意外と知られていないのですが税金の納付資金は銀行の融資対象です。
ただ融資の対象とはならない税金もあります。
ここでは納税資金融資の特徴や注意点について説明をします。
納税資金の特徴
税金を納付する期日は税金の種類によって異なりますが、半年毎に納付をするパターンが多いと思います。
そのため銀行の納税資金融資の融資期間は半年間で設定されるのが一般的です。
そして返済は期日一括返済ではなく毎月の分割返済と取扱いとなります。
納税資金の融資を受けて次の納税時期つまり半年後までに融資を完済する形態となります。
そして次の納税に資金が必要であれが再び納税資金融資を利用することになり、半年毎の繰り返しになります。
納税資金融資の対象とはならない税金
納税資金融資の対象となる税金の前に対象とはならない税金をご案内します。
消費税
消費税は納税資金融資の対象外です。
消費税というのは難しいことは別にしても販売先から預かっている性格のものです。
預かっている性格の消費税の納付資金が足りないとはどういうことでしょうか。
つまりこれは預かっているものを消費税の納付以外の目的に使ってしまったということです。
資金繰りが苦しいためについつい消費税の預かり資金を運転資金に使ってしまった・・・
実際にはこのような例は決して少なくはないと思いますが、しかしこれを銀行が融資の対象にするわけにはいきません。
消費税を融資の対象にするということは銀行が消費税資金の流用を認めていることになるからです。
消費税は販売先から預かっているという性格上、利益が黒字であろうが赤字であろうか納付する必要があります。
赤字で資金繰りが苦しい時に背に腹は代えられないとばかりに預かっている消費税資金を使ってしまうことは実際にはあると思います。
しかし銀行がそれを補填する意味合いの融資を実行することは出来ないのです。
源泉所得税
源泉所得税というのは会社が従業員の給与から差し引いて各地方公共団体に納付するものです。
つまり会社が従業員の給与から預かるものです。
この預かるという意味でさきほどの消費税と同じ性格です。
消費税のケースと同様に資金繰りが苦しいために従業員から預かっている源泉所得税に手を付けてしまう・・・。
これも時々耳にするケースです。
しかしこれも銀行は納税資金融資の対象に含めることは出来ません。
納税資金融資の対象に含めるということは会社が従業員の源泉所得税に手を付けることを認めることになるからです。
納税資金融資の対象にとなる税金
さて納税資金融資の対象になる税金はさきほどの消費税及び源泉所得税以外の税金です。
法人税や事業税、市民税、固定資産税などが納税資金融資の対象です。
これらの税金は消費税や源泉所得税のように販売先や従業員から会社が預かっているという性格のものではなく、利益や所有に対して発生する税金です。
したがって会社や個人事業主は手元にある資金で納付するものであり、決して販売先や従業員から事前に預かっているものを納付するわけではありません。
黒字ではあるが手元資金に余裕がないということはよくあることです。
そのような時に銀行の納税資金融資を利用して延滞することなく税金を納付することが出来るのです。
消費税の納付資金が不足する時
さて消費税はさきほども銀行の納税資金融資の対象外だと説明しました。
しかし実際には販売先などから預かった消費税を別口座にて管理をしている会社は少なく、売上口座など他の預金口座と一緒になっているところがほとんどです。
そうすると同じ預金口座に入ってしまえば、どれが売上金でどれが一時的に預かっている消費税分かを区別することは不可能です。
また消費税の実際の納付はその会社が支払時に支払った消費税との差し引きで計算されますから、実際の納付金額がいくらになるかは細かく計算しないとわかりません。
現実には消費税納付前に計算をして初めて納税額がわかることになろうかと思います。
このようなことが無意識のうちにも消費税資金を他の目的に流用してしまう理由です。
納税資金が足らなくなった真の理由で融資を相談する
消費税を納付以外の他の目的に流用してしまうのは何か原因があるはずです。
例えば売上増加に伴い仕入も増加しその支払資金に資金繰りが苦しいとか、従業員にボーナスを支払わないといけないので資金繰りが苦しいなど。
さきほどから説明していますように消費税の納付資金を銀行は正面から取り上げることは不可能ですから、別の方法、つまり消費税の納付資金に手をつけざるを得なくなった真の理由で銀行に融資相談をしてみましょう。
売上増加に伴う運転資金やボーナスを支払う賞与資金は銀行の融資対象です。
消費税納付資金ではなくこれらの目的で銀行に融資相談をしてみましょう。