるをえないのです」
といった感じです。
説明を受けた銀行担当者はA社が同じ銀行の他の支店と取引があれば、その支店に、取引がなければA社の取引銀行に信用照会をしたり、民間の調査会社へ照会したりして、A社の信用状態を調べ、信用状態に問題がなければ運転資金融資に向けて稟議手続を行うことになります。