銀行融資の基本・審査

信用保証協会の納税証明書はどれ?その1・その2・その3の違いと必要書類を解説

信用保証協会の保証付融資を申し込む際には、申込書や決算書などのほかに、納税証明書の提出を求められることがあります。

ところが、納税証明書には「その1」「その2」「その3」などの種類があるため、どれを取得すればよいのか迷う経営者の方も多いでしょう。

また、法人税と法人事業税のどちらを用意すればよいのか、赤字決算でも納税証明書が必要なのかという疑問もあると思います。

結論から申し上げますと、信用保証協会に提出する納税証明書は、利用する保証制度や信用保証協会の指定によって異なります。取得する前に、税目・証明書の種類・対象年度を銀行に確認することが重要です。

特に、納税証明書の「その1」と「その2」では証明内容がまったく異なります。

また、税金の未納がないことを証明する「その3」「その3の2」「その3の3」が必要になる場合もあります。

この記事では、信用保証協会への申し込みに必要な納税証明書の種類、法人と個人事業主の違い、取得方法、税金の未納がある場合の対応について、融資担当銀行員の立場から説明します。

信用保証協会に提出する納税証明書はどれ?

信用保証協会の保証付融資では、申込企業の納税状況などを確認するため、納税証明書の提出を求められることがあります。

ただし、すべての信用保証協会で同じ納税証明書を提出するわけではありません。

法人か個人事業主か、利用する保証制度、申し込み先の信用保証協会などによって必要書類が異なります。

最初に確認したいポイント

  • 納税額や未納税額の確認には「その1」が利用される
  • 申告所得金額の確認には「その2」が利用される
  • 未納がないことの確認には「その3」などが利用される
  • 法人税・所得税などの国税と、事業税などの地方税では取得先が異なる
  • 必要な種類は、信用保証協会や取引銀行の指定に従う

「信用保証協会の融資だから必ずその1を提出する」「法人は必ずその3の3を取得する」と一律に判断することはできません。

まずは銀行の担当者に、必要な納税証明書を具体的に確認しましょう。

信用保証協会の申し込みに納税証明書は必要なのか

信用保証協会の保証付融資を申し込む際には、納税証明書が必要書類として案内される場合があります。

納税証明書は、申込企業の納税状況を確認するための資料の一つです。

次の画像は、信用保証協会への申し込みに必要な書類を示した資料の一例です。

信用保証協会の保証付融資の申込時に提出する納税証明書などの必要書類の例

このように、信用保証協会の申込書類として納税証明書が案内されることがあります。

ただし、この画像は申込書類の一例であり、現在のすべての信用保証協会や保証制度に共通する必要書類を示したものではありません。

また、保証制度によっては、通常の申込書類に加えて追加資料が必要になる場合もあります。

実際に申し込む際には、利用する信用保証協会や取引銀行が案内する最新の必要書類を確認してください。

納税証明書その1・その2・その3の違い

納税証明書を準備する際に、最も注意したいのが証明書の種類です。

国税の納税証明書には「その1」「その2」「その3」などがありますが、それぞれ証明する内容が異なります。

納税証明書の種類 証明する内容
その1 納付すべき税額、納付済みの税額、未納税額など
その2 申告所得金額
その3 指定した税目について未納の税額がないこと
その3の2 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税について未納がないこと(個人用)
その3の3 法人税、消費税及び地方消費税について未納がないこと(法人用)
その4 指定した期間に滞納処分を受けたことがないこと

