信用保証協会の審査に落ちた場合、別の地域の信用保証協会に申し込めば、今度は審査に通る可能性があるのでしょうか。
例えば、東京信用保証協会の審査に落ちた中小企業が、神奈川県信用保証協会に申し込めば融資を受けられるのか、という疑問です。
結論から言えば、ある信用保証協会の審査に落ちても、別の信用保証協会で保証が認められる可能性はあります。
ただし、全国の信用保証協会を自由に選んで申し込めるわけではありません。
別の信用保証協会を利用するには、その地域に事業所があり、実際に事業を営んでいることなど、所定の利用条件を満たす必要があります。
また、審査に落ちた原因が解消されていなければ、別の信用保証協会でも保証を断られる可能性があります。
この記事では、長年にわたり法人融資や融資審査に携わってきた銀行員の立場から、別の信用保証協会への申込みの可能性、地域ごとの利用条件、審査に落ちた場合の対処方法について説明します。
この記事の結論
- 信用保証協会は地域ごとに設置されており、保証審査も各協会が行います。
- 別の信用保証協会で審査に通る可能性はありますが、利用できる地域には条件があります。
- 本店所在地だけでなく、実際に事業を営む支店や営業所などの所在地が関係する場合があります。
- 信用保険の仕組みと、各企業が利用できる保証金額は区別して考える必要があります。
- 審査に落ちた場合は、別の協会を探す前に、断られた原因を確認して改善することが重要です。
信用保証協会の審査に落ちたら別の保証協会に申し込める?
信用保証協会の審査に落ちた場合でも、別の信用保証協会で保証が認められる可能性はあります。
ただし、誰でも自由に別の信用保証協会へ申し込めるわけではありません。
まず、次の2つを分けて考える必要があります。
- 別の信用保証協会を利用する資格があるか
- 利用資格がある場合に、その信用保証協会の審査に通るか
この2つは別の問題です。
例えば、東京にしか事業所がない企業が、東京信用保証協会の審査に落ちたからといって、神奈川県信用保証協会へ自由に申し込めるわけではありません。
一方、東京と神奈川の両方に実際の事業所があり、それぞれの信用保証協会の利用条件を満たす企業であれば、別の信用保証協会を利用できる可能性があります。
その場合でも、保証が認められるかどうかは個別の審査によって判断されます。
信用保証協会とは?銀行融資における役割
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づいて設立された公的機関です。
中小企業や個人事業主が銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける際に、信用力を補完する役割を担っています。
銀行融資では、融資先が最後まで返済できるかどうかが重要です。
しかし、中小企業や個人事業主の中には、事業規模が小さい、創業からの年数が短い、担保が十分ではないなどの理由で、金融機関から融資を受けにくい事業者もあります。
そこで信用保証協会が融資の保証を行うことにより、金融機関が融資を検討しやすくなる仕組みです。
信用保証協会が直接融資するわけではなく、実際に融資を行うのは銀行や信用金庫などの金融機関です。
信用保証協会の基本的な仕組みについては、次の記事で詳しく説明しています。
信用保証協会とは?仕組み・保証料・審査・銀行融資との関係をわかりやすく解説
信用保証協会は全国にあるが、どこでも自由に利用できるわけではない
信用保証協会は全国の都道府県などに設置されています。
例えば、東京都には東京信用保証協会、神奈川県には神奈川県信用保証協会があります。
ただし、信用保証協会にはそれぞれ利用できる事業者の地域的な条件があります。
本店や事業所の所在地が重要になる
信用保証協会を利用できるかどうかは、一般に、その地域に事業所があり、実際に事業を営んでいるかどうかなどによって判断されます。
法人の場合には本店だけでなく、支店や営業所などが利用資格の判断に関係することがあります。
個人事業主の場合も、実際の事業所や事業活動の所在地が重要になります。
ただし、所在地に関する具体的な要件は、各信用保証協会や利用する保証制度によって異なります。
登記上の住所を設けただけで、別の信用保証協会を利用できるとは限りません。
東京と神奈川の両方に事業所がある場合
例えば、東京都に本店があり、神奈川県にも実際に営業している事業所がある会社を考えてみましょう。
この会社が東京信用保証協会の審査に落ちた場合でも、神奈川県信用保証協会の利用条件を満たしていれば、神奈川県側で保証を申し込める可能性があります。
ただし、神奈川県内に事業所があるという事実だけで、必ず利用できるとは限りません。
実際の事業活動、営業実態、申込先金融機関、利用する保証制度などを確認する必要があります。
また、神奈川県信用保証協会へ申し込めたとしても、保証審査に通るかどうかは別の問題です。
審査に落ちたから別の県に住所を移すのは有効か
信用保証協会の審査に落ちたことを理由に、形式的に本店所在地を変更したり、実態のない事業所を設けたりすることは適切ではありません。
