銀行の融資の形態はいろいろとありますが、ここでは手形割引(でんさい割引)について説明をします。
手形割引(でんさい割引)の基本的なことから手形割引(でんさい割引)の審査について融資担当の銀行員が説明をします。
目次
手形割引(でんさい割引)とは
売上代金の回収方法はいろいろとあります。
よくある売上代金の回収方法は次の通りです。
売上代金の回収方法
・販売先から小切手で回収
・販売先から手形(でんさい)で回収
これらの中で今回の手形割引(でんさい割引)に関係するのは最後の販売先から手形(でんさい)で回収する場合です。
手形(でんさい)の特徴
手形(でんさい)はそれを渡す相手方に支払を約束する証書のようなものです。
もし手形(でんさい)の支払いをしなければ「不渡り」という事実上倒産となり世の中に知れ渡る大きなペナルティを受けます。
そのため手形(でんさい)は支払が受けられる相当確度が高い証書と言えます。
ところで手形(でんさい)は相手方に渡したときに支払うのではなく、将来に支払うことを約束するものです。
例えば今日が11月30日で手形(でんさい)を支払う日(これを支払期日と呼んでいます)が来年の2月28日だとしますと、手形(でんさい)が資金化するのは来年の2月28日となります。
つまり売上代金として手形(でんさい)で受け取ったとしても、それをすぐには資金として利用することはできず、支払期日である来年の2月28日になってようやく資金として利用することができるのです。
したがって手形(でんさい)を受け取っても、それを資金として利用するには支払期日まで待つ必要があるのです。
これが手形(でんさい)の大きな特徴です。
手形(でんさい)を受け取っても、それを資金として利用するには支払期日まで待つ必要がある
手形割引(でんさい割引)の役割
しかし資金繰りの関係から支払期日まで待たずに手形(でんさい)を資金として使用したいというニーズがあります。
これに応えるのが手形割引(でんさい割引)です。
手形割引(でんさい割引)は支払期日前の手形(でんさい)を銀行に買い取ってもらうことにより支払期日前に手元に資金を確保することができます。
運転資金の調達手段として手形割引(でんさい割引)は多くの会社や個人事業主で広く利用されている銀行の融資です。
手形割引(でんさい割引)は銀行に買い取ってもらうことにより支払期日前に資金を手にすることができる
手形割引(でんさい割引)は銀行融資の第一歩
手形割引(でんさい割引)は銀行の融資の審査の中でも比較的ハードルが低いものであり、銀行融資の第一歩と言えるものです。
そのため初めて銀行から融資を受ける際にはまずは手形割引(でんさい割引)からスタートすることが少なくありません。
手形割引(でんさい割引)における銀行の審査のポイント
手形割引(でんさい割引)の銀行の審査ポイントは次の2つです。
銀行の審査ポイント
・手形やでんさいの代金を最終的に支払う事業者の信用力
手形割引(でんさい割引)を依頼する事業者の信用力
手形割引(でんさい割引)の銀行の審査ポイントの1つ目は手形割引(でんさい割引)を依頼する事業者の信用力です。
手形割引(でんさい割引)は銀行に買い取ってもらうわけですが、買い取ってもらったらそれで終わりではありません。
手形やでんさいを買い取った銀行はその買取代金を手形やでんさいを最終的に支払う事業者がきちんと支払うことで回収することができます。
もし最終的に支払う事業者が支払期日に手形やでんさいの代金を支払わない、つまり不渡りとなれば銀行が買い取った代金を回収することができません。
このように手形やでんさいが不渡りとなった場合には銀行は手形割引(でんさい割引)を依頼した事業者に買い戻すように請求をします。
つまり手形割引(でんさい割引)を利用した事業者は手形やでんさいが不渡りになった場合には銀行に買い取ってもらった代金を返さないといけないのです。
そのため手形割引(でんさい割引)の銀行の審査においては万が一、不渡になった場合に事業者がきちんと買い戻せる信用力があるのかどうかを審査します。
買い戻せる能力がない、あるいは脆弱と判断されれば手形割引(でんさい割引)の銀行の審査には通りません。
手形やでんさいの代金を最終的に支払う事業者の信用力
手形割引(でんさい割引)は最終的に手形やでんさいを支払う事業者がきちんと支払うことで完結します。
したがって手形やでんさいを最終的に支払う事業者がきちんと支払える能力があるのかどうかが、手形割引(でんさい割引)の銀行の審査ポイントの2つ目となります。
銀行の融資 手形割引(でんさい割引)のまとめ
以上、銀行の融資の1つである手形割引(でんさい割引)についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・手形割引(でんさい割引)は銀行の融資の第一歩的な位置づけ
・手形割引(でんさい割引)は割引依頼人の信用力と手形(でんさい)の振出人の信用力の2つが審査ポイント