ここで重要なのは、その1は納税額などを証明し、その2は所得金額を証明し、その3は未納がないことを証明するという違いです。

それぞれの内容を詳しく説明します。

納税証明書その1とは

納税証明書その1は、納付すべき税額、納付した税額、未納税額などを証明する書類です。

例えば、法人税の納税証明書その1を取得すると、対象となる法人税の納付状況などを確認できます。

信用保証協会の保証審査では、税金の納付状況を確認する資料として利用される場合があります。

ただし、すべての信用保証協会で法人税の納税証明書その1が必要というわけではありません。

納税証明書その2とは

納税証明書その2は、申告所得金額を証明する書類です。

個人の申告所得税及び復興特別所得税に係る所得金額のほか、法人税に係る所得金額についても取得できます。

したがって、「その2は個人事業主だけが取得する納税証明書」という理解は正確ではありません。

また、その2は所得金額を証明するものであり、税金の未納がないことを証明する書類ではありません。

納税証明書その3とは

納税証明書その3は、指定した税目について未納の税額がないことを証明する書類です。

その1が納付すべき税額や未納税額などを示すのに対し、その3は未納がないことを証明する点に違いがあります。

信用保証協会が税金の未納の有無を確認する際に、提出を求める場合があります。

納税証明書その3の2とは

納税証明書その3の2は、個人向けの証明書です。

申告所得税及び復興特別所得税と、消費税及び地方消費税について、未納の税額がないことを証明します。

個人事業主が税金の未納状況を証明する際に利用される場合があります。

納税証明書その3の3とは

納税証明書その3の3は、法人向けの証明書です。

法人税と、消費税及び地方消費税について、未納の税額がないことを証明します。

ただし、法人事業税などの地方税の納税状況まで証明するものではありません。

法人税と法人事業税の両方について納税証明書を求められた場合には、国税と地方税のそれぞれの証明書が必要になることがあります。

納税証明書その4とは

納税証明書その4は、証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことを証明する書類です。

その3とは証明内容が異なります。

「滞納処分を受けたことがないこと」と「現在、未納の税額がないこと」は同じ意味ではないため、取り違えないようにしましょう。

参考:国税庁「納税証明書の請求」

法人が信用保証協会に提出する納税証明書

法人が信用保証協会の保証付融資を申し込む場合には、法人税や法人事業税などの納税証明書を求められることがあります。

ただし、どの税目の証明書が必要なのかは、申し込み先によって異なります。

法人税の納税証明書

法人税は国税です。

そのため、法人税の納税証明書は税務署で取得します。

納税状況を確認するためにその1を求められる場合もあれば、未納がないことを確認するためにその3やその3の3などを求められる場合もあります。

必要な種類は銀行の指定に従ってください。

法人事業税の納税証明書

法人事業税は地方税です。

法人事業税の納税証明書は、都道府県税事務所などで取得します。

国税の納税証明書その1・その2・その3とは、証明書の制度や取得先が異なります。

また、法人住民税など、ほかの地方税の納税証明書が必要になる場合もあります。

法人税と法人事業税の両方が必要なのか

法人税と法人事業税の両方の証明書が必要になる場合もありますが、必ず両方必要とは限りません。

信用保証協会や保証制度によって必要書類が異なるためです。

銀行から「納税証明書を提出してください」と案内された場合には、次のように確認するとよいでしょう。

銀行への確認例

「納税証明書は法人税のその1でよいでしょうか。それとも、その3の3や法人事業税の納税証明書も必要でしょうか。対象年度も教えてください。」

このように具体的に確認することで、証明書の取り間違いを防ぎやすくなります。

個人事業主が信用保証協会に提出する納税証明書

個人事業主が信用保証協会の保証付融資を申し込む場合には、所得税や個人事業税などの納税証明書を求められることがあります。

所得税の納税証明書

所得税は国税です。

所得税の納税証明書は税務署で取得します。

申告所得金額を確認する場合にはその2、納税額や未納税額などを確認する場合にはその1が利用されます。

また、申告所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税について未納がないことを確認する場合には、その3の2が利用されることがあります。