信用保証協会では、実際に事業を営んでいるかどうかも確認します。
形式的な所在地変更だけで別の信用保証協会を利用できると考えるべきではありません。
まずは、現在の事業所所在地に対応する信用保証協会や取引銀行に相談してください。
別の信用保証協会なら審査に通る可能性がある理由
それでは、別の信用保証協会を利用する条件を満たしている場合、審査結果が変わる可能性はあるのでしょうか。
結論としては、可能性はあります。
信用保証協会ごとに保証審査が行われる
信用保証協会は、各協会がそれぞれ保証審査を行っています。
基本的な審査項目には共通する部分がありますが、個別案件の評価や判断が必ず同じになるとは限りません。
例えば、次のような項目が確認されます。
- 直近の業績と今後の収益見通し
- 既存借入金の残高と返済負担
- 融資希望額の妥当性
- 資金使途の必要性
- 事業計画の実現可能性
- 既存の保証利用状況
- これまでの返済状況
これらの項目について、各信用保証協会が個別に審査を行います。
そのため、ある信用保証協会では保証が認められなかった案件でも、別の信用保証協会で異なる判断となる可能性はあります。
ただし、これは別の信用保証協会なら審査が甘いという意味ではありません。
融資金額や申込条件によって判断が変わることもある
例えば、3,000万円の保証を希望したものの、返済能力との関係から希望金額が認められなかったとします。
この場合、希望金額を1,000万円に減額したり、資金使途を整理したりすることで、改めて保証を検討できる可能性があります。
これは別の信用保証協会に限った話ではありません。
同じ信用保証協会でも、申込内容や経営状況が変われば、審査結果が変わる可能性があります。
したがって、審査に落ちた場合は、申込先を変えることだけでなく、融資希望額や返済計画を見直すことが重要です。
信用保証協会と信用保険の仕組み
信用保証協会の審査や保証限度額を理解するうえで、信用保険の仕組みも知っておくと役立ちます。
信用保証協会は信用保険制度を利用している
信用保証協会が銀行融資の保証を行う際には、日本政策金融公庫による信用保険制度が利用されています。
中小企業や個人事業主が融資を返済できなくなり、信用保証協会が金融機関に代位弁済を行った場合、信用保険制度に基づいて一定の保険金が支払われる仕組みです。
この信用保証制度と信用保険制度を組み合わせた仕組みは、一般に信用補完制度と呼ばれています。
信用保証協会が単独で融資の信用リスクをすべて負担するのではなく、信用保険制度も活用して中小企業金融を支えています。
信用保険の限度額と企業の保証限度額は別の問題
ここで注意したいのは、信用保険の仕組みと、個々の企業が利用できる保証金額を混同しないことです。
信用保証協会には保証制度ごとに限度額があり、企業ごとの既存保証残高なども審査に関係します。
そのため、別の信用保証協会に申し込んだからといって、既存の保証利用状況を無視して、新たに保証限度額を利用できるわけではありません。
一方で、保証限度額に余裕があることと、審査に通ることも別の問題です。
保証制度上の限度額に余裕があっても、返済能力が不足していると判断されれば保証を受けられないことがあります。
保証限度額に余裕があるかどうかと、保証審査に通るかどうかは、分けて考える必要があります。
別の信用保証協会に申し込めば保証枠が増えるわけではない
例えば、東京信用保証協会で一定額の保証付き融資を利用している会社が、神奈川県信用保証協会にも申し込む場合を考えます。
この場合、既存の保証利用状況や、利用する保証制度の限度額などを踏まえて判断されます。
信用保証協会が異なれば、それぞれで無条件に新しい保証枠が与えられるという仕組みではありません。
保証限度額や利用可能額については、取引銀行を通じて確認することが重要です。
別の信用保証協会でも審査に落ちる主な理由
別の信用保証協会を利用できる場合でも、審査に落ちた原因が解消されていなければ、再び保証を断られる可能性があります。
業績が悪く返済能力が不足している
信用保証協会の審査で重要なのは、融資を受けた後に返済を続けられるかどうかです。
赤字決算であることだけで必ず審査に落ちるわけではありません。
しかし、赤字が続き、資金繰りも悪化している場合には、返済能力について厳しく判断される可能性があります。
別の信用保証協会に申し込んでも、財務内容や返済能力に関する問題が解消されていなければ、同様の判断となることが考えられます。
既存借入金が多く返済負担が重い
すでに多額の借入金があり、毎月の返済負担が大きい場合も審査で問題となります。
融資を追加することで、さらに返済負担が増えるためです。
この場合には、追加融資を受けることだけでなく、既存借入金の返済状況や今後の資金繰りを見直す必要があります。
既存の保証利用額が大きい
すでに信用保証協会付き融資を多く利用している場合、追加保証が難しくなることがあります。
ただし、制度上の保証限度額に達していなくても、企業の返済能力などから追加保証が認められないことがあります。
