信用保証協会の保証制度を利用して銀行から融資を受けた場合、銀行に返済ができなくなったら信用保証協会が代わりに返済をしてくれます。
しかしそれで終わりではありません。
信用保証協会が代わりに返済する、つまり代位弁済をした時のその後の影響について親子に着目して説明をします。
目次
質問
父は以前事業を行っておりましたが事業がうまくいかなくなり他に会社を作り長男の私が社長として事業を引き継いでいます。
今の会社は前の会社と資本関係はございません。
また父は働いておりません。
そこで、お尋ねしたいのですが父は保証協会から返済を求められ分割で少しずつ支払っていました。
最近、債務が保証協会から、保証協会のサービサーに移りました。
そして、サービサーが父の資産状況を調べ金額を提示してきました。
提示金額を支払えば残債は請求しないということです。
また、相続人にも請求がこないとのことでした。
他の連帯保証人も同じことを行い、応じれば同様な扱いであるとのことでした。
もし、上記内容に応じた場合、私が社長をしている会社に保証協会の保証がつけられるでしょうか。
以前は、だめでした。
追記:父の会社は休眠会社として残っております。父も他の連帯保証人も破産をしておりません。
信用保証協会の代位弁済
中小企業や個人事業主が銀行から融資を受ける際に多く利用されているのが信用保証協会の保証制度です。
もし中小企業や個人事業主が銀行に融資を返済ができなくなった場合、この信用保証協会が代わりに銀行に融資の返済をしてくれます。
これを信用保証協会の代位弁済と言います。
銀行から融資を受けていた中小企業や個人事業主、つまり債務者やその連帯保証人は信用保証協会が代位弁済すればもう銀行に返済する必要はなくなります。
しかしそれで終わりではありません。
信用保証協会が銀行に代位弁済を行ったことにより、銀行がもっていた債権者としての地位は信用保証協会に移ります。
したがって債務者や連帯保証人は銀行に融資を返済する必要はなくなりましたが、今度は信用保証協会に返済する義務が生じます。
信用保証協会に負っている返済債務のことを求償債務と呼んでいます。
信用保証協会に求償債務を負っているということは信用保証協会のブラックリストに載ってしまっているということになります。
信用保証協会のブラックリストに載ってしまったら
信用保証協会のブラックリストに載ってしまうとどうなるのでしょうか。
信用保証協会では利用できない方として次の例があります。
(2)原則として、協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている方。
(3)手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている方。
(原則として1回目の不渡または支払不能を出して6ヵ月を経過していない方を含む)
なお、法人の代表者が手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分(1回目の不渡または支払不能を含む)を受けている場合、当該法人も原則として保証利用できません。
(4)破産、民事再生、会社更生等法的手続中の方(申立中の方を含む)または内整理等私的整理手続中の方。
(5)最後の登記後12年以上経過した株式会社で、新会社法第472条の規定により休眠会社として解散したものとみなされた方。
(6)協会の保証付融資または金融機関固有の融資について延滞等の債務不履行がある方。
(7)確定申告をしていない方。
(8)事業実態・内容、資金使途、返済能力等を判断する資料の提示がない方。
※ 粉飾決算や融通手形操作を行っている、税金を滞納し完納の見通しが見込めない、事業実態・資金使途・返済能力などを判断するための資料がない等の場合もお取扱いできません。
信用保証協会のブラックリストに載ると利用できない
上記の信用保証協会が利用できない例の中で、
(1)当協会およびほかの保証協会の代位弁済先で、協会に求償債務が残っている方。
(2)原則として、協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている方。
の2つが信用保証協会のブラックリストに関係する例です。
このように信用保証協会のブラックリストに載ると信用保証協会の利用ができなくなります。
信用保証協会のブラックリストは子にも影響するのか
さて今回、信用保証協会のブラックリストに載ってしまったのが父です。
信用保証協会のサービサーが一定の金額を支払えば、もう残額は請求せず、また子などの相続人にも返済の請求をしないと言っています。
この通りに父が信用保証協会に支払えば、父は信用保証協会のブラックリストからは削除されることになります。
信用保証協会のブラックリストから削除されれば、「利用できない方」にはもう該当しなくなり、理屈の上では再び信用保証協会の利用資格が復活します。
子はおそらく利用ができない
父が信用保証協会のブラックリストから削除されれば、その父も理屈上は信用保証協会の利用が再びできることになります。
当然、その子は父でもありませんのでやはり信用保証協会の利用ができそうになります。
しかし現実には今回の子は信用保証協会の利用は困難と推測します。
その主な理由としては、
・ブラックリストに載っていた父の家族であること
です。
たしかに一定金額の支払により父やもともとの会社はもう信用保証協会に返済する必要はなくなり、信用保証協会のブラックリストからは削除されるでしょう。
しかし父やその会社は言い方は悪いですが、信用保証協会に全額を返済したわけではなく一部は踏み倒したことになります。
信用保証協会としては踏み倒された会社の事業を引き継いでいる会社や、連帯保証人であった父の家族に新たな利用を受け入れることは難しいでしょう。
残念ですがこれが現実です。