どの種類が必要なのかは、信用保証協会や銀行の指定によって異なります。

個人事業税の納税証明書

個人事業税は地方税です。

個人事業税の納税証明書は、都道府県税事務所などで取得します。

ただし、個人事業税は事業の種類や所得などによって課税されない場合があります。

個人事業税が課税されていない場合に必要な資料については、銀行や信用保証協会に確認してください。

信用保証協会から納税証明書その3を追加で求められる理由

信用保証協会の審査では、当初の申込書類に加えて、納税証明書その3などの追加提出を求められる場合があります。

その理由の一つは、税金の未納がないことを確認するためです。

注意点:納税証明書その3などを追加で求められた場合でも、必ず税金の未納を疑われているとは限りません。保証制度の必要書類として提出を求められることもあります。

決算書の未払税金を確認するため

銀行や信用保証協会は、決算書に計上されている未払税金などを確認することがあります。

例えば、決算書に未払法人税等が計上されている場合、その内容や納付状況について追加確認が必要になることがあります。

ただし、決算書に未払税金が計上されていることと、納期限を過ぎた税金の未納があることは、必ずしも同じではありません。

納期限前の税額が未払として計上されている場合もあるためです。

別の税目の納税状況を確認するため

法人税の納税証明書を提出していても、消費税など、別の税目の納税状況について確認が必要になる場合があります。

そのため、追加でその3やその3の3などを求められることがあります。

なお、納税証明書その3の3は、法人税と消費税及び地方消費税の未納がないことを証明するものです。

すべての国税や地方税について未納がないことを証明するわけではありません。

赤字決算でも信用保証協会に納税証明書を提出するのか

赤字決算で法人税が発生していない場合、「納税していないのだから納税証明書は不要ではないか」と考える方もいるでしょう。

しかし、赤字決算であっても納税証明書の提出を求められる場合があります。

納税証明書は、税金を多く納めたことだけを証明する書類ではないためです。

税額や未納の有無、申告所得金額などを確認する目的でも利用されます。

赤字でも法人住民税などが発生する場合がある

法人税が発生していなくても、法人住民税の均等割などが発生する場合があります。

また、消費税については、法人税の課税所得が赤字かどうかとは別に納税義務が生じる場合があります。

そのため、赤字決算だから税金の納税状況を確認する必要がない、とはいえません。

赤字決算の場合に必要な証明書

赤字決算の場合でも、必要な納税証明書の種類は保証制度などによって異なります。

また、申告状況や証明対象となる税目によって、取得できる証明書の内容が異なる場合があります。

赤字だから納税証明書が不要、あるいは必ず特定の種類を取得すればよいと判断せず、銀行に確認してください。

税金の未納があると信用保証協会の審査に通らないのか

信用保証協会の保証審査では、税金の納付状況も重要な確認事項の一つです。

税金に未納がある場合には、保証審査に影響する可能性があります。

ただし、税金の未納があるという理由だけで、すべての保証制度について必ず否決されると断定することはできません。

未納となっている税金の種類、金額、納付状況、利用する保証制度の要件などによって取扱いが異なるためです。

税金の未納がある場合に確認されること

例えば、信用保証協会や銀行から次のような点を確認される場合があります。

  • 未納となっている税金の種類
  • 未納税額
  • 未納が発生した理由
  • 納期限を過ぎているかどうか
  • 今後の納付予定
  • 税務署や地方自治体との納付相談の状況
  • 未納税額を支払うための資金繰り

税金の未納は、会社の資金繰りが厳しくなっていることを示す場合もあります。

そのため、信用保証協会の審査では、税金の未納そのものだけでなく、会社の資金繰りや返済能力についても確認されることがあります。

税金を分割納付している場合

税務署などと相談して税金を分割納付している場合にも、信用保証協会への申し込みについて個別に確認が必要です。

分割納付しているから必ず保証を受けられるわけではありません。

一方、分割納付しているという事実だけで、すべての保証制度で必ず否決されるとも限りません。

利用する保証制度の要件や納税状況によって判断が異なります。

また、分割納付中であっても、納税証明書その3などの「未納がないこと」の証明を取得できるとは限りません。

税金の未納がある場合の対処法

税金の未納がある場合には、まず未納税額と納付状況を正確に把握してください。

そのうえで、税務署や地方自治体に納付について相談し、必要に応じて納付計画を整理します。

信用保証協会の保証付融資を申し込む際には、銀行に未納の事実を隠さず、現在の状況を説明することが重要です。

税金の未納がある場合には、申し込み前に銀行へ相談し、利用する保証制度の要件を確認することをおすすめします。

信用保証協会に提出する納税証明書の取得方法

納税証明書の取得先は、国税か地方税かによって異なります。

税目 区分 主な取得先
法人税 国税 税務署
申告所得税及び復興特別所得税 国税 税務署
消費税及び地方消費税 国税としての証明 税務署
法人事業税 地方税 都道府県税事務所など
個人事業税 地方税 都道府県税事務所など