単純に保証枠が残っているかどうかだけで判断できるものではありません。
返済延滞や代位弁済などの問題がある
既存借入金の返済が延滞している場合や、過去に信用保証協会による代位弁済が行われている場合などは、保証審査に大きく影響する可能性があります。
これらの問題がある場合、別の信用保証協会へ申し込むだけで解決することは難しいと考えられます。
まずは現在の債務状況や返済状況を整理し、取引銀行や関係する信用保証協会に相談する必要があります。
資金使途や事業計画の説明が不十分
融資希望額の根拠が不明確であったり、資金使途を十分に説明できなかったりする場合にも、審査が難しくなることがあります。
例えば、運転資金として2,000万円を希望しているものの、なぜ2,000万円が必要なのか説明できないケースです。
この場合には、資金繰り表や売上・仕入の見通しを準備し、必要金額の根拠を明確にすることが重要です。
信用保証協会の審査に落ちた後に取るべき5つの対策
信用保証協会の審査に落ちた場合、別の信用保証協会を探す前に、次の対策を検討してください。
1.取引銀行に審査結果の理由を確認する
最初に行うべきことは、融資を申し込んだ銀行や信用金庫に、審査結果の理由を確認することです。
信用保証協会の審査結果について、詳細な判断理由がすべて開示されるとは限りません。
それでも、銀行担当者から、業績、借入金、資金使途、申込金額など、どの点が問題となった可能性があるのか説明を受けられる場合があります。
改善できる点があるのかを確認することが重要です。
2.融資希望額を見直す
希望した融資金額が、現在の事業規模や返済能力に比べて大きすぎる場合があります。
例えば、2,000万円の融資を希望したものの、当面必要な資金を整理すると1,000万円で対応できる場合もあるでしょう。
必要金額を改めて計算し、無理のない融資希望額に見直すことが有効です。
ただし、金額を減らせば必ず審査に通るというわけではありません。
3.資金繰り表と返済計画を作成する
信用保証協会の審査では、融資後の返済能力が重要になります。
そのため、今後の資金繰り表や業績見通しを作成し、融資を受けた後にどのように返済していくのかを明確にしてください。
特に、次の項目を整理すると銀行との相談が進めやすくなります。
- 今後の売上見込み
- 仕入代金や人件費などの支出予定
- 既存借入金の毎月の返済額
- 融資が必要になる時期
- 必要な融資金額とその計算根拠
- 融資後の返済原資
単に「資金繰りが苦しいので融資してほしい」と説明するよりも、数字に基づいて必要性を示すことが重要です。
4.別の信用保証協会の利用資格を確認する
複数の都道府県に実際の事業所がある場合には、別の信用保証協会を利用できるかどうかを確認します。
その際には、次の点を銀行に相談してください。
- 別の地域にある事業所が利用条件を満たしているか
- その事業所で実際に事業を営んでいることを確認できるか
- 希望する保証制度を利用できるか
- 既存の信用保証協会付き融資との関係で制約がないか
- 取扱いが可能な金融機関はどこか
地域によって取扱いが異なる場合があるため、事前確認が必要です。
5.信用保証協会付き融資以外の資金調達も検討する
信用保証協会の保証が受けられない場合でも、すべての資金調達方法が利用できなくなるわけではありません。
事業の状況によっては、次のような選択肢を検討できます。
- 取引銀行へのプロパー融資の相談
- 日本政策金融公庫への融資相談
- 既存借入金の返済条件についての相談
- 売掛金の回収促進や在庫圧縮などによる資金繰り改善
- 不要資産の売却や経費の見直し
ただし、信用保証協会の審査に落ちた原因が返済能力の不足である場合には、他の金融機関でも融資が難しい可能性があります。
その場合は、新たな借入れだけに頼るのではなく、資金繰りそのものを改善することが重要です。
信用保証協会の審査に落ちた場合の判断例
別の信用保証協会への申込みを考える際には、審査に落ちた理由と事業所の所在地を整理することが重要です。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 東京にしか事業所がない | 神奈川県など別の地域の信用保証協会を自由に利用できるわけではない |
| 東京と神奈川に実際の事業所がある | それぞれの利用条件を満たせば、別の信用保証協会を利用できる可能性がある |
| 融資希望額が大きすぎた | 必要金額や返済計画を見直すことで再検討できる可能性がある |
| 赤字が続き返済能力に問題がある | 申込先を変えるだけでは解決しにくく、経営改善が重要になる |
| 既存融資を延滞している | 延滞の解消や返済状況の改善について銀行と相談する必要がある |
このように、審査に落ちた場合の対処方法は一律ではありません。
現在の経営状況と、保証を断られた原因に応じて判断することが大切です。
別の信用保証協会への申込みに関するよくある質問
東京信用保証協会の審査に落ちたら神奈川県信用保証協会に申し込めますか?
