運転資金も設備資金も同じお金でありこの意味では同じです。
しかし運転資金と設備資金はその資金要因に大きな違いがあり、間違えると資金繰りの悪化を招きます。
運転資金と設備資金の違いについてわかりやすく説明をします。
目次
運転資金とは
原材料の仕入れ、従業員への給与の支払い、家賃などの経費の支払いなど事業活動を継続していくにはこれらの支払いを安定して行っていく必要があります。
これらの支払は本来であれば売上代金で賄うことができれば良いのですが、多くの事業では売上は掛売りで行われています。
掛売りとは売上代金を後日回収する形態です。
そのため原材料の仕入れや従業員への給与の支払いなどに売上代金をあてにすることは出来ません。
そのため売上代金が回収されるまでの間のつなぎとして資金が必要となります。
これが運転資金です。
運転資金とは売上代金回収までの仕入資金や給与などの経費支払いのためのつなぎ資金
設備資金とは
一方の設備資金ですが、例えば物を作る製造業であれば製品である物を作るための機械が必要でしょう。
運送業であれば運送をするためにトラックなどの車両が必要となります。
また小売業や卸売業を含めて会社で使用するパソコンなどの機器が必要となるでしょう。
これらは総合するといわゆる固定資産となるものですが、この事業のために必要となる固定資産を取得するための資金が設備資金です。
さきほどの運転資金が日々の支払などに必要となる資金であるのに対して、設備資金は長期的に事業活動を行うために必要となる固定資産を準備するための資金です。
設備資金とは長期的に事業活動を支えるために必要となる資金
運転資金と設備資金の違い
運転資金と設備資金のそれぞれの特徴を説明しましたが、では運転資金と設備資金の違いは何でしょうか。
冒頭でも説明をしましたが運転資金も設備資金も同じお金ですから見た目の違いはまったくありません。
さらにこのお金は運転資金、このお金は設備資金というように物理的に区分けすることはできません。
しかし事業活動においてもっとも重要である資金繰りを安定して維持していくためには、運転資金と設備資金の違いを理解してきちんと区分けをすることがとても重要なことです。
この、
運転資金と設備資金の違いを理解して区分けすることは資金繰り管理において極めて大切
であることをしっかりと理解をしてください。
運転資金と設備資金の性格の違いを理解する
運転資金は日々の支払いなどに必要なものであり、運転資金の基本的な性格は売上代金回収までの資金繰りのつなぎです。
運転資金が不足するようになれば仕入資金の支払や従業員への給与の支払いができなくなります。
これはいわゆる資金ショートであり、一気に信用不安が発生し事業活動は破綻に追い込まれます。
運転資金は絶対に不足させてはなりません。
一方の設備資金は長期的に事業活動を支えるための機械やトラックなどの固定資産を備えるための資金です。
設備資金は日々の支払ための資金ではなく、長期的に事業活動を支えるために必要となる資金です。
もっともやってはいけないこと
運転資金と設備資金はこのように性格の違いがあり、それを理解することが大切なことですが、運転資金と設備資金においてもっともやってはいけないことがあります。
それは運転資金として必要な資金を設備購入のために使ってしまうことです。
これを行うと間違いなく運転資金が不足するようになり資金繰りを大きく圧迫することとなります。
事業活動において売上を増やすことももちろん大切なことではあるのですが、もっとも重要なことはとにかく資金繰りを維持することです。
資金繰りが維持されている限り、どれだけ赤字決算であっても倒産をすることはありません。
倒産とは赤字決算が直接の原因ではなく資金繰りが破綻することが直接の原因なのです。
設備資金は別途調達することが大切
設備投資も事業活動を行っていくうえで必要なものです。
しかし設備投資は往々にして金額も多額になります。
そのような設備資金に運転資金として必要な資金を流用してしまえば、その後の資金繰りに間違いなく苦しむこととなります。
設備資金に必要な資金は手元に潤沢に資金があればそれを利用すれば良いのですが、心もとない場合には銀行から設備資金の融資を受けるなど別途準備をすることが資金繰りの安定には極めて重要なことです。
運転資金を設備資金に流用することは絶対にやってはいけない
運転資金と設備資金の違いのまとめ
以上、運転資金と設備資金の違いをまとめますと次のようになります。
まとめ
・設備資金は長期的に事業を支えるために必要となる資金
・運転資金として必要な資金を設備資金に流用してはいけない
・運転資金を設備資金に流用すれば間違いなく資金繰りを悪化させることになる