業績悪化などの原因で資金繰りが逼迫し税金滞納してしまっているケースが決して少なくないと思います。
今回は税金滞納と銀行融資の関係について説明をします。
銀行融資マンの思考
最初に税金滞納と銀行融資(信用保証協会の保証)との一般的な考え方についてご案内します。
融資や保証を行う銀行、信用保証協会の立場から考えれば、税金を滞納している状態は懸念すべき材料です。
その理由は税金滞納をしているということは客観的に「資金繰りが苦しい」ということを示しているからです。
融資や保証の審査でもっとも重要なことは、取引先の返済能力の有無です。
この点で考えた場合、税金滞納、資金繰りが苦しいという事実は返済能力に問題があるとの結論に至ってしまいます。
では税金滞納の状態であれば、一切銀行融資や信用保証協会の保証が得られないのかといえば、必ずしもそうではない例もあります。
つまり税金滞納の状態でも銀行融資や信用保証協会の保証が得られるケースがあります。
税金滞納で銀行融資が受けられる例
管理者の実務経験から申し上げて、税金滞納の状態で融資を行う例としては、
・すでに融資取引がある
・滞納が短期間(半年から1年程度)で完納出来る見込みがあること
です。
すでに融資取引がある場合、銀行としては現在の融資を返済していただかないといけません。
返済を続けていくためには取引先の資金繰りが維持されなければなりません。
税金滞納があっても資金繰りを維持するために、追加融資で支えるという考え方です。
適切な表現ではないかもしれませんが、「乗った船」が沈まないように対処するということです。
税金滞納が1年以内に解消すること
ただ税金を完納出来る見込みがなければ、さすがに追加融資は出来ません。
半年から最長1年程度の時間をかければ完納出来るのであれば、追加融資を検討することになります。
税金滞納を分納にて納付をしているが、完済まで2年も3年もかかるということでは銀行融資は困難となります。
一定期間の納付実績があること
税金滞納を解消するために分納扱いにて納付をすることが多くあると思います。
時々あるケースとして1年で税金滞納が解消するスピードで分納扱いの申請を税務署がされる場合があります。
しかし銀行では「では1年以内に税金滞納が解消できる」と考えて銀行融資は行いません。
中には足元の資金繰り状況からとても納付が無理と考えられる水準で分納計画をされる融資先があります。
これだと税金滞納の状態で銀行融資を受けるために無理は分納計画をしたとも受けとめることが出来ます。
税金滞納で分納にて解消しようとする場合、一定期間の分納による納付実績が必要です。
この一定期間というのは決まった目線があるわけではありませんが、最低3ヶ月ではないでしょうか。
税金滞納であるが一定期間、分納にて納付している実績があり、かつ1年以内に税金滞納が解消する見通しがあって、はじめて銀行融資が検討土台に乗ってきます。