銀行の融資において紐付き融資と呼ばれる形態があります。
紐付き融資とは何かについてわかりやすく説明をするとともに、紐付き融資の活用方法について説明をします。
目次
紐付き融資の参考事例
先日あるWEBデザインを手掛ける会社宛てに運転資金の融資を実行しました。
売上が順調に伸びており、これにともない資金の立替負担が増加していることから資金繰りの安定のために融資を実行したものです。
これで当面の資金繰りに不安はないとこの会社の社長から話がありました。
それと同時に「当社の融資枠はこれで当面一杯ですか?」との質問がありました。
質問の背景にある問題をよく聞いてみると、2、3ヶ月後に当社としては大きな受注案件が控えており、これが正式に決まると今回の融資だけでは資金繰りが回らない可能性があるとのこと。
資金確保が無理であれば安易に受注することも躊躇われるためどうしようかと悩んでいるとのことでした。
紐付き融資とは
紐付き融資とは何かと「紐付き」になっている融資です。
紐付きになっているその何かですが、それは契約です。
紐付き融資とはある特定の契約を対象にした銀行の融資手法です。
紐付き融資とは特定の受注や契約を対象にした融資
紐付き融資の具体例
さきほどの参考事例を題材にして紐付き融資の具体例を説明します。
2、3ヶ月後に大きな受注案件が控えているとあります。
この受注案件が紐付き融資の対象になりうる契約です。
例えば受注額が2,000万円とします。
1月にこの案件を受注して7月が納期で受注先の検証を経て8月に2,000万円の代金が回収される契約だとします。
そしてこの受注のための経費などのコストが1,300万円だとします。
紐付き融資はこの1,300万円のコストの範囲内が融資対象となり、8月の代金回収金でもって返済をする内容です。
一般的な運転資金は受注案件を特定するものではありませんが、紐付き融資はこのように融資対象の受注や契約を特定して融資を行うものです。
そして紐付き融資は代金回収までの融資期間となりますから比較的短期の融資になる傾向にあります。
受注してから代金回収までの期間が3ヶ月であれば紐付き融資の期間は基本的に3ヶ月となります。
受注してから代金回収までの期間が10ヶ月であれば紐付き融資の期間が基本的に10ヶ月となります。
紐付き融資のメリット
紐付き融資のメリットしては次の2つがあります。
紐付き融資のメリット
2.業績が多少悪くても紐付き融資は融資審査に通る可能性がある
紐付き融資は別枠として融資が受けられる
一般的に銀行の融資は融資先の規模や業績内容等によって融資の上限額が設けられています。
上限額を超えての融資には基本的に銀行は慎重姿勢であり、簡単に融資を受けることはできません。
一般的な運転資金などはこの上限額の範囲内にて検討されることになります。
ところが紐付き融資は融資期間が短期間であり、かつ返済原資(融資の回収原資)が明確であることから比較的銀行としても取り組みやすい融資案件です。
したがって一般的な融資とは別枠的に紐付き融資を銀行は考える傾向があります。
そのため通常ではこれ以上の融資は難しいが、紐付き融資ということで銀行からの融資が受けやすいという特徴、メリットがあります。
紐付き融資は一般の融資とは別枠的に検討され、銀行としても取り組みやすい特徴がある
紐付き融資は業績が多少悪くても融資審査に通る可能性がある
紐付き融資は返済原資(回収原資)が明確であるため、一般的に返済される可能性が高い融資となります。
そのため業績が多少悪いとしても紐付き融資は銀行の融資審査に通りやすい傾向があります。
一般の融資は業績面から厳しいが、紐付き融資であれば融資が可能という判断は少なくないのです。
紐付き融資は業績が悪くても審査に通りやすい傾向がある
紐付き融資のまとめ
以上、紐付き融資についてまとめますと次のようになります。
紐付き融資のまとめ
・紐付き融資は受注や契約の履行に要するコストを融資対象とし代金回収金にて返済を行う
・紐付き融資は一般融資とは別枠的に考えられる傾向があり、限度額を超えて融資が受けられる可能性がある
・紐付き融資は返済原資(回収原資)が明確であるため、業績が多少悪くても銀行の融資審査に通りやすい傾向がある