住宅ローンは多くの方が住宅取得に利用されている個人ローンの代表的な存在です。
一方でクレジットカードは個人の生活においてこちらも多くの方が利用しています。
今回はクレジットカードの利用と住宅ローンの審査との関係について融資担当の銀行員が説明をします。
また分割払いを利用している場合に住宅ローンの審査にどのような影響を与えるかについても説明をします。
目次
住宅ローンの審査項目一覧
この図は実際に銀行で行われている住宅ローンの審査項目を一覧にしたものです。
この中でクレジットカードが住宅ローンの審査に影響するケースとしては9の返済比率と10の他社借入状況です。
返済比率とは
返済比率とは収入に占める返済額の割合のことです。
返済額には住宅ローンの返済額に加えて仮に他のローン等があればそのローン等の返済額も加算した水準にて計算されます。
返済比率の審査基準は銀行等によって異なりますが概ね35%と考えてください。
返済比率が35%以下であればOK,35%超であればダメということです。
返済比率は収入に占める返済の割合のこと
他社借入状況とは
他社借入状況の審査とはどういったところから借入があるのか、他社の返済はきちんと行われているかどうかという審査です。
他社借入状況は主に個人信用情報の調査により行われます。
消費者金融から借入がある、他社の借入の返済が延滞しているといった情報があると原則として住宅ローンの審査には通りません。
他社借入状況とは借入先や返済状況の調査
クレジットカードの一括払いと住宅ローンとの関係
一般的にクレジットカードの支払方法は翌月の一括払いです。
クレジットカードの一括払いが住宅ローンの審査に影響するポイントしては一括払いの支払いをきちんと支払日に行っているかどうかです。
さきほどの住宅ローンの審査項目一覧では10の他社借入状況のところが関係してきます。
クレジットカードの支払いを支払日にきちんと行っていれば住宅ローンの審査でマイナスになることはありません。
クレジットカードの支払いを支払日にきちんと行っていれば住宅ローンには何ら影響しない
クレジットカードの支払状況は直近の2年間が登録されている
クレジットカードの支払状況は個人信用情報に直近の2年間が記録されています。
直近の記録においてクレジットカードの支払が1回もしくは2回程度、短期間遅れている情報があってもまず住宅ローンの審査にはマイナスとはなりません。
クレジットカードの支払の遅れが1回や2回程度であれば「預金口座に入金することをたまたま忘れた」と考えることができるからです。
しかしクレジットカードの支払の遅れが3回やそれ以上となれば、たまたま入金することを忘れたとは考えにくくなります。
資金繰りが苦しいという本質的な問題として捉えられるようになり、住宅ローンの審査には大きくマイナスとなります。
クレジットカードの支払の遅れが原因で住宅ローンが通らないことも十分あり得る状況となります。
クレジットカードの支払状況が悪いと住宅ローンの審査には通らない
クレジットカードの分割払いやリボ払いが住宅ローンの審査に与える影響
クレジットカードの分割払いやリボ払いを利用している場合、住宅ローンの審査にどのような影響を与えるかについてまとめますと次のようになります。
住宅ローンへの影響
・住宅ローンの金額が少なくなってしまう
クレジットカードの分割払いは住宅ローンにプラスにはならない
もっともクレジットカードの分割払いやリボ払いをしていると必ず住宅ローンが通らないということではありません。
しかし住宅ローンの金額が減額されるとか、住宅ローンの審査が通らないといったマイナスの影響を与えます。
クレジットカードの分割払いやリボ払いを利用していることが住宅ローンの審査にプラスに働くことはありません。
なぜクレジットカードの分割払いやリボ払いを利用していると住宅ローンの審査にマイナスになるのかを説明します。
クレジットカードの分割払いやリボ払いとは
クレジットカードの利用代金は一回払いというのが原則です。
しかし高額なショッピングをした場合などには支払額を軽減するために分割払いやリボ払いで支払う方法が用意されています。
このクレジットカードの分割払いやリボ払いは住宅ローンの審査においては他社借入とみなされます。
クレジットカードの分割払いやリボ払いは他社借入とみなされる
そのため返済比率の計算においてはクレジットカードの分割払いやリボ払いの返済額も加算されます。
したがってクレジットカードの分割払いやリボ払いのために返済比率が超過してしまい、住宅ローンの審査に通らない可能性があるのです。
住宅ローンの審査に通るためには返済比率を基準内に収める必要があります。
そのために住宅ローンの利用額を少なくしなければならない、つまり住宅ローンが希望額よりも減ってしまうということになってしまうのです。
クレジットカードの分割払いやリボ払いは他社借入、つまり借金とみなされる
クレジットカードの分割払いやリボ払いの支払状況
さらに個人信用情報の調査によりクレジットカードの分割払いやリボ払いの返済を毎回支払日にきちんと支払いをしているかどうかも調べられます。
個人信用情報では直近2年の支払状況が登録されています。
1日でも遅れると影響する
この個人信用情報に登録されている支払状況ですが、一括払いの時の同様に支払日にきちんと支払いがされたのか、もしくは支払がされなかったのかが記載されています。
そのため仮にたった1日でもクレジットカードの分割払いやリボ払いの支払が遅れるときちんと支払いがされなかったという情報が登録されてしまいます。
支払に遅れたのが1回程度であれば「預金口座に入金し忘れたのかも」と考えられますが、3回、4回、5回もあればたまたま支払が遅れたとは銀行は考えません。
お金が足りなくて、お金が苦しくて支払に遅れたと銀行は考えます。
こうなると住宅ローンの審査に通らないことになってしまいます。
3ヶ月以上の遅れは完全にアウト
なおクレジットカードの分割払いやリボ払いの支払が3ヶ月以上遅れると、単に支払日に支払がなかったという情報に留まらず延滞情報として個人信用情報に記録されます。
個人信用情報の延滞情報は事故情報です。
そのためクレジットカードの分割払いの支払が3ヶ月以上遅れると住宅ローンの審査には絶対に通りません。
クレジットカードの支払いを3ヶ月以上遅れると住宅ローンは絶対通らない
クレジットカードの分割払いやリボ払いはなるべく控える
クレジットカードの分割払いやリボ払いはこのように返済比率と他社借入状況の2つの住宅ローンの審査に影響を与えます。
そして住宅ローンの審査にプラスに働くことは一切ありません。
住宅ローンの審査に通る可能性を高くするためにはクレジットカードの分割払いやリボ払いを利用しないことが1つのポイントとなります。
クレジットカードは住宅ローンの審査に影響しますか?のまとめ
以上、クレジットカードと住宅ローンへの影響についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・クレジットカードの分割払いやリボ払いにより住宅ローンが通らないことがある
・クレジットカードの分割払いやリボ払いにより住宅ローンが減額されることがある
・住宅ローンの審査においてはクレジットカードの分割払いやリボ払いは他社借入となり返済比率を押し上げる
・クレジットカードの分割払いやリボ払いの支払状況も住宅ローンの審査に影響する