銀行に融資を申し込むと決算書の他に試算表の提出を求められることが多くあると思います。
この試算表がない場合に融資の審査にどのような影響を与えるのかを説明します。
目次
試算表とは
事業を行っていると1年に最低1回は決算申告を税務署に行う必要があります。
そのためいわゆる決算書はどの事業者においても必ずあります。
そしてこの決算書は銀行に融資の相談を行うにあたっての必須の資料となります。
決算書の欠点
上場企業など一部の大手企業では決算申告を3ヶ月一度行っています。
しかし中小企業など大半の企業では決算申告は1年に1度だけ行っています。
例えば決算月が3月であれば5月末までには決算申告をすることが義務付けられています。
銀行は提出された決算書を分析することで事業者の業績や返済能力など多くの情報を得ることができ、融資の審査には絶対に欠かせない資料となっています。
この決算書ですが1つ大きな欠点があります。
それは決算書に示されている数字は過去のものだということです。
さきほど3月決算の話をしましたが、この決算書に示されている数字というのは昨年の4月から今年の3月までの成績です。
融資の申し込みが6月であれば決算書の数字が過去のものといってもまだ最近のものです。
しかし融資の申し込みが12月となれば決算書の数字は半年以上の前のものとなります。
半年以上の前の業績となると、足元の最近の業績はどうなっているのかを銀行としては知りたくなります。
決算書の欠点
試算表の役割
試算表とは決算期と決算期の間の簡易的な決算書です。
例えば3月決算先で10月までの試算表となるとそれは今年の4月から10月までの業績を示した資料となります。
つまり試算表は決算期と決算期の間の比較的足元の業績を示す資料として役立つのです。
したがって銀行では試算表は融資審査において決算書と同様に必須の重要な資料として位置づけをしています。
試算表の役割
試算表がない
ではこの試算表がないと融資審査にどのような影響を与えるのでしょうか。
試算表がないと足元の業績がわからない
試算表がないと決算期以降の足元の業績がどうなっているのかを銀行は把握することができません。
銀行は薄暗い中で融資判断をしなければならないことになります。
決算期以降、急激に業績が悪化していたとしても試算表がないと銀行はその事実を把握することができません。
逆に決算期以降、順調に業績が回復していたとしても試算表がないと銀行はその事実を把握することができません。
試算表がないと踏み込んだ融資判断ができない
そのため試算表がないと足元の業績がどうなっているのかを銀行はわかりませんから、踏み込んだ融資判断をすることができません。
つまり試算表があれば希望金額通りの融資ができるにも関わらず、試算表がないと踏み込んだ融資判断ができないために希望金額通りの融資ができない可能性が出てきます。
最低限の融資しか応じられないといったこともあるでしょう。
試算表は中小企業でも今では必須の資料
試算表は必ず作成しなければならないといったことはありません。
そのため中小企業のなかではそもそも試算表を作成したことがないところが数多くありました。
しかし今では試算表は大企業、中小企業を問わず必須の資料となっています。
試算表がないということであれば融資を行わないといった銀行判断もあり得ます。
試算表がない場合の融資への影響についてのまとめ
以上、試算表がない場合の融資への影響についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・この試算表がないということは足元の状況を銀行はわからないということ
・試算表がないために足元の業績がわからなければ銀行は踏み込んだ融資判断ができない
・そのため試算表がないということであれば希望金額までの融資には銀行はなかなか踏み切れない