手形貸付と証書貸付はそれぞれ銀行融資の代表的な形態です。
銀行融資と言えば手形貸付か証書貸付と言っても過言ではないレベルです。
手形貸付と証書貸付のメリットとデメリットについて説明をします。
目次
手形貸付とは
手形貸付とは融資の債権証書として銀行に約束手形を差し入れることで融資が実行される形態のものです。
一般的に手形は短期の支払いを約束する証書として広く普及していることを反映して、銀行でも融資期間が1年以内の短期融資によく用いられています。
短期の融資というと運転資金が代表的なことから、短期の運転資金融資に手形貸付はよく用いられます。
手形貸付は短期の運転資金融資によく用いられる
手形貸付の返済方法
手形貸付の返済方法は期日一括返済か分割返済のどちらかとなります。
例えば運転資金として期間6ヶ月で手形貸付で3,000万円を融資を利用したとします。
期日一括返済であれば6ヶ月後の返済期日に3,000万円を全額返済することになります。
分割返済であれば1ヶ月毎6回に分けて毎月500万円ずつ返済をしていくこととなります。
証書貸付とは
証書貸付とは融資の債権証書として金銭消費貸借契約書を差し入れることで融資が実行される形態のものです。
手形貸付が短期融資によく用いられるのに対して証書貸付は融資期間が1年超の長期融資に良く用いられます。
証書貸付は長期の融資によく用いられるということで運転資金の他に設備資金の融資の定番とも言える融資形態です。
証書貸付は設備資金などの長期融資によく用いられる
証書貸付の返済方法
証書貸付は長期融資によく用いられることから大半は分割返済となります。
例えば3,000万円を融資期間5年(60ヶ月)で利用した場合、毎月50万円ずつを分割して返済をしていくこととなります。
手形貸付のメリットとデメリット
手形貸付のメリット
手形貸付は短期融資によく用いられるということもあり、比較的融資の審査が通りやすいと言えます。
また融資手続きも比較的簡易ですから、事務負担も少ないというメリットがあります。
手形貸付のメリットは相対的に審査が緩く事務手続きも簡単
手形貸付のデメリット
手形貸付は短期融資に用いられるということですから、別の言い方をすればすぐに返済をしなければならないということです。
そのため手形貸付の融資は一時的な資金の必要性には向いていますが、長期の資金繰りの安定には手形貸付は向いていないというデメリットがあります。
手形貸付はすぐに返済をしなければならないため資金繰りの安定には効果が弱いというデメリットがある
証書貸付のメリットとデメリット
証書貸付のメリット
証書貸付のメリットは何といっても長期間融資が受けられるということです。
事業においてもっとも重要なことは資金繰りを安定させることです。
どれだけ売上が増えて利益を獲得していても資金繰りがショートすればその時点で倒産です。
ですから事業においてもっとも重要なことはとにかく資金繰りを安定させることです。
この点において証書貸付は長期間の融資により資金繰りを安定させる効果が大きいというメリットがあります。
証書貸付のメリットは長期融資により資金繰りの安定に大きな効果があること
証書貸付のデメリット
証書貸付は長期融資ですから銀行からすると貸倒リスクが短期融資に比較して高いと言えます。
そのため証書貸付は審査が厳しく、かつ不動産担保などの担保が条件になることがあります。
証書貸付は審査基準が厳しく担保が必要となることもある
手形貸付と証書貸付のメリットとデメリットのまとめ
以上、手形貸付と証書貸付のメリットとデメリットをまとめますと次のようになります。
まとめ
・証書貸付は長期融資によく用いられ、設備資金融資の代表的な形態
・手形貸付は相対的に審査基準が低く事務手続きも簡単というメリットがある
・手形貸付はすぐに返済をしなければならず資金繰りの安定にはあまり効果がないというデメリットがある
・証書貸付は長期融資に良く用いられ資金繰りの安定に効果が高いメリットがある
・証書貸付のデメリットは審査基準が相対的に厳しく担保が条件となることもある