資金繰りは事業を行う上で絶対にショートさせてはいけない重要事項です。
資金繰りがショートしてしまえば、その時点で事実上の倒産です。
今回は資金繰りに大きな影響を与える運転資金について資金繰りとの関係で説明をします。
運転資金とは
まず運転資金について簡単に説明します。
運転資金を一言で言えばそれは売上代金回収までのつなぎです。
これは資金の循環を示したものですが、この図で理解をしていただきたいのは手元にある資金はいろいろな姿に変えて、最終的に売上代金として手元に戻ってくるということです。
この手元に戻ってくるまでの間には仕入資金の支払や従業員への給与の支払などいろいろな支出があるはずです。
本来であれば売上代金にてこれらの支出に対応したいところですが、さきほどのように売上代金が手元に戻ってくるまでには一定の時間がかかります。
そのため売上代金が手元に戻ってくるまでの間に必要となる資金のことが運転資金です。
運転資金は事業を継続する上では常に必要となってくる性格のものです。
この運転資金をどのようにして準備するかが資金繰り管理の中心となります。
資金繰り表で考える運転資金
資金繰り管理の中心となる運転資金の準備ですが、資金繰り表で見てみることにします。
これは今後1年間の資金繰りの見込みを予想した資金繰り表です。
ここで例えば6月予想の欄をご覧ください。
6月には営業収入で18百万円の入金が予定されています。
営業収入とは売上代金の回収金と考えてください。
一方で6月の営業支出は13百万円と予想されています。
営業支出とはさきほどの仕入資金の支払や従業員への給与の支払等だと考えてください。
経常収支はプラスだが
そして6月の経常収支(13の行)のところをご覧ください。
経常収支はプラス5百万円となっています。
経常収支がプラスだということは仕入資金の支払や従業員への給与の支払等が営業収入で賄えるということを示しています。
ただしこれで運転資金は大丈夫だと安心することはできません。
営業収入は確かに6月は18百万円が予定されていますが、入金が6月末が大半だとします。
一方で営業支出は月末以外にも25日の給与の支払など月中に分散しています。
つまり6月の営業収入が実際に入金になる前に支払が必要となる営業支出があるということです。
営業収入がすべて6月1日に入金なれば良いのですが、実際にはこのようなことはありません。
つまり月単位では経常収支は確かにプラスではあるのですが、月の途中では資金が不足することがあるということです。
さらに販売先の都合で予定していた売上代金が回収されないかもしれません。
そうなればさらに資金不足が拡大します。
運転資金として必要な金額
したがって資金繰りが不足しないように運転資金の準備が必要となります。
そして運転資金とは資金繰り表でいえば営業支出に置き換えることができます。
最悪営業収入が入ってこない場合でもきちんと支払いができるように資金繰りを管理するのです。
どれくらいの運転資金を備えるか
それではどれくらいの運転資金を備えるかですが、1ヶ月分の営業支出だけではやや心もとないところがありますので、2ヶ月分の営業支出に相当する運転資金を準備しておけばまずは資金繰りは安心と言えるのではないでしょうか。
営業支出は月によって少し変動がありますが、1年間の累計の営業支出は183百万円です。
2ヶ月分としますとおよそ30百万円となります。
したがって手元に30百万円の運転資金用の資金があれば資金繰りはまず安心となります。
仮に手元に20百万円があるとすると残りは10百万円の運転資金が必要となります。
こちらは銀行から運転資金として融資を受けるのが一般的となっています。