国税の納税証明書を取得する方法

法人税、所得税、消費税などの国税の納税証明書は、所轄の税務署で取得できます。

また、国税庁のe-Taxを利用して納税証明書を請求する方法もあります。

主な方法は次のとおりです。

  • 税務署の窓口で請求する
  • 郵送で請求する
  • e-Taxでオンライン請求する

オンライン請求では、電子納税証明書として受け取る方法や、書面で受け取る方法などがあります。

ただし、電子納税証明書を提出できるかどうかは、信用保証協会や銀行に確認してください。

また、納税証明書の交付には、原則として所定の手数料がかかります。

手数料や必要書類、申請方法は国税庁の案内をご確認ください。

参考:国税庁「納税証明書の交付請求手続」

事業税の納税証明書を取得する方法

法人事業税や個人事業税の納税証明書は、都道府県税事務所などで取得します。

申請方法や必要書類、手数料は都道府県によって異なる場合があります。

そのため、会社や事業所の所在地を管轄する都道府県の案内を確認してください。

納税した直後は証明書に反映されていない場合がある

税金を納付した直後は、納付情報の反映状況によって、希望する納税証明書をすぐに取得できない場合があります。

融資の申し込み期限が迫っている場合には、税務署などに確認するとともに、銀行へ現在の状況を説明してください。

納付済みであることを示す資料が必要になる場合もありますが、どの資料で確認できるかは提出先の判断によります。

納税証明書を取得する前に銀行へ確認したい5つのこと

信用保証協会への申し込みを円滑に進めるためには、納税証明書を取得する前に銀行へ確認しておくことが重要です。

1.どの税目の証明書が必要なのか

法人税なのか、法人事業税なのか、所得税なのかを確認します。

複数の税目の証明書が必要になる場合もあります。

2.その1・その2・その3のどれが必要なのか

国税の納税証明書には複数の種類があります。

納税額を確認するためのその1と、所得金額を確認するためのその2では内容が異なります。

その3の2やその3の3が必要な場合もあるため、具体的な種類を確認してください。

3.何年度分の証明書が必要なのか

納税証明書その1やその2などについては、対象となる年度・年分を指定して取得します。

必要な対象年度を間違えると、再取得が必要になる場合があります。

4.発行日について条件があるのか

保証制度や提出先によっては、一定期間内に発行された証明書を求められる場合があります。

以前取得した納税証明書を利用できるかどうかも確認しておきましょう。

5.原本が必要なのか、写しや電子データでもよいのか

提出方法についても確認が必要です。

紙の原本が必要な場合もあれば、写しや電子データによる提出が認められる場合もあります。

税目・証明書の種類・対象年度・発行日・提出方法の5点を確認してから取得することをおすすめします。

信用保証協会の納税証明書についてよくある質問

信用保証協会の申し込みには必ず納税証明書が必要ですか?

納税証明書の提出が必要となる場合がありますが、必要書類は信用保証協会や保証制度などによって異なります。

申し込み前に取引銀行へ確認してください。

法人税の納税証明書はその1とその2のどちらですか?

納税額や未納税額などを確認する場合には、その1が使用されます。

その2は所得金額を証明する書類です。

どちらが必要かは、信用保証協会や銀行の指定に従ってください。

納税証明書その3とその3の3の違いは何ですか?

その3は、指定した税目について未納の税額がないことを証明する書類です。

その3の3は、法人税と消費税及び地方消費税について未納がないことを証明する法人向けの書類です。

なお、その3の3では法人事業税などの地方税の未納状況は証明されません。

納税証明書その3を求められたら審査に問題があるということですか?

必ずしもそうではありません。

未納税額がないことを確認する目的や、保証制度の必要書類として提出を求められる場合があります。

赤字決算でも納税証明書は取得できますか?

赤字決算であっても、申告状況や証明対象となる税目などに応じて、納税証明書を取得できる場合があります。

必要な証明書の種類については、銀行や税務署などに確認してください。

税金の未納があると信用保証協会の保証は受けられませんか?

税金の未納は保証審査に影響する可能性があります。

ただし、未納の内容や保証制度の要件などによって取扱いが異なります。

未納がある場合には、事前に銀行へ相談してください。

納税証明書はどこで取得できますか?

法人税や所得税などの国税は税務署、法人事業税や個人事業税などの地方税は都道府県税事務所などで取得します。

国税については、e-Taxでオンライン請求する方法もあります。

納税証明書は何年度分を提出すればよいですか?

必要な年度・年分は、保証制度や申し込み先によって異なります。

取得前に銀行へ確認してください。

信用保証協会の納税証明書についてのまとめ

信用保証協会の保証付融資では、納税状況などを確認するため、納税証明書の提出が求められる場合があります。

法人の場合は法人税や法人事業税、個人事業主の場合は所得税や個人事業税などが対象となることがあります。

また、審査の過程で、未納税額がないことを証明する納税証明書その3などの追加提出を求められる場合もあります。

この記事のまとめ

  • 信用保証協会の申し込みでは納税証明書が必要となる場合がある
  • 必要な税目や証明書の種類は保証制度などによって異なる
  • 納税証明書その1は納税額や未納税額などを証明する
  • 納税証明書その2は申告所得金額を証明する
  • 納税証明書その3は指定した税目に未納がないことを証明する
  • その3の2は個人用、その3の3は法人用の証明書
  • 税金の未納は保証審査に影響する可能性がある
  • 証明書を取得する前に、税目・種類・対象年度などを銀行に確認することが重要

信用保証協会の保証付融資を円滑に申し込むためには、銀行に必要な納税証明書の種類を確認し、正しい書類を準備することが大切です。

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