神奈川県信用保証協会の利用条件を満たしていれば、申込みを検討できる可能性があります。
ただし、東京にしか事業所がない場合には、原則として神奈川県信用保証協会を自由に利用できるわけではありません。
神奈川県内での事業実態など、所定の要件を確認する必要があります。
信用保証協会を変えれば審査が甘くなりますか?
信用保証協会ごとに個別の審査が行われるため、審査結果が異なる可能性はあります。
しかし、特定の信用保証協会の審査が必ず甘いということではありません。
業績や返済能力に問題がある場合には、別の信用保証協会でも審査に落ちる可能性があります。
別の信用保証協会に申し込むと保証限度額が増えますか?
信用保証協会を変えたからといって、既存の保証利用状況を無視して新しい保証枠を利用できるわけではありません。
保証制度ごとの限度額や既存保証残高などが関係するため、取引銀行に確認してください。
信用保証協会の審査に落ちたら、いつ再申込みできますか?
すべての保証制度に共通する一律の再申込期間があるわけではありません。
ただし、前回の審査に落ちた原因が改善されていない場合には、すぐに再申込みをしても同じ結果となる可能性があります。
再申込みの前に、取引銀行と改善すべき点を整理することをおすすめします。
別の銀行から申し込めば審査に通る可能性はありますか?
銀行によって融資審査の判断が異なる可能性はあります。
しかし、同じ信用保証協会に保証を申し込む場合には、信用保証協会による保証審査も必要です。
銀行を変えるだけで信用保証協会の審査に必ず通るわけではありません。
まとめ:別の信用保証協会を探す前に審査に落ちた原因を確認する
信用保証協会の審査に落ちた場合でも、別の信用保証協会で保証が認められる可能性はあります。
ただし、別の信用保証協会を利用するためには、事業所所在地などの利用条件を満たす必要があります。
また、審査に落ちた原因が改善されていなければ、別の信用保証協会でも同様の結果となる可能性があります。
重要なポイントを整理すると、次のとおりです。
- 信用保証協会は地域ごとに設置され、各協会が保証審査を行う
- 別の信用保証協会で審査に通る可能性はある
- ただし、全国の信用保証協会を自由に選んで利用できるわけではない
- 信用保証協会を変えても保証限度額が無条件に増えるわけではない
- 業績不振や返済能力の不足など、審査に落ちた原因を改善することが重要である
- 再申込みの前に、取引銀行へ審査結果と今後の対応を相談する
信用保証協会の審査に落ちた場合に最も大切なのは、別の申込先を探すことではなく、なぜ保証が認められなかったのかを把握することです。
そのうえで、必要資金の見直し、返済計画の作成、業績や資金繰りの改善など、実行できる対策を進めることが、今後の銀行融資につながります。
銀行融資を安定して利用するためには、日頃から財務状況や借入金の返済負担を把握し、取引銀行と継続的に情報を共有しておくことが重要です。
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信用保証協会の審査に落ちた場合には、審査結果の原因を整理し、今後の資金調達方法を検討することが重要です。
また、追加融資の可能性だけでなく、現在の借入金の返済負担や今後の資金繰りを確認し、継続的な財務管理を行うことも大切です。
銀行融資・資金繰りのメール相談
長年の法人融資・融資審査の実務経験を踏まえ、銀行融資や資金繰りに関する疑問について考え方をご案内しています。
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