税金を支払うために銀行では納税資金という融資が用意されています。
したがって納税を目的とした借入は可能です。
しかし納税資金の融資は対象としている税金と対象とはしていない税金があります。
目次
納税の借入に関する質問
中小企業で経理を担当しています。
売上が厳しいために納税する余裕がなく税務署に税金の分納をお願いしています。
ところで納税を目的として借入は可能なのでしょうか?
銀行が対象としている税金と対象とはしていない税金
銀行が納税資金として借入の対象としている税金は法人税(所得税)です。
一方で消費税や源泉所得税は銀行の納税資金の借入の対象とはなりません。
融資対象となる税金と融資対象外の税金
納税資金融資の借入対象とはならないもの⇒消費税・源泉所得税
法人税(所得税)が融資の借入対象となる理由
法人税(所得税)は利益に対して発生する税金です。
一般的には決算申告を行い、そのうえで定められた法人税(所得税)を納税します。
つまり利益が確定して初めて納税の義務が発生するものです。
法人税(所得税)は事業者にとっては一時的に支出が増加する要因となります。
手元資金があってもそれは運転資金として使用する予定があると、法人税(所得税)を支払うための資金が不足することになります。
そのため銀行は納税資金として融資を行うのです。
消費税や源泉所得税が融資の借入対象にならない理由
消費税というのは販売先から売上代金とともに支払いを受けるものですが、消費税相当分は販売先から納税のために預かっているものです。
源泉所得税は社員が払うものを事業者が社員から預かっているものです。
したがって消費税や源泉所得税は預かっているものを払えばよい性格のものです。
しかしその資金が足らないとはどういうことでしょうか?
それは預かっている消費税や源泉所得税を別の目的に使用したから納税のための資金が足らないということです。
率直に言えば納税のために預かっている資金を流用したということです。
消費税や源泉所得税を納税資金の融資で借入ができるということなると銀行は納税のために預かっていた資金の流用を認めていることになります。
そのようなことはできません。
したがって消費税や源泉所得税は銀行の納税資金の融資の借入対象とはならないのです。
分納中の借入は難しい
今回の質問では税金を分納中とあります。
分納している税金がどれかはわかりませんが、仮にそれが銀行の納税資金の融資対象である法人税(所得税)であったとしても分納中の税金を銀行が融資をすることはありません。
税金は本来は期限までに一括して納付をしなければなりません。
分納をしているということは別の言葉で言えば税金の納付を延滞しているということです。
延滞しているものを銀行が融資をすることはありません。
法人税(所得税)であっても分納している場合には借入はできない
納税を目的とした借入は可能ですか?のまとめ
以上、納税を目的として借入が可能かどうかについてまとめますと次のようになります。
まとめ
・消費税や源泉所得税は銀行の納税資金の融資の借入対象にはならない
・法人税(所得税)であっても分納している場合は借入対象にはならない