時々ですが決算書を見ていると多額の源泉徴収税が未払いとなっている決算書に遭遇することがあります。
源泉徴収税が未払いの場合の銀行の融資対応について説明をします。
質問
小さな会社を経営しています。
従業員から源泉徴収した所得税は、会社がまとめて税務署に納付することになっていると思いますが、会社の資金繰りが厳しく、運転資金として流用してしまっています。
こういうことは他社でもよくあることなのでしょうか?
源泉徴収税の性格
従業員の給料から源泉徴収税を給与天引きしてそれを各税務署に納付することは会社の義務の1つです。
会社は給与から差し引いた源泉徴収税を各税務署に納付する義務があります。
ところが給与から天引きした源泉徴収税を税務署に納付をせずに会社の資金繰りに使っているケースに遭遇することがあります。
これは会社が源泉徴収税を流用したということです。
源泉徴収税流用の背景
従業員から給与天引きした源泉徴収税を納付せずに会社の資金に流用するということはその会社の資金繰りが窮していることを何よりも物語る事象です。
銀行の見方
融資を行っている銀行としては融資は必ず最後まで返済してもらわなければなりません。
万が一、返済が受けられないとなるとそれは貸倒ということとなり、銀行が損失を被ることとなります。
これは銀行としては絶対に避けなければなりません。
そうならないように銀行では融資の時に必ず審査を行っているわけですが、その審査の中心は貸したお金が返ってくるかどうかという一点です。
そして融資が返済できるには融資先の資金繰りが安定していることが大前提です。
この点において従業員から給与天引きした源泉徴収税を会社の資金に流用しているということは、その会社の資金繰りが窮しているということを示しています。
少なくとも銀行ではそのように解釈をします。
資金繰りに窮しているということは返済が出来ない可能性が高いということですから、融資の審査が通ることはありません。
源泉徴収税を未納している場合の対応方法
会社の資金繰りを安定させるには銀行から融資を受けることが最も近道です。
しかし源泉徴収税を納付もせずに流用しているようでは銀行から融資が受けられる可能性はありません。
まず対応しなければならないことはとにかく未納となっている源泉徴収税を納付することです。
資金繰りに窮しているのだから納付などできないということかもしれませんが、納付をしない限り銀行から融資による資金繰り支援を受けることは出来ません。
まずは銀行に源泉徴収税を流用していることを説明し、完納することを条件に融資が受けられるかどうかを相談してください。
完納を条件に融資に応じる銀行もある可能性があります。
そうすれば一時的に未納となっている源泉徴収税を例えば社長が立て替えて凌ぐということもあり得るのではないでしょうか。