個人事業主においても会社と同じように運転資金が必要となります。
個人事業主が銀行から運転資金の融資をスムーズに受けるにはどうしたら良いのでしょうか?
今回は個人事業主が銀行から運転資金の融資をスムーズに受けるコツについて融資担当の銀行員が説明をします。
目次
個人事業主でも運転資金は必要
個人事業主においても運転資金は必要となります。
運転資金が必要なのは何も会社に限ったことではありません。
個人事業主と会社という形態に違いはあるものの、運転資金は事業を行うにあたって必要となるものであり、形態こそ違えど事業を行っていれば個人事業主においても運転資金が必要となります。
実際に多くの個人事業主が運転資金の融資を利用しています。
個人事業主においても運転資金は必要となる
個人事業主のスムーズな運転資金融資の受け方
それでは個人事業主がスムーズに運転資金の融資を受けるにあたってのコツについて説明をします。
確定申告書を準備する
まず絶対に準備をしなければならないのは確定申告書です。
3期分を準備してください。
創業間もなく3年が経過していない場合には、創業後から現在までの確定申告書を準備すれば大丈夫です。
確定申告書は絶対に必要
貸借対照表と損益計算があると良い
確定申告書に必須の資料ではありませんが、確定申告書の付属書類として貸借対照表と損益計算書があれば銀行の融資審査がスムーズに進む可能性があります。
もっとも貸借対照表と損益計算書は絶対に必要というわけではありません。
取引条件を説明できるようにしておく
必要な運転資金の水準は取引条件によって決まってきます。
取引条件とは売上代金の回収条件、仕入代金の支払条件、在庫の適正な水準の3つです。
売上代金の回収条件とは
売上代金の回収条件とは売上代金はいつ販売先から振込等で回収できるかどいう取引条件です。
会社と同様に個人事業主においても掛売りで事業を行っているケースが大半だと思います。
掛売りとは簡単に言えばツケで売るということです。
今日、発生した売上代金は販売先からいつ払ってもらえるのかということです。
多くの事業では月ぎめで事業が行われていると思います。
1月の売上はいつ販売先から回収できるのかを整理をしてください。
よくある例としては月末締めの翌月末回収といったケースです。
月末締めの翌月末回収であれば、1月中の売上代金は2月末に販売先から振込などの方法で回収することになります。
今日の売上代金はいつ回収できるのかを説明できるようにしておく
仕入代金の支払条件とは
仕入代金の支払条件とはさきほどの売上代金の回収条件と逆のことです。
売上と同様に材料などの仕入もツケで購入するケースが多いと思います。
ツケで購入するわけですから材料等の購入した時に代金は支払いません。
後日になってその仕入代金を支払うこととなります。
今日、購入した材料費の代金はいつ支払うのかを説明できるようにしておいてください。
今日、仕入した代金はいつ支払うのかを説明できるようにしておく
適正な在庫水準
事業を行う上では一定の在庫を持っている必要があります。
その在庫はどれくらい持っている必要があるのかを整理してください。
在庫がどれくらいという基準ですが、それは月商を基準すると良いです。
例えば売上の1ヶ月分といった基準です。
月商のどれくらいの在庫が必要かを説明できるようにしておく
必要な運転資金の目安
取引条件を整理することにより、事業を行っていくうえでどの程度の運転資金が必要になるのか、その目安がわかります。
例えば売上代金の回収までの期間が2ヶ月、仕入をしてから代金を支払うまでの期間が1ヶ月、適正な在庫水準が1ヶ月とします。
この場合、必要な運転資金の目安は【売上代金回収までの期間+適正な在庫水準-仕入代金を支払うまでの期間】×月商で知ることができます。
仮に月商が300万円とすると、必要な運転資金の目安は【2ヶ月+1ヶ月-1ヶ月】×300万円=600万円となります。
銀行に運転資金の融資を申し込む際にはこの運転資金の目安の金額の範囲内で行うと、審査がスムーズに進む可能性が高まります。
取引条件を知ることで必要な運転資金の目安がわかる
個人事業主の融資の特徴
銀行が行う個人事業主向けの運転資金などの融資は大半が信用保証協会の保証制度を利用した融資となります。
信用保証協会とは個人事業主が銀行から融資を受けるにあたって保証人になってくれる公的機関です。
公的機関である信用保証協会が保証人になってくれるのですから、銀行も安心して個人事業主に運転資金などの融資を行うことができます。
信用保証協会を利用するには保証申し込みを信用保証協会に行う必要がありますが、それは融資を受けようとする銀行経由で行います。
銀行にて信用保証協会への保証申し込み手続きを行います。
申込書類の記入方法などは銀行が案内をしてくれますので心配する必要はありません。
個人事業主向けの銀行の融資は信用保証協会の保証付融資となる
銀行の本音
個人事業主向けの融資ですが、その融資手続きは会社向けの融資と異なることはありません。
会社向けの融資の手続きとまったく同じことが個人事業主向けの融資においても行われます。
一方で個人事業主向けの融資の金額は会社向けに比べるとやはり少額になります。
銀行としても手数が同じくらいかかるのに個人事業主向けの融資は少額のため面白く思っていません。
個人事業主向けの融資はできれば取り扱いをしたくないというのが銀行の本音です。
特にメガバンクに代表されるような大きな銀行では個人事業主向けの融資はやりたくないという強い本音があります。
したがって個人事業主が運転資金などの融資を受ける際にはメガバンクよりも信用金庫や地元の地方銀行に申し込むことをお勧めします。
個人事業主向けの融資はやりたくないというのが銀行の本音
個人事業主の運転資金融資の受け方のまとめ
以上、個人事業主の運転資金の融資の受け方についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・売上代金の回収条件を説明できるようにしておく
・仕入代金の支払条件を説明できるようにしておく
・適正な在庫水準を説明できるようにしておく
・メガバンクよりも信用金庫や地方銀行に申し込